■このたび、安倍首相が、
「3/2から、小・中・高等学校、支援学校の一斉休校するよう」
要請(という名の指示)をしました。
反対意見もあれば、大反対意見もあり、
世の中は、混乱の渦に巻き込まれました。
このやり方には、
組織論的にも、
リーダーシップ論的にも、
大いに学べるところがあるので、ここで共有します。
■最も大きな過ちは、
「とにかく休校にする」
という
「手段を押し付けた」
という致命傷です。
手段を押し付けられると、
指示・命令された側は、
それを実践しなければならないので、
さまざまな無理を抱えることになります。
子どもを学校に預けて働く親が
出勤できなくなるのはどうするのか?
それが医療従事者の方々だった場合には、
病院の運営にも支障が生じるのではないか?
……といったことがニュースで流れ、
実際、
即日、各医療現場で、
看護師の方々など職員の調整が困難となり、
医療現場が混乱を来たしています。
その他にも、さまざまな問題が発生しました。
そして、誰もが、
この展開に戸惑い、
不満を覚える結果となりました。
■ここには、
結論が一方的に押し付けられたことへの
「不服」
があります。
そして、
「不服」
を抱えながら、対処せざるを得ないことによる
さらに大きな
「不服」
が生じています。
その渦中に巻き込まれた人々は、
自分たちで選択した展開ではないので、
「勝手に、決められた」
という、決めた側に対する不満を抱くのは
当然でしょう。
そして、
「勝手に決めたからには、
これらの弊害も、なんとかしてもらわなければ困る」
「混乱の責任はとってもらいたい」
という反発心が生まれています。
これが、
「手段を押し付ける」
ことに対して必ず起こる報いなのです。
■こうならないためには、
決して、手段を押し付けてはなりません。
では、どうするか?
「目的を共有する」
ということです。
「学校は児童・学童・生徒が集合するため、
感染の危険が高い。
児童・学童・生徒を、
この感染の危険から、
可及的速やかに遠ざけるよう、全力を尽くしてほしい」
と発信する、ということです。
そうすれば、学校・教員は、
「子どもたちを、感染から絶対に守らなければならない」
という目的のために、
最善を尽くすことでしょう。
そこに、
「なぜ、そんなことをしなければならないのだ?」
という不満を抱く人はいないでしょう。
むしろ、
「大事な子どもたちを守りたい」
という思いで、真剣に取り組むことになります。
そうなれば、
「この場合には、こういうことに配慮すべき」
「今回は、こんな風にしよう」
「とすれば、あれが必要だ」
「その前に、こうした準備が不可欠だ」
「そこには、あの人の協力があった方が良い」
と、それぞれが当事者意識を持って考える結果、
さまざまな方策が講じられることになります。
そこには、
「こうして最善を尽くす苦労の責任をとってほしい」
と反発心を抱く人もいません。
しかも、
各現場の実情に即した最良の答案が
各現場から上がってくるのです。
■このように、
・手段を押し付ければ反発を買い、
・目的を共有すれば当事者になってもらえ、
その結果は、180度異なるものになります。
指示する側と現場との関係性も、
・手段を押し付ければ悪くなり、
・目的を共有すれば良い関係になり、
180度異なります。
そのモチベーションも違うので、
・手段を押し付ければ自発的な動きは生まれず、
・目的を共有すれば当事者視点の良い動きが生まれ、
180度異なる展開になります。
せっかく内容が良くても、
みんなから好かれないので、
みんなに渋々応じてもらうということになり、
結果的に借りをつくってしまう
……というケースは、
このように作り出されてしまうことがあるのです。
逆に、
同じく良い提案内容が、
みんなから喜ばれ、
みんなが前向きに力を発揮してくれて、
その結果、
力を貸してくれたみんなから感謝される
……という流れにすることも可能だということです。
その分水嶺が
明らかになったのではないでしょうか。
■とはいうものの、
すんなり今日からよい展開をつくれるか?
というと、
まずは、思考習慣を変えることが必要になります。
もともと、
人はとかく、手段を押し付けがちです。
昭和時代の、指示命令体質の名残かもしれません。
あるいは、自分の用事にだけ関心が向いてしまう、
人間の生来の癖かもしれません。
しかし、
これからは、そうとばかりも言っていられません。
手段の押し付けをやめ、
目的の共有に力を注ぐことをお勧めします。
職場においても、
「来週から、このようにしてください」
「委員会で、こんな風に決まりました」
と、
「手段の押し付けのコミュニケーション」
が、日々行なわれています。
これでは、
不満や反発ばかりが生まれ、
考えない職員が育ち、
最良の方法が生まれる現場になることはありません。
「本当は、こうしたい」
「こんな病院にしたい」
「患者さんにこんな風に向き合いたい」
「私たちならこんな看護ができるのではないか」
と、
「目的の共有のコミュニケーション」
を、日々、意図的にすることが重要なことは、
みなさんには、お判りでしょう。
とはいうものの、
「本当は、こうしたい」
「こんな病院にしたい」
「患者さんにこんな風に向き合いたい」
「私たちならこんな看護ができるのではないか」
といったコミュニケーションをしなさい、と言って、
自然に行なわれるようになることはありません。
■では、どうすれば良いか?
そのための
「目的の共有のコミュニケーション」
を日々、行なうコミュニケーション・モデル、
それが
「HIT-Bit」
です。
なお、
「HIT-Bit」
については、1Dayセミナーを行なっています。
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