■我が国は、
高度経済成長期の大量生産の時代を経て、
長らく、結果主義が染み付いてきました。
そのため、
「結果が全て。仕事なんだから」
「数字が上がらなければ、意味なし」
とまで言われてきました。
子供には、
「努力が大事」
と教えつつ、社会では、
「結果が出なければ、いかなる努力も無意味」
と言い切られてきました。
■ところが、今日では、
結果だけではすべてを測れない時代になってきました。
いくら売上をあげても、
職員が辞めていては、
結局、利益が少ない、ということが起きます。
いくらお客さんを集めても、
偽りの広告を使っていれば、
かえって不信・不満の声がインターネット上に
拡散されてしまい、
その副作用の方が甚大となるでしょう。
教育研修費を節約してコストダウンをしても、
個人情報が漏れたりすれば、
それ以上の損害賠償に見舞われ、
その副作用の方がかえって大きくなってしまいます。
こうした状況があるにも関わらず、
経営者・上層部が結果だけしか見ていなければ、
どうなるでしょうか?
現場が結果の出ることだけに専念してしまうので、
副作用によって大きな損害を被りかねません。
いまや個人も発信できる時代ですから、
現場職員が結果だけを追究してしまい、
クライアントやステークホルダーへの対応が悪ければ、
いっぺんに悪評が広まり、
たいへんなことになってしまうのです。
■こうしてみると、
「数字だけを出せば良いと言うものではない」
と言うことがわかるでしょう。
「そのプロセスが、
社会に受け入れられるものだったのか?」
という配慮が尽くされていなければならないということです。
では、
経営者・上層部・管理職であるみなさんは、
現場職員の方々に
「プロセスも大事だ」
と、伝えているでしょうか?
しかし、伝えているだけでは、現場の状況がどうなっているかは、わかりません。
それはつまり、
いつ問題が起こるかわからないということです。
もし、実際に、クレームが生じた時に、
その当事者である部下職員本人が、
プロセスをみずから釈明できなければ、
経営者・上層部・管理職の方々もまた、
部下職員のプロセスを理解してやることはできません。
これでは、
経営者・上層部・管理職の方々と、部下職員の関係は悪くなってしまうだけです。
こうしたことが起これば、
部下職員は、
「結局は、結果しか見てもらえない」
と、プロセスに配慮することをやめてしまい、
結果が出ることだけしかしなくなってしまいます。
経営者・上層部・管理職側としても、
「部下職員が、どんなやり方をしているのか?」
がわからなければ、
今後もどんなクレームや不都合が現場から生じるのかわからないということになってしまいます。
■そこで、これからの時代に必要となるのは、
「現場職員が、プロセスを説明できる力」
と、
「経営者・上層部が、プロセスを理解する力」
だと言えるでしょう。
たとえば、
「クレームが生じた」
という事態でも、
すぐにヒヤリハットやインシデントだと判断するのではなく、
どのようなプロセスがあったのか?の情報を確認してから
判断できるようにする、ということです。
そのためには、
「いかに適正な対応を尽くしたのか?」
を、現場の職員がきちんと釈明することができなければなりません。
釈明は、
「最近、気をつけていました」
「できるだけ、配慮するようにしていました」
といった漠然とした情報では足りません。
逆に、
「何月何日の何時頃、院内のどこで、
誰がいた場で、誰がどのようにしたのか?」
と具体的でなければ、説得力はありません。
また、
「何度も繰り返し伝えました」
では足りません。
「いつといつ(何回)、どのような言葉で伝えたのか」
と具体的であることです。
さらに、
「できる限りわかるように努力しました」
では足りません。
「口頭で伝えましたが、ご理解いただけなかったようなので、
次には、書面を提示しながらお伝えし、
その次の時には、お伝えしてから書面をお渡しし。
さらには、電話でも念を押し、
ご家族にもご協力をお願いしました」
というように、打てる手をすべて打ってきたことを、具体的に説明できていて、
初めて、聞く側は、
「できる限りのことをした、というプロセスがあったのだ」
と、理解することができるのです。
■このように、すべての職員が、
「プロセスを表現する力」
を身につけることが重要です。
上司や同僚に対して釈明することができることもメリットですが、
患者さんやご家族に対しても、
「医療機関としてできる限りの手を尽くしたのだ」
ということが説明できることで、
