■たとえば、みなさんが、全く興味のない資格試験の参考書を与えられたことで、
ぜひ、その資格をとろうと思うでしょうか?
興味のない分野の勉強をするのも苦痛で、
忙しい中、時間を割くのも苦痛であれば、
たとえ参考書が手元にあっても、資格を取ろうという気にはならないでしょう。
しかし、家庭では、
受験するつもりもない子どもに、
家庭教師をつけ、塾に通わせ、教材を買い与えるなどしており、
その結果、子どもはまったく幸せではない、ということが
しばしば起きています。
そして、その親も不幸なのは、
決して、自分が望んだ結果にはならないということです。
親が望んでいることについて、
子どもからコミットされていなければ、
何をやっても効果が上がらず、関係が悪化してゆくものです。
このようなことが、
実は、世の中のあちこちで、
それが当たり前のように起きていることを振り返りたいと思います。
■たとえば、人間関係を変えたいと思って、多くの人が
NLPを学んだり、
コーチングを習得したり、
アサーションや、
ファシリテーションを教わったりしています。
しかし、これらのコミュニケーション・テクニックは、
「どうやるか?」
であって、
相手が、
「あなたと話そう」
ということにコミットしていなければ、
実践できないので、まったく効果が上がりません。
相手が
「あなたと話そう」
ということにコミットさせるための方法の方が、
圧倒的に重要なのに、
それを教える人は、見当たりません。
■また、職員のモチベーションを上げるために、
適切な目標を立てさせクリアさせることで達成感をあたえよう、
部署同士で競争させよう、
良い成績を上げた部署には表彰しよう、としている例が多々あります。
しかし、これらの手法は、
「どうやるか?」
であって、
職員が、
「この職場で、この仕事で、頑張りたい」
ということにコミットしていなければ、
拍車をかけられるほど苦痛で、モチベーションが下がるだけです。
職員が
「この職場で、この仕事で、頑張りたい」
ということにコミットさせるための方法の方が、
圧倒的に重要なのに、
それを教えるコンサルタントは稀です。
■学校では、しばしば、
「生徒たちにみんなで一つのものを作り上げる素晴らしさを体験させよう」
といって、
すでに先生が選んだ曲目を合唱させようとしたり、
すでに振り付けが決められた組体操をさせたりしています。
しかし、これらのパフォーマンスは、
「どうやるか?」
であって、
生徒が、
「このパフォーマンスをみんなでやりたい」
ということにコミットしていなければ、
「もっと美しく!」「もっと格好良く!」
と指導されればされるほど、逃げたくなるだけで、
「こんなことをみんなでやりたくない」と感じるばかりです。
生徒には、決めたことに従わせるだけならば、
まったく逆効果で、
反対に、
「このクラスのみんななら、この曲目がいいんじゃないか」
「こんな組体操なら、自分たちの個性が活きるんじゃないか」
と、いちばん楽しくワクワクするところを
先生が決めるのではなく、
生徒たちに楽しませることの方が圧倒的に、
みんなで一つのものを作り上げる素晴らしさを体感できるのに、
そんなことを意識している教師が、残念ながら多いとは言えません。
■このように、
「それ、やりたい!」
と相手からコミットされていなければ、
どんなに手法を押し付けても思うような言動にはつながらいので、
望んだ効果が生まれないばかりか、
かえって相手のモチベーションは下がり、
相手との関係性が悪くなることにしかつながりません。
しかし、
「それ、やりたい!」
と相手からコミットされるために、どうすればよいかを
学ぶ人も、
教える人も、
いません。
というより、そもそも、何よりもまず、
「それ、やりたい!」
と相手からコミットされることが重要だ、という人もいません。
■こうしてみると、世間には、
効かない薬を求める人ばかりがいて、
それに応じて、
効かない薬を持つ人ばかりが売り歩いているのです。
みなさんの現場では、
「どうやるか?」
という方法論いじょうに、
「それ、やりたい!」
と職員からコミットされるには、どうすればよいか、を
探究しているでしょうか?
■患者サービス研究所では、現場から
「それ、やりたい!」
を引き出しすため、
一人でも多くの職員からコミットされる組織づくりをお勧めしています。