■企業であれ、病院であれ、
我が国の組織は、人材育成・組織開発において、
アメリカなどで流行った新しい手法に
すぐに飛びつき、
「さまざまな手法を導入するものの、
結局、形骸化する」
ということを、
幾度となく繰り返してきました。
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「1 on 1 ミーティングは部下から申し出るもの」
などと言って、本人の意思を尊重していては、
永遠にコミュニケーションができないということです。
さりとて、
上司が強制的に部下の時間を奪うというのも、
良い関係を築くこと人はつながらないので、
やめたほうが良いでしょう。
せっかく声をかけたのに、
気が進まない部下から、
「なんですか?」
「いいたいことはありません」
「いまじゃなきゃいけないですか?」
「なぜ私だけなんですか?」
と、冷たい反応を示された経験がある方もいるのではないでしょうか?
部下というものは、
上司がコミュニケーションを取ろうとすれば、
「忙しいのにこっちの気持ちも考えてくれない」
と不満を言うものですが、
かと言って上司が部下に遠慮して、
コミュニケーションを取らなければ
「関心を持ってくれなかった」
と拗ねる、
……といったわがままなものです。
なので、
なんらかの形でコミュニケーションを設ける必要があります。
しかし、得てして
「コミュニケーションを取りたいのは上司の方だけ」
です。
そのため、
1 on 1 ミーティングなる手法を導入しても、
「1 on 1 ミーティングをお願いします」
と部下が申し出なければ、
何も始まりません。
また、最初は面白がって
1 on 1 ミーティングが実施されたとしても、
継続することは困難です。
なぜなら、人間は飽きる動物なので、
自分の意思で
なにかを習慣化することは至難の技だからです。
ときどき、
「現場でやってみれくれている職員がいる」
と、新たな施策が自然発生的に始まることもありますが、
自然発生したものは、かならず自然消滅するものです。
本人たちに決定権を委ねれば、
必ず飽きが来て、辞めてしまうものだからです。
■しばしば、
「やってくれる人がいた頃は、行なわれていた」
という言葉を聞くことがありますが、
これは、
やる・やらない、続ける・やめるが、
本人たち任せなので、
「属人経営」
に該当します。
そして、これは、
組織がコントロールできていないので、
組織づくりとは言えません。
■つまり、
1 on 1 ミーティングのように、
「部下からの申し出があった時だけ行なう」
という手法は、やがて廃れてしまうので、
限界があります。
また、
申し出てこない部下を
組織に巻き込んでゆくことはできないという限界もあります。
ではどうすれば良いか?
■部下の意思を尊重しつつも、
組織による強制力が必要です。
意図的に行なわせることが必要です。
また、放っておけばやがて行なわれなくなってしまうので、
意図的に続けさせることも必要です。
ただし、
職員本人たちの中に、なんらかの
「このコミュニケーション、楽しい」
および
「このコミュニケーション、大切だ」
という動機がなければ、
やらされ感一色になってしまい、
良いコミュニケーションが行なわれ続けることはありません。
■部下の自由に任せていては、
良いコミュニケーションは生まれず、
まして継続されることはありません。
しかし、
強制しても、
やはり良いコミュニケーションにならず、
良い関係性が築かれることもありません。
1 on 1 ミーティングでないとすれば、
どんな方法があるでしょうか?
これからの
職員を活性化し組織の生産性を高めるための
組織開発においては、
その新しいコミュニケーション・モデルが
必要となると考えられます。
そのコミュニケーション・モデルについては、
またの機会に述べます。