「結果は満足できるものではなかったが、
病院の職員の方々は実によくやってくださったから、感謝する」
と、理解していただけることにつながります。
■一方、経営者・上層部・管理職の側も、
「呼んで伝えるのではなく、こちらから訪ねる方がよかったのではないか」
「書面を渡す場合にも、その方法について、相手の了承を得てからにした方が、ご機嫌を害されなかったのではないか」
「いきなり結論から話すのではなく、選択肢をすべて伝えてから、その中でどれが最善と思われるか、こちらの意見を述べた方がよかったのではないか」
「直接の担当者だけでなく、上司も同席するような配慮をした方が良かったのではないか」
などのように、
どのようなプロセスが良いプロセスか?といった
「プロセスを理解する力」
を身につけることが重要となります。
それによって、
「部下職員が、良いプロセスを踏んでくれたのかどうか」
を判断し、
部下職員に対して、より良いプロセスの方法を助言してあげることができるようになるのです。
■もしかしたら、
プロセスを説明することが、
昭和時代の古い体質の人には、
言い訳をしているようで、抵抗があるかもしれません。
また
「言い訳などしたくない」
とつまらない見栄を張る自分中心な人もいます。
しかし、こんにちでは、
「具体的に、何があったのか?」
を情報共有することが、
正しい対処や今後への対策を適正にするためには、
むしろ必要なことなのです。
部下職員も客観的な事実の情報を表現してもらわなければならず、
経営者・上層部・管理職も、そうした客観的な事実を踏まえて、結果だけにとらわれない判断をできなければなりません。
世の中のニュースを見れば、
世間の人が、いかにプロセス情報に慣れていないかがわかるでしょう。
学校がいじめの存在を隠したり、
大学が職員の不正を是正できなかったり、
政治家が国民の不信を買ったり、といったニュースの枚挙にいとまがありませんが、
そして、当事者が、
釈明できるようなことをしていないのであれば、言い訳を聞く必要もありませんが、
もし、できる限りのことをしてきたのであれば、
ただただ批判を受け続けるのではなく、
「こうしたことを、ここまではやり尽くしたのです」
「他の誰がやっても、これ以上にはならなかったのではないでしょうか」
と現実的な話をすることが、
社会にとっても、今後に資するはずです。
しかし、いまの我が国にには、
プロセスを表現できる人も少なければ、
プロセスを理解し適否を判断できる人も少ないのが実情でしょう。
■しかし、病院組織の中では、
「仕方ない」
と言ってもいられません。
「クレームが上がったからダメ」
「ミスが起きたからダメ」
と言っていたら、
状況がわからずに反省するだけなので、
本当に有効な改善には繋がらないからです。
また、言い訳をしたくないと言っている職員自身も、
実は
「結果だけで全部判断されるのは、実は不本意」
と感じているものです。
その本音を無視して結果だけで評価すれば、
誰しもやがて疲弊して、
辞めていってしまうでしょう。
「どんなプロセスがあったのか?」
を把握した上で、
「そのうえで、より良くするためには、何をすれば良いのか?」
を具体的に判断しなければ、
本当の改善にはならないでしょう。
■では、普段、現場において、部下職員は、
「いつ、誰が、何を、どのようにしたのか」
を具体的に釈明できるように、情報を蓄積しているでしょうか?
そうした情報の蓄積がなければ、
「どれだけ、手を尽くしてきたのか?」
を後々説明することができません。
また、経営者・上層部・管理職も、
「日々、現場で、誰が何をどうしているのか?」
といった情報にアンテナを張っているでしょうか?
現場から情報が上がってこなければ、
把握しようがないかもしれません。
■そこで、
日々の情報を、
つねに言語化し、
大事なことは記録に残す、
負担の少ない方法を講じることが必要となるでしょう。
そのための、コミュニケーション・モデルが、
患者サービス研究所が提唱する
「HIT-Bit」
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日常、HIT-Bitを行なっていると、
現場の状況が常に言語化され、記録に残るので、
驚くほど、現場の状況がわかります。
経営者・上層部・管理職は、プロセスを理解することができ、
現場の部下職員は、プロセスを表現する能力が、
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