それも指示命令体質?! (12) 「権限委譲・エンパワーメント」

それも指示命令体質?! (12) 「権限委譲・エンパワーメント」

■「職員が自発的に考えて行動するようになるには、

どうすれば良いか?」

は、組織経営者や管理職にとっては、

永遠のテーマかもしれません。

 

どうすれば、

トップ・ダウン型の組織から、ボトム・アップ型の組織へと

変えられるのか?

 

これはまさに、

指示命令体質から、自律進化組織へと

どのように変えるか?ということです。

 

そして、

そのポイントの一つとして古くから

「権限委譲」

が重要だと言われているのは、

みなさんもご存知の通りでしょう。

 

「エンパワーメント」

とも言われています。

 

責任と権限を職員に持つことで、

部下職員は、

その業務についての当事者とならざるを得ません。

 

そうした体験が、

「自分で考えて行動する」

ことの端緒となるはず、という発想です。

 

しかし、

このブログをお読みくださっているみなさんは、

その発想が古いということに

すでにお気づきのことでしょう。

 

古いというよりも、

この発想では、

自律進化組織にはなるどころか、

指示命令体質を助長することになる、ということです。

 

■なぜなら、

エンパワーメントとは、

「パワーのある状態にする」

という意味であり、

 

それは、

「上司が部下にパワーを与える」

ということを意味しているからです。

 

また、

権限委譲とは、

「委譲する」

のは、上司です。

 

「上司が部下に委譲する」

ということを意味しています。

 

つまり、

ことごとく上司が主体です。

 

わたしたちに、自律進化体質が浸透していれば、

おのずと、

「部下が主体」

の表現が自然に出て来るはずです。

 

しかし、

このように、意外に、

「上司が主体」

ということに違和感を覚えません。

 

いまの世の中にも、わたしたちの感覚の中にも、

びっくりするくらいに

指示命令体質が染みついていることが明らかでしょう。

 

そして、

「上司が主体」

となって、

「こんど、この件は、きみに責任を持ってやってもらう。

自分の判断で進めてごらん」

と権限委譲(エンパワーメント)をしても、

 

部下の方の、

「わかりました。頑張ってみます」

という姿勢に変わりはありません。

 

その任務を終えたらまた、

「次はいつまた、任務が降りて来るのだろうか」

と、受け身のままでいるだけです。

 

考えてみれば、

「どうぞ、自律進化しなさい」

とお膳立てされていたら、

それ自体がトップ・ダウンです。

 

この上司が主体の

「権限委譲」

「エンパワーメント」

という言葉をごく自然に使ってしまっているほど、

指示命令体質の染みついているわたしたち自身に

驚かされます。

 

このままでは、

自律進化組織は遠いでしょう。

 

部下が

「また委譲されるんですよね」

と思っているようでは、頭が痛いですね。

 

上司も、

「また委譲われるんですよね、じゃねーよ!」

と怒るくらいでなければ、頭が痛いです。

 

■そもそも、上司がお膳立てするのではなく、

上司がエンパワーも委譲もしなくて良い状態であってこそ、

「部下が主体」

と言えるはずです。

 

具体的には、

「権限委譲」「エンパワーメント」といった

上司が主体の言葉は廃止しましょう。

 

そして、

エンパワーメントという言葉を使わずに、

「パワーテイキング」

とすることをお勧めします。

 

上司が何も言わなくても、

部下がみずから、パワー(権限)を、テイクする(取る)ことが

できてこそ、

自律進化組織です。

 

また、

権限委譲という言葉をやめて、

「権限奪取」

としてみてはいかがでしょう。

 

上司が気づいていなかったり、

着手していないことについては、

部下が

その権限を虎視眈々と狙っており、

適宜、奪い去ってゆくということです。

 

上司が進めないことは、

「隙あらば、わたしが進めてしまいますよ!」

という部下の姿勢です。

 

上司がうかうかしていると

本当に席んと権限を、どんどん部下に取られてしまう、

というアグレッシブな組織となります。

 

そうなってこそ、

本当のボトム・アップ組織であり、

「自律進化組織」

と言えるでしょう。

 

■さて、

みなさんの現場では、

部下職員から、

「やりたいことはいくらでもあります!」

「隙あらば変えてゆこう」

という声が聞こえてきますでしょうか?

 

もし聞こえてこないとすれば、

部下職員の方々にも、

「変化は上から降りてくるもの」

という指示命令体質がしみついている恐れが、

大いにあるでしょう。

 

では、明日から早速、

「権限委譲」

「エンパワーメント」

といった、上司が主体の言葉を禁止して、

 

「権限奪取」

「パワーテイキング」

といった、部下が主体の言葉を使うことをお勧めします。

 

そして、

一日も早く、

部下職員の方々が、

上司が進めないことについては、

「隙あらば、わたしが進めてしまいますよ!」

と迫って来るアグレッシブな組織体質へと、

 

組織づくりをされることをお勧めします。