「いかに察して差し上げられるか」という接遇論は、昭和の遺物

「いかに察して差し上げられるか」という接遇論は、昭和の遺物

■ある航空会社系研修会社の接遇セミナーで、

こんな講演がなされていました。

 

「ある暑い日。

搭乗時間を過ぎようとした時に、

ようやく最後の一人の乗客が大急ぎで機内に乗ってきました。

 

そして、

『ねえちゃん、水をくれないか』

と言いました。

 

暑い中、急いできたこの男性に水を出す時、

氷を入れた方が良いでしょうか?それとも、入れずに水をサービスした方が良いでしょうか?」

 

講師の答えはこうです。

 

「氷を入れないでお出しするのが良いですね。

 

なぜなら、飲む時に氷が歯に当たってしまうから」

 

そして、こう言いました。

 

「このように想像力を働かせて、

察して差し上げてこそ、ホスピタリティです」

と。

 

最近は航空会社系研修会社の中には、

「医療機関は、

多くの専門職が協力しあって働かなければならない点で

航空業界と同じなので、

航空業界が培ってきたノウハウを参考にすると良い」

とも話していることがあるのを、

お聞きになったことがある方もいるのではないでしょうか。

 

それほど近い気がしないのは、

わたしだけでしょうか?

ともあれ、

「氷を入れない方が良い。

それを察するのがホスピタリティだ」

という結論には、驚きました。

 

そして、

このような接遇研修が、

航空会社系研修会社によって、

何十万円から何百万円という価格で

医療機関にも販売されているということです。

 

■むしろ、

こんにちでは、

「察しているつもりで、必ずしも良い接遇になっていない」

ということが多発していることはご存知の通りです。

それは、

そういう時代背景があることも事実です。

 

なぜ、そんなことが起きているのか?

 

そもそも、日本は単一民族・単一文化が永く続いてきて、

島全体が日本村と言っても良い状態でした。

 

農耕民族は緊急の判断より伝統的判断が大事とされる傾向があり、

価値観が一様でしたから、

「国民的〇〇」という言葉にも違和感はありませんでした。

 

なので、

「言わなくてもわかるよね」

という以心伝心できることや、

口に出して言われなくてもわかるほど、

その奥ゆかしさが美徳とされていました。

 

現に、

俳句や能など、

「いかに少ない情報でわかり合うか」

を楽しむのが日本の伝統的文化になっていることも、その表れです。

 

たった17文字で!

お面と光の角度だけで!

 

「そんな情報量でも深い感情を伝えられる私、凄い!」

「それでもちゃんとわかった私がステキ」

ということを喜びとしていたのが古来の日本人です。

 

このように単一文化の中だから成立しているその極みは

「内輪ウケ」

です。

 

「あの人のあの俳句の趣を踏まえて読まれたのがこの句です」

「あの句のあの場面ですよねー、わかりますわかりますー(わたしなら)」

と、同じ教養を共有していることもまた、

確認できるたびに喜ぶのです。

 

映画でも、

伏線が緻密に張られていることがあり、

それが作品を奥深いものにしていることがあります。

 

もちろん外国映画でも、

単館上映されるような作品ならば、

難解だったり考察させるものが多い傾向があります。

 

これに対して、

多民族の代表でもあるアメリカのハリウッド映画は、

起承転結が明確で、

「ハイここで笑って、ハイ次はここで泣いて!」

と、まるで観客の反応までシナリオに書いてあるのではないかと思われるほど説明的すぎるので、

感動作品であっても、

組成が浅い印象を受けることが多いものです。

 

■そんな我が国の歴史的背景があるため、

接遇研修でも、

「察してあげるのが素晴らしいホスピタリティだ」

と教えてきたのでしょう。

 

しかし、これは今や、単一民族単一文化の昭和の遺物と言わなければなりません。

 

いまや、第一に、日本も多民族・多文化国家です。

 

地方都市の医療機関でも、

どんどん外国人の患者さん・ご家族が来院・入院される時代です。

そればかりか、

外国人の職員も増えてきています。

 

第二に、日本人同士でも、親子間で文化が違います。

 

日本人がずっと避けてきた

「死生観」

に直面する場面も日常の中に存在するようになり、

医療現場の職員の方々は、多様な死生観に答えなければならない時代となりました。

 

さらには、第三に、

医療機関自体が、より良い業務の遂行上、

より緊密な他職種連携を行ない、

異なる職種同士が尊重し合い連携し合わなければならない時代になっています。

 

このような、

価値観が多様化する中では、

「察することが美徳です」

という考え方は限界があることでしょう。

 

そもそも、上記のようなこんにちの状況の中では、

「察することができる」

という考えが思い上がりであることがおわかりでしょう。

 

日本人同士でも、

「良かれと思ってやったのにクレームになった」

ということが珍しくありません。

 

■では、どうしたら良いか?

 

「察してあげるのが美徳」

は、過去の産物です。

 

これまでの

「原則として察しましょう。必要に応じて例外としてお訊きしましょう」

を逆転して、

「原則として訊きましょう。必要に応じて例外として察しましょう」

へと、180度、発想を切り替えた方が良いでしょう。

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■患者サービス研究所の接遇研修でも、

「臨機応変で個別具体的な対応が大事です。

どんどんオペレーションを超えた対応をしましょう」

と話すと、

必ずと言っていいほど、

「そんなの嫌がる患者さんもいるのではないか。

私だったら、そこは勝手にしないでほしいと思う」

などの意見が上がります。

 

人それぞれ価値観が異なるのは、

当然です

 

では、どうするか?

 

「どちらが良いか? ご本人に聞けば良い」

それだけのことです。

 

■ただし、

患者さんやご家族に意思確認をしながらの対応をしていても、

それでも、

職員の方々がみずから気づき考え話し合い行動する

「自律進化組織」

となれば、

その現場では、

ドラマチックな感動的な場面が生まれます。

 

患者さんから手を握って感謝されたり、

涙を流して喜ばれたり、

「そこまでしてくれるのか」

と驚かれ、

「一生忘れられません」

とお便りをいただいたり……。

 

本当のホスピタリティとは、

「氷を入れるか入れないかを察する」

心ではありません。

 

本当のホスピタリティの本質を学びたい方は、

患者サービス研究所の

HIT-Bitセミナーに、遊びに来られることをお勧めします。

 

ルールもマニュアルも捨てましょう。

 

それが本当の接遇の原点です。

 

ルールもマニュアルもなしに、どうやって接遇を向上するのか?

 

一緒に学びましょう。

 

「HIT-Bit」

については、1Dayセミナーを行なっています。

 

本当に効果が永続する組織づくりを実現したい方は、

ぜひご参加ください。

◆ 2019年11月29日(金)13:30〜16:30【東京】

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■自律進化組織が6ヶ月で生まれる方程式「HIT-Bitプログラム」

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