■みなさんは、現場の職員の方々に、
「目標通りの標準的な成果を出して欲しい」
と思うでしょうか?
それとも、
目標の範囲にとどまることなく、
「思いがけない飛躍的な成果を出して欲しい」
と思うでしょうか?
そして、
より良い成果を求め、
「思いがけない飛躍的な成果を出して欲しい」
と思っている方々の中には、
職員のモチベーションを高めるために、
「良い成果が上がったら表彰するようにしている」
という方もあるのではないでしょうか?
■実は、
もし、思いがけない成果を期待するならば、
「良い成果が出ていないケースを表彰」
することこそ必要不可欠です。
なぜか?
そうなる原因は、次のようなメカニズムです。
もし、経営者・管理職が、
部下職員に対して、
どんなに
固定観念にとらわれない取組を期待し、
思いがけない成果を出して欲しいと
願ったり、伝えたりしていても、
現に、
表彰するのが良い成果が出たケースだけであれば、
部下職員は、
「組織からは、良い成果だけを求められている」
と理解します。
というのも、現に、
成果が出た時しか表彰されていないのですから。
「上層部は、成果にしか関心がないんだな」
ととらえるのも当然です。
そのため、職員は、
固定観念にとらわれないチャレンジングな取組をすることができなくなってしまうので、
その結果、
思いがけない成果を出すことはなくなってしまうからです。
そもそも、
思いがけない飛躍的な成果を出すためには、
新しい実践が必要不可欠です。
新しいことをしなければ、
新しい結果は生まれないからです。
そして、
新しいことをするということは、
必然的に、成果が出る保証がないことに
チャレンジするということでもあります。
もし、職員が
「組織は、より良い成果だけが求められている」
と認識している場合、
チャレンジの結果、成果が出なかった時には、
「そのチャレンジをする時間と労力を
成果が出ることが明らかな取組に注ぐべきだった」
ということになってしまいます。
このため、
組織が良い成果だけを表彰すると、
「目標通りの標準的な成果」
は生まれますが、
「目標の範囲にとどまらない思いがけない飛躍的な良い成果」
は生まれなくなってしまうのです。
「成果だけが求められている」
という認識は、
「失敗や無駄が許されない」
という理解となり、
チャレンジを拒む組織をつくってしまうというわけです。
では、どうするか?
■そこで重要なのは、
「成果の出なかったチャレンジも評価する」
ということです。
「チャンレンジには、成果が出ないこともある。
それでもチャレンジすることを求めている」
と組織が意思表示することが不可欠なのです。
「失敗や無駄を恐れずチャレンジすることが求められている」
という大義があって、
初めて、職員はチャレンジできるようになります。
ぜひ、「チャレンジ」を評価されることをお勧めします(必ずしも表彰という形は無くても良いかもしれません)。
■ところで、
「成果を表彰すれば、より良い成果が出るはず」
という考えは、
「昭和の組織論」
の発想の名残です。
そこには、
「表彰は栄誉なことだから、
成果を表彰するほど、
職員は成果を出したいと思うに違いない」
という思考があるからです。
「成果を出せ」
という価値観の押しつけをするのではなく、
「
思うようにチャレンジしてごらん」
という価値観の解放をすることこそ、
これからの時代にふさわしい組織活性化ではないでしょうか?
価値観の押しつけは、
職員のモチベーションを下げる反面、
価値観の解放は、
職員のモチベーションを大いに上げるからです。
■みなさんの現場では、
職員に対して、
組織の価値観を押しつけているでしょうか?
それとも、
職員の価値観を解放しているでしょうか?
みなさんの現場における「表彰」は、
「成果を上げろという組織の価値観を判れ」
というメッセージになっているでしょうか?
それとも、
「あなたたちが価値観をもっと出してチャレンジすることを応援するよ」
というメッセージになっているでしょうか?
職員のモチベーションを下げるか、上げるか、
「表彰」が、
180度異なる効果につながるということです。