■ホテルや旅館などの、おもてなしの業界では、
接遇を向上しようとすることが重要で、
教育を強化すれば、接遇は向上するかも知れません。
そんな他業界を見習って、医療機関でも、
接遇マナー研修を行なったり、
接遇マニュアルを造ったりと
いろいろな取組をしていますが、
なかなか接遇が向上しないことは、
みなさんがすでにご存じのことでしょう。
■なぜ、接遇が向上しないのか?
答えはシンプルです。
医療現場には、接遇よりももっともっと重要なことが
山ほどあるからです。
接遇に力を入れるくらいなら、
業務の安全・正確・迅速に万全を期したいという力が働きます。
それらのために、全精力を注ぎこみたいのが、
医療従事者の方々の本音ではないでしょうか?
つまり、
業務のために全力を注ぐので、
余力はありませんが、
「もしも接遇余力があったら、接遇もやりましょう」
という、優先順位の低い項目になっている、ということです。
■そんな接遇を、前面に押し出されて、
「接遇、接遇、接遇」
と言われれば、現場の職員が、
「そこまでやる必要があるのですか?!」
と反発するのは、当然のこととさえ言えます。
だから、
「接遇を向上しようとするほど、接遇は向上しない」
という結果になるわけです。
接遇を押し付ければ、職員は疲弊し、現場の空気は悪くなります。
接遇委員会も盛り上がりません。
■では、接遇を向上するためにはどうすれば良いでしょうか?
現場を疲弊させることの逆で、
現場を活性化すればよいのです。
現場を活性化すれば、自然に接遇も向上します。
■要するに、接遇とは、花のようなものです。
「綺麗な花を咲かせて欲しい」
と思うあまり、枝先のつぼみにばかり水をやっても、
その木そのものが元気でなければ、綺麗な花は咲きません。
その木の根に水をやり、
栄養を与え、
新鮮な空気を得られるように風通しを良くし、
周囲を整備して、陽光をたくさん浴びられるようにすることで、
幹が太くなり、
枝振りが盛んになり、
上へ上へと伸び続け、
多くの葉が生い茂れば、
自然に綺麗な花をたくさん咲かせてくれるでしょう。
■「接遇が向上しないのは、接遇を向上しようとするから」
当り前です。
そこで、提案です。
もう、つぼみに水をやるのはやめて、
その木そのものを元気にしてみませんか?
なお、多くの接遇コンサルタントは、そんなことを教えてくれません。
彼らのビジネスは、
つぼみに水をやることであり、
彼らは、自分のビジネスが済んだあと、
幹が太くなるか、
花がどれだけ咲くか、などに関心がないからです。