■経営者や管理職であれば、
職員に
「お金じゃない」
「理屈じゃない」
と思うくらい、仕事にポリシーを持って欲しい、と思っていることでしょう。
実際、
「なぜ働くのか?」
と問われて
「お金のため」
と答える人ほど気の毒な人はいません。
なぜなら、
お金のためだけに働いているということは、
時間の切り売りであり、
二度と帰ってこない人生の一部をお金に変えているということを意味しているからです。
もし人生が4時間だったら、
3時間45分かけてご飯を炊いたにも関わらず、
炊けたご飯を15分で食べ終えて死んでゆくのと、
変わらない、と言えるでしょう。
なので、
仕事を、単なる人生の切り売りにしてしまってはなりません。
また、お金のために働いている人のサービスは、
おのずとビジネスライクになるので、
サービスを受ける側にとって心地よいものにはなりません。
誰も幸せになりません。
というわけで、
お金のためではない、
「働く意味」
「働く価値」
がなければならない、ということです。
「そこまでしてやらなければいけないのか?」
と思うでしょうか?
■しかし、実際、その医療機関においても、
病院の理念を定めているでしょう。
理念こそ、みなさんがすでに実践してきた
「働く意味」「働く価値」
の宣言そのものでしょう。
現に、理念には、たいてい、
「わたしたちがどんなに素晴らしい仕事をしているのか?」
をうたっているはずです。
ならば、その理念、
「働く意味」「働く価値」を、
画餅にするのではなく、
きちんと現場に浸透させることが必要ではないでしょうか?
■ところが、
「それを職員に、どうやって浸透させるか?」
という現実的な話になると、途端に、
多くの経営者や管理職が
「そんな価値観あるの?」
「みんな価値観は人それぞれじゃないか?」
と言い出し、及び腰になる傾向があります。
職員が金のために働くのではよくない。
理念でも働く意味を宣言している。
にも関わらず、それ以上はなにもしない……、
これでは、結局
「金のために働く集団」
でしかなく、もったいないことです。
■そのとき、ブレーキになっているのが、
「人の価値観は人それぞれ」
という諦め感なのではないでしょうか?
「職員満足度が高くなければ、生産性も患者満足度も上がらない」
と言いつつも、結局は
「職員満足は、人それぞれ」
と前提してしまうために、
「やりがいだとか誇りだとかを押し付けてはダメ」
という結論に陥っているようです。
そのため、
「では、誰もが関心を示すのはなにか?』
と考え、
結局、多くの組織がやっていることは、
待遇改善と制度設計です。
しかし、
お金をかけ、待遇をよくしたり施設設備を綺麗にしても、
それほど感謝されることはありません。
職員の方々は、
「そういう予算がとれるほど、利益はあったんだね」
と理解するからです。
また、職員満足度を現すもっとも重要な指標とされているのは
「離職率」
ですが、
「なぜ離職するのか?」
を見れば、そのほとんどが
「人間関係で」
であることはご存知の通りです。
つまり、
職員の職員満足をもっとも左右しているのが人間関係であることが明らかなのに、
組織の経営者・管理職は、一生懸命に待遇改善や制度設計をやっている、
という不毛な施策が行なわれているということです。
■そこで、とりもなおさず素朴な疑問ですが、
なぜ、やりがいや誇りのある職場づくりが大切なのにも関わらず、
「やりがいや誇りは、人それぞれだから」
で諦めてしまうのでしょうか?
「危機感を持って欲しい」
という時、
「何に危機感を覚えるかは人それぞれだから」
といって、何も発信しない組織があるでしょうか?
「業務に責任感を持って欲しい」
という時、
「どういうポイントで責任を感じるかは人それぞれだから」
といって、何も訴えないでしょうか?
たしかに、
何に危機や責任を感じるかは、人それぞれですが、
経営者・管理職は、
諦めたりせず、根気よく何度も発信してこなかったでしょうか?
■そもそも
「人それぞれ」
を気にすること自体、重要なことを見失っている証拠です。
むしろ、
万人に共通の価値観にアプローチすると、
本質を突くので
手間はかからず深いアプローチになります。
全員に響くアプローチをした方が、
全員の心に深く刺さる、ということです。
では、
医療従事者の方々全員に刺さる「やりがいや誇り」とはなんでしょうか?
それは、とりもなおさず、
「患者さんに喜ばれること」
「患者さんから感謝されること」
のいずれかでしょう。
とすれば、
「やりがいや誇りは人それぞれだから」
と何も発信しないのではなく、
「患者さんに喜ばれること、患者さんから感謝されること」にフォーカスして、
職員を啓発してゆくのが良いということです。
「患者さんに喜ばれる瞬間」
「患者さんから感謝される瞬間」
が多い現場になるほど、
職員は、
「お金じゃない」
「理屈じゃない」
という価値を感じることができ、
さらにモチベーションを高め、
仕事にポリシーを持って日々に臨んでくれるようになるはずです。
では、
「患者さんに喜ばれる瞬間」
「患者さんから感謝される瞬間」
に満ちた現場を実現するにはどうすれば良いでしょうか?
そのためのもっともシンプルな方法、
それが
「HIT-Bit」
です。