■世間には、
医療機関向けに、
職員満足度調査を販売しているリサーチ業者が、多々あります。
しかし、
調査とは、言うまでもなく「訊く」ことであり、
訊かれた人は必ず、
「訊いたからには、答えてくれるんでしょ?」
と期待します。
つまり、
リサーチとは、行うこと自体が、
「病院としては、訊いたことには、誠実に対処しますよ」
という意思表示になるのです。
世間のリサーチ業者は、
このことをわかっていません。
そのため、
どんなことが起こるでしょうか?
■業者は、リサーチをもっともらしく価値のあるものに見せるため、
総花的に設問をつくります。
その結果、
「休みは希望通りにとれていますか?」
「待遇には納得していますか?」
「福利厚生は充実していますか?」
「寮は?」
「保育所は?」
と、希望を聞いたところで
にわかに改善してあげられないことを
わざわざ訊くということになっているケースがよくあります。
答えた職員からすれば、
「変えることができもしないことを
なぜ毎年訊くのか?」
と、不満や不信を抱くことになるばかりです。
また、待遇や施設設備を、
お金をかけて向上しても、
必ずしも職員のモチベーションが上がるわけではありません。
職員の退職理由の主なものが、
「人間関係」
だということは、改めて言うまでもなく、みなさんもご存知の通りでしょう。
ならば、
人間関係の課題を浮き彫りにするリサーチを行ない、
人間関係の課題を解消することこそが重要なはずです。
訊かなくても良いことを訊き、
職員に不満や不信をもたらすリサーチなど、
寝た子を起こすようなもので、
組織を不健康にするだけですから、してはならないのです。
■したがって、
リサーチをする場合に
もっとも重要なことは、
課題が明確になるようなリサーチを設計するということになるでしょう。
リサーチ業者の商売に振り回される必要はありません。
本当に組織を良くすることを考えるコンサルタントならば、
総花的なリサーチは決してしません。
むしろ、
そのリサーチを契機に、
組織改革が円滑に進むようにすることに
徹底してフォーカスしたリサーチを勧めることでしょう。
それは、
それぞれの病院にとって最適なリサーチを組み立てるため、
個別具体的な相談をすることになります。
商売としてしか考えていない業者は、
リサーチ後の病院には関心がないので、
できるだけ個別具体的な相談はしません。
■リサーチは
組織からの職員に対する意思表示であり、
期待に誠実に応じるべきコミュニケーションである、
という責任感をもったコンサルタントを選ぶことをお勧めします。