組織のパフォーマンスを最大化する人事評価制度とは

組織のパフォーマンスを最大化する人事評価制度とは

■本来、人事評価とは、

職員のやりがいを築き、

最大のパフォーマンスを引き出すことで、

組織の生産性を最大化するための、

最も重要な仕組みであることは、

ご存知のことでしょう。

 

ところが、

「この人事評価によって、

職員の多くがやりがいを感じて

最大のパフォーマンスを引き出すことができている!」

ということは、

まず聞くことがないのではないでしょうか。

 

ということは、我が国では、

人事評価はまともに行われていないということです。

 

そこで、今回は、

人事評価の進化ステージを分析して、

本来あるべき人事評価のカギを明らかにします。

 

■まず、

そもそも人事評価がない組織もまだまだあります。

 

特に、医療業界においては、

経験年数によってのみ給与を決めているというところが

まだまだ少なくありません。

 

表においては、[A]の段に該当します。

 

総合評価という建前ですが、

それは事実上、

すべて上司の主観による判断となることを意味します。

 

評価基準が存在しないのですか

上司にとって良い印象かどうか、好きか嫌いかで

部下の処遇が決められてしまうこととなるでしょう。

 

したがって、

完全主観評価」となってしまい、

上司の恣意的な意見がまかり通ることになるのです。

 

評価がない組織では、

頑張る職員は虚しくなって辞め、

居心地がよくて残るのは頑張らない職員ばかり、となり、

組織にとって良いことはありません。

 

■そこで、昭和の時代に現れたのが、

最も単純な評価モデルつまり、

「成果主義」

です。

 

表における、[B]の段です。

 

営業の売上、

製造の完成品数など、

結果数値だけを評価するものなので、

評価基準も、その数値だけというシンプルなもので済みます。

 

いっとき話題になった、いわゆる「成果主義」です。

 

人事評価がまったく存在しないよりは良いのですが、

結果しか見られないことは、

職員にとっては、

「道具としてしか見られていない」

ということを意味するものでした。

 

そのため、日本的な組織風土には馴染まず、

あまり普及しなかった経緯があります。

 

一部、フルコミッションのような契約労働では

完全な成果主義が用いられています。

 

そんなドライな評価制度のもとでは、

だれもモチベーションが上がることはありません。

 

■そこで、業務の結果数値だけでなく、

職員の仕事や組織に対する関わり方を評価して、

職員のモチベーションを上げなければならない、

という考えが広まりました。

 

その結果、人事評価表に設けられたのが、

計画性、責任感、協調性、自発性、創造性、指導力などといった情意技能の評価項目です。

 

職員の情意面を汲もうとしたことは、大きな進歩でしょう。

 

表における[C]の段で、

我が国において実施されている人事評価のほとんどが

これでしょう。

しかし、みなさんもご存知の通り、

「何をもって計画性が優れているとかそうでないとかを

判断するのか?」

の客観的な基準が設けられていることは、ほぼありません。

 

多くの現場では5段階で評価しているようですが、

「なにをもって4になるのか?」

「なぜ3にしかならないのか?」

の客観的な基準がないということです。

 

上司が

「あいつは、かなりよくやっていたから4をやろう」

「お前は、もう少し頑張ってほしいから3にしておく」

などと、主観でつけているのが実情でしょう。

 

したがって、

(業務は数値に基づく客観評価であるものの、)

情意の技能については、

やはり、結局は上司の主観によって判断されており、

主観が介入することになっているのが実状です。

 

したがって、

実質主観評価」となっています。

 

そのため、

上司が抱いた印象や好き嫌いによって

理不尽な評価を受けたことがあるという人が、

みなさんの中にも少なくないでしょう。

 

これでは、

「職員の多くがやりがいを感じて

最大のパフォーマンスを引き出すことができている!」

という職場にならないのも、当然です。

 

しかし、これが、

我が国では、

人事評価はまともに行われていない構造です。

 

■職員がやりがいを感じて、

最大のパフォーマンスを発揮するためには、

業務の成果だけではなく、

情意面を評価することは、絶対に欠かせません

 

意欲や姿勢、目に見えないヒューマン・スキルを

適正に評価されなければ、

底力を発揮したいと思えることはないのは、

みなさんご自身も同じでしょう。

 

なおかつ、

評価を公平・公正なものにするためには、

評価者の印象や好き嫌いが影響するなどの

恣意評価がはたらく余地が一切ないよう、

徹底して主観を排することが不可欠です。

 

我が国の病院・企業その他の組織が、

職員にやりがいをもたらし

パフォーマンスを最大化するためには、

この2点を両立しなければなりません。

 

いわば、「完全客観評価」です。

 

それが、表における[D]の段です。

 

「そんな方法はない」

と思うでしょうか?

 

それを実現できる方法が、

患者サービス研究所が提唱している

「HIT-Bit」

です。

 

HIT-Bitを行なうことで、

職員の意欲、姿勢、努力、発言、提案、相談、行動などの

日々の大小さまざまな情報がどんどん挙がってきます。

 

その多くの具体的な情報を蓄積することで、

情意面の客観的評価基準を形成することが可能となるのです。

 

これは、

裁判の世界において

すでに当り前に行なわれていることで、

多くの判例を蓄積することで、

情状や量刑の判断基準が形成されていることと

同じ構造です。

 

「こんな提案を毎月のようにしていたなら、計画性評価は4」

「こうした相談が習慣的に行なわれていたので、協調性は5」

などというように、

情意技能を評価する基準を形作ってゆくことが

できるというわけです。

 

このように基準が明確になれば、

目に見えず、数値にもできないと考えられていた情意面を、

誰もが同じものさしで、

公平・公正に評価することが可能となります。

 

たとえ上司が期中に交替しても、

それまでの発言・提案・行動などの事実を、

基準にあてはめれば、

後任の上司もまた、前任の上司と同じ評価結果を

判定することができます。

 

他の部署からも評価のプロセスがわかるので、

評価の加減を合わせて、

他部署同士でも公平な評価をできるようにもなります。

 

このように、

公平・公正な評価が可能になることが、

客観評価の優れた点です。

 

■このようにして、

業務についての成果についても、

情意面の技能についても、

公平・公正な客観評価する仕組みを敷設することが、

これからの組織づくりには必要となります。

 

せっかく緻密な評価項目を設け、

上司が時間と手間をかけて評価しようとも、

肝心の運用において、

「情意面は評価基準など設けられない」

などといって、

上司の主観による恣意評価に任せて

「あいつは4、お前は3」

などとやっていては、

結局、

いつまでも、

職員のモチベーションを上げることなどできません。

 

こんにち、

医療機関が生き残るためには、

職員全員参加の総力経営を実現することが、

もはや、待ったなしであることは、

みなさんもご存知でしょう。

 

ぜひ、日頃、現場を支えてくれている職員の方々が、

心から

「この職場では頑張ればきちんと報われる」

と思える職場、

そして、

職員が健全に働き続ける勤務環境を築かれることを

お勧めします。