良い結果になるかどうか、対話の前から決まっている。

良い結果になるかどうか、対話の前から決まっている。

■ある人との良い関係性をつくる上で、

「コミュニケーションの総量」

ということを考えたことがあるでしょうか?

 

どんなに正しいことを伝えようとしても、

どんなに対話のテクニックを活かしても、

なぜか、良い関係性にならない、ということがあります。

 

もし、相手との良い関係性をつくりたいなら、

コミュニケーションの総量を振り返ってみることが必要となります。

 

そもそも、コミュニケーションの総量が少ないと、

行儀の良いことしか言えないものです。

 

つまり、当たり障りのないことしか言えない関係性から、変われないのです。

 

■たとえば、もし自分が、

普段、コミュニケーションがない人から注意・指摘されれば、

「この人は口を開けば注意・指摘する人だ」

と認識することになります。

 

そして、

「だからあまり話したくない」

と感じてしまうものです。

 

一方が

「あまり話したくない」

と感じていれば、

両者の間に良い関係性を築くことは、極めて難しくなってしまいます。

 

相手から

「この人とはあまり話したくない」

と思われてはいけないとなれば、

おのずと

「注意・指摘しにくい」

「注意・指摘したくない」

と、遠慮してしまうことになります。

 

本当は注意・指摘すべきだと思っていながら

付き合いが続いてゆくと、

ストレスが蓄積するので、

自分自身の精神衛生にも良くないばかりか、

相手との関係にも良くない影響が生じることは明らかです。

 

■職場でも同じことが言えます。

 

たとえば、会議でも、

普段、コミュニケーションがない人が、

大胆な意見や細やかな視点から話をすれば、

周囲の目には、

「この人はすっとんきょうな人だなぁ」

と映ってしまいます。

 

本人もそう思われては困るので、

おのずと、大胆な意見や細やかな視点から話すことができません。

 

となれば、

褒めたり、

追従したり、

社交辞令を言うなど、

当たり障りのないことしか言えない、という事態になります。

 

その結果、その会議では、

大胆な意見、些細な違和感を話すことはなくなるので、

つまるところ、

「ほどほどに必要な話」

しかしなくなるため、

抜本的な改善は生まれなくなってしまうのです。

 

これでは、いわゆる予定調和とかシャンシャン総会と言われるような、

儀礼的な集いとなってしまい、

会議が意味をなしません。

 

■これらは、いずれも、普段のコミュニケーションの総量が少ないことに起因することがお分かりでしょう。

 

したがって、

もし、良い関係性を築いたり、

忌憚のない意見交換をすることで意味のある会議をしようとするならば、

「普段のコミュニケーションの総量を多くすること」

です。

 

自分が用事がある時にだけ、場当たり的に取り繕っても、良いコミュニケーションはできないということです。

 

■ただし、

「コミュニケーションを増やすために、ただ話せば良い」

と言うわけではありません。

 

世間では、

「接触回数が多いほど好印象を持つようになる」

というザイオンス効果(単純接触効果)なる無責任な理論が有名ですが、

そんなことはありません。

 

この効果がもし本当なら、結婚して同居した夫婦が、離婚することにはなりません。

 

会うたびに

「あの人とはあまり話したくない」

と感じるようであれば、

接触回数が増えるほど、嫌いになることは目に見えているでしょう。

 

闇雲に接触回数を増やせば良いと言うことではないということです。

 

■では、どうすれば良いか?

 

まず、

「お互いに話しやすくするコミュニケーションを増やす」

ことです。

 

自分がある人と話しやすくないのは、

「こんな話をしたら軽蔑されるかもしれない」

「失望させてしまうかもしれない」

「悲しませてしまうかもしれない」

「この話をしたら距離を置かれてしまうかもしれない」

「いままでのように協力してくれなくなってしまうかもしれない」

「自分のやろうとしていることに反対されるかもしれない」

「実際に、邪魔されてしまうかもしれない」

「第三者に話されてしまうかもしれない」

などなど、

・・・つまり、

「どうとられるかわからない」

という不安が原因となっているからです。

 

ということは、

まず自分から、

相手の

「どうとられるかわからない」

という不安を取り除けば良い、ということになります。

 

そのためにできる、最もシンプルな態度は、

「なんでも言ってみて」

と、つねに相手を承認するということです。

 

■普段、つねに

「なんでも言ってみて」

と相手の不安を取り除き、

話しやすい存在になり、

コミュニケーションの総量を多くすることができていれば、

良い関係性が築かれ、

また、いざ、

「どうしても伝えたい」

という時にも、良い関係性を損なわずに伝えることが可能となるのです。

「びっくりしないで聞いてくれるかな?」

「大丈夫!いつものことだから、慣れてるよ」

となるわけです。

相手によって話し方を変えるとか、

たくみな質問で本音を引き出すとか、

座る場所を工夫するなどといった場当たり的で付け焼き刃のようなコミュニケーション・テクニックでなんとか乗り切ろうとするのは、

良い人間関係を築くにあたっては不遜な思想と言わざるを得ないでしょう。