■人は、それぞれ異なったところで生まれ育ち、
異なる体験をしてきているので、
視点も発想も価値観も違うのが当り前です。
そう考えてみると、
「この人は、なぜ判らないんだ?」
と悩むことがなくなります。
「この人はこの人の景色の中で生きて来たのだから、
自分と違うのは当り前だよね」
という前提になるからです。
また、こちらが伝えていなければ、
こちらの意図がわかるはずがありません。
それも、一方的に伝えても、
相手が受け止める心になっていなければ伝わりません。
伝える前に、相手の気持ちを聞いていなければ、
伝えたことが相手の心に届くはずもないからです。
■こうして考えてみると、
「この人は、なぜ判らないんだ?」
から、
「伝わるように伝えていなかったのだ」
ということが見えてきます。
企業や組織も同じです。
「なぜ常識がないのだ?」
「なぜ筋を通さないのだ?」
「そんなの当り前だ」
と言ってみても、
相手には相手の常識や筋、当り前があるのです。
それなのに、自分の価値観を押し付けようとすれば、
関係が悪くなるのは自明の理です。
■ただし、
「人それぞれのどんな価値観も間違いではない」
と言いつつも、
一人一人が守っておかなければいけないことが一つだけあります。
それは、
「自分で果たさないことを、他人に求めてはならない」
という原理です。
言い換えれば
「Giveが少なくて、Takeが多いと、
こればかりは、
周囲から受け入れられなくなる」
という傾向があるということです。
一見、
「いやいや、
嘘をつくとか、
一貫性がないとか、
コミュニケーションをとらないとかは、
それ自体が間違っているのではないか。
子どもの頃からそのように教えられて来た」
と、思うかもしれませんが、そうではありません。
その結果、
与えることをせず、奪うことばかりであれば、
人はやがて離れてゆきますが、
奪うことをせず、与えることばかりであれば、
必ずしも、人が離れてゆくことは無いでしょう。