■健全な組織運営のためには、
職員満足度が高いことが重要であるとされています。
そのために、
古くはワークライフバランス、
昨今では働き方改革などという名で、
行政から労働現場に対してさまざまな提言がなされています。
また、
多くの医療現場で、
職員満足度調査をはじめ、さまざまな施策が講じられています。
しかし、なかなか効果が上がってないのは、
なぜでしょうか?
実は、
そうした施策を行なっている組織の上層部の中で、
目的とするゴール像に問題があるからです。
■そもそも、組織には、
「活きている組織」
と、
「死んでいる組織」
があります。
活きているか、死んでいるか、は、
「心が」
です。
言い換えれば、
「職員の目が輝いている組織」
と
「職員の目に死んでいる組織」
とがある、ということです。
もし、本当に職員満足度を向上し、
健全かつ生産性の高い組織をつくりたいならば、
「心が活きている組織」
「職員の目が輝いている組織」
を目指さなければならないのではないでしょうか?
逆に、これまで多くの組織が、
「満足度の向上」
と言いながらも、
「心」
にフォーカスした取組が行なわれることは
稀だったのではないでしょうか?
その証拠に、
ワークライフバランスや働き方改革といえば、
とかく、
残業時間を削減することや、
有給休暇を積極的に取得させること、
さらには、
評価報酬制度の見直しや
ラダー制度の整備
……などに終始していました。
つまり、
身体の心配、
報酬、
技能、
といった「効率的に労働できる環境」の探究ばかりに
なっているのです。
これらは、
「ほら、労働しやすいでしょう?」
という取組ばかりであり、
職員の「心」にフォーカスしていないので、
職員の目が輝くことが無いのは、
言うまでもないでしょう。
■たとえば、親が
「自分の子どものモチベーションを上げたい」
と言う時、
どんな子どもの姿を理想とするかによって、
対処がまったく異なってきます。
家庭教師をつけたり、
習い事に通わせたり、
成績が上がればお小遣いを上げるなど、
「効率的に勉強しやすい環境」の探究ばかりをしていれば、
どうなるでしょうか?
子どもは、しぶしぶ勉強をするでしょう。
しかし、目を輝かせて、
活き活きと生活するという意味での
モチベーションの高い子どもにはなりません。
親は、
「子どものモチベーション」
と言いながら、
「ひたすら頑張って勉強に取り組む子ども」
にしたいのか、
「活き活きと目を輝かせてさまざまなことに取り組む子ども」
にしたいのか?
その
「目的とするゴール像」
を明確にしないままでは、
ただただ
「モチベーションを上げたい」
といっても、
行なわれる取組が、的外れなものになってしまいます。
■これと同様に、
組織の経営陣は、
「職員のモチベーション」
と言いながら、
「ひたすら頑張って業務に取り組む職員」
にしたいのか、
「活き活きと目を輝かせてさまざまなことに取り組む職員」
にしたいのか?
その
「目的とするゴール像」
を明確にしないままであるために、
医療現場では、
ただただ
「モチベーションを上げたい」
「満足度の向上が大事」
と言いながらも、
行なわれる取組が、的外れなものになっている
というわけです。
その結果、多くの現場で、
職員は、
「頑張って業務に取り組むけれど、目が死んでいる」
組織になっているのでしょう。
「目が死んだまま頑張って業務に取り組む職員」
が健全で、生産性の高い仕事ができないことは、
言うまでもなく明らかでしょう。
むしろ
「目が死んだまま頑張り続けること」
は、かえって、
業務効率の低下や、
メンタル疾患、
さらには退職を惹起し、
むしろ、
不健全で生産性の低い組織を実現してしまうことに
つながることになります。
まさに
「死んでいる組織」
をつくることになるのです。
■では、
「活きている組織」
をつくるためには、どうしたら良いのでしょうか?
何よりもまず、
「目的とするゴール像」
を明確にすることです。
すなわち、
「心」
にフォーカスし、
「職員の目が輝く組織」
を実現することを明確にします。
そして、最も重要なことは、
「どうしたら、職員の目が輝くか?」
を探究することです。
こう聞くと、
昭和型の古い感覚の経営陣・管理職の方々は、
「そんなことが組織にとって意味があるのか?」
「職場は遊ぶ場所じゃない」
「目が輝くかどうかは本人次第」
「仕事なのだから大変でも我慢して頑張るべき」
という考え方が脳裏に浮かんでしまうでしょう。
その昭和型の古い発想の人が多いからこそ、
「モチベーションを上げる」
と言いながら、
「目が死んでいる組織」
をつくり続けてしまい、
職員のメンタル疾患や退職を減少することができていない
という事態に陥っているのです。
なので、意図的に、
「どうしたら、職員の目が輝くか?」
を探究してください。
職員の目が輝く組織を実現すると、
職員が活き活きと働くので、
予期しなかった問題提起や改善提案が現場から上がったり、
驚くような取組が始まるなど、
「より良く変化することが当り前の組織」
すなわち
「自律進化組織」
が実現します。
では、
「具体的に、どのようにすれば良いか?」
「自律進化組織」づくりの
具体的な方法については、
また別の機会に掲載します。