「犯人探しは良くない」。ではどう解決するのか?

「犯人探しは良くない」。ではどう解決するのか?

■しばしば

「犯人探しは良くない」

と言われることがあります。

 

しかし、それでは本当の改善はできません。

 

組織づくりとはどういうことか?

について、まとめておきます。

 

■先日、ある病院で、

看護部長と師長の一人が良い関係を築けていない、ということがありました。

 

師長は自分のやりたいように現場を切り回し、

部長は介入できないために、

現場の状況を把握することもできないばかりか、

適正に評価することも、

新たな改善を施すこともできずにあり、

そんな状態がすでに何年も続いていました。

 

その状況について、経営企画室では、

「師長が問題なのだ」

と話し合っていたのです。

 

■実は、これこそが「犯人探し」の発想です。

 

というのも、

「ある職員のパーソナリティの問題としてとらえる」

発想だからです。

 

「犯人探しは良くない」

とは、

「個人のパーソナリティの問題にしてしまうことが良くない」

という意味です。

 

なぜなら、

職場においては、

つねに人は入れ替わり、

その個人の都合も価値観も変わるものなので、

「個人のパーソナリティの問題」

は、次から次へ、

入れ替わり立ち替わり生じるため、

永遠に問題から解放されないことになるからです。

 

■したがって、

経営者・上層部の立場であれば、

そうした問題が起きない仕組みや、

みずから改善できるシステムを作ることを考えなければなりません。

 

一部書を預かる管理職も同じです。

 

「あの人がまずいのだ」

と、個別具体的な課題に拘泥するのではなく、

「あの人がまずいままでいられる状況がまずいのだ」

と、構造の課題としてとらえて改善する、という発想にならなければなりません。

 

組織をより良くしてゆく以上、

犯人探しはしなければなりません。

 

ただし、

職員のパーソナリティの問題にして、その人を責めるという意味での、

犯人探しをしても根本的な解決にはなりません。

 

本当の犯人は、そうした状況を許している環境、仕組み、システム、体質なのです。

「ヒト原因論」の発想では、

対症療法しか講じることができません。

「仕組み原因論」の発想を持つことができれば、

根治療法を講じることができ、

初めて、組織を向上し続けることができるようになります。

 

「あの人が変わらないのがダメ」

なのではなく、

「あの状況を変えられずにいる自分たちが変わらなければいけない」

のが真実なのです。

 

■なお、うまくいっている時も、

「あの職員が頑張ってくれている」

「あの人とあの人は相性が良いからうまくいっている」

というように、

個人のパーソナリティに依存した「属人経営」では、

本当に良い組織をつくることはできません。

 

その職員がいなくなったり、

価値観や都合が変わってしまったりすれば、

うまくいかなくなってしまうからです。

 

うまくいっている時にも、

どのような環境や仕組み、システムなどがその原因なのか、

を明らかにしておくことが重要です。