連携力は、いざという時の対応力に現れる

連携力は、いざという時の対応力に現れる

■以前から、管理職となれば、

「チーム・ビルディングができなければならない」

とされています。

 

昨今は、

「チーム医療が大事」

と言われ、チームを超えた協力関係が重要とされています。

 

院内においても、

「チーム同士が円滑に協力しなければならない」

「横串を通すための仕組みが大事だ」

と言われていることでしょう。

 

そして、いまは、それがさらに進み、

「地域連携が大事」

と言われ、施設を超えた協力関係が重要となってきました。

 

もはや、

病院の中だけではなく、

連携先医療機関、連携先福祉施設・自治体・地域コミュニティなど、

さまざまな他の組織との協力関係を築けなければ病院の存続に関わる、という時代になってきたのです。

 

では、何をすれば良いのか?

 

■その最も重要なポイントは、

やはり、

「管理職が、それぞれの部署で

チーム・ビルディングをすること」

となります。

 

なぜなら、

チームが一枚岩になっていなければ、

職員一人ひとりが、積極的に、他部署や他施設と関わることができないからです。

 

たとえば、

チーム内がまとまっていない状態の中では、

ある職員が、

「こんなことを始めたい」

「こんな風に変えたい」

「患者さんにこのようにして差し上げたい」

と思ったとしても、

それを話した時、

 

チームの他の職員から、

「それは必要ない」

「なぜそんなことを言うのか?」

「余計なことをするな」

とブレーキをかけられてしまうことでしょう。

 

これでは、

「うかつに他部署と相談もできない」

「勝手に他施設と相談するわけにもゆかない」

ということになってしまいます。

 

そう感じた職員は、

他部署や他施設と関わる時には、

「必要最小限のことにだけ、応じよう」

という姿勢になってしまうことは明らかでしょう。

 

協力関係どころか、

「いかに協力しないか」

という対応になってゆくのです。

 

つまり、

チームの中が一枚岩にならなければ、

チーム医療もできず、

ましてや

柔軟で積極的な地域連携などできない、とういことです。

 

■かといって、

「チーム医療が大事」

「地域連携が大事」

といって現場が変わるわけではありません。

 

最も重要なのは、

「新しい依頼や相談に賛同的な組織」

つまり

「何事にもグレッシブな組織体質」

であること、と言えるでしょう。

 

もし、現場が

基本的に変化を好まない組織

つまりネガティブな組織であれば、

新たな依頼や相談があるたびに

「なんで?」

「必要なの?」

と、逐一、驚いて拒むことになります。

 

そのチームの本人たちも好まざる変化を不快に感じ、

依頼元や相談元も良い気持ちはしないばかりか、

協力も得られないので、

「できたはずのこともできない」

という結果となってしまいます。

 

これが続けば、

間もなく、誰も依頼も相談もしなくなってしまいます。

 

反対に、現場が

基本的に新たな依頼や相談に積極的な組織であれば、

いつも

「喜んで!」

と応じてくれることになります。

 

「こんなことを相談してよいものか」

ということも、相談してみれば

「そんなことならお安い御用ですよ!

もっと早く言ってくれれば良かったのに」

と前向きに対応してもらい、

「実現できると思っていなかったことが実現できた!」

ということにもつながります。

 

この違いは、

「原則としてアグレッシブ(新たな依頼や相談に賛同的)」

なのか、

「原則としてネガティブ(新たな依頼や相談に否定的)」

なのか、の違いです。

 

■「その組織がアグレッシブか。ネガティブか」

が、最も明らかになるのは、

イレギュラーなことが起きた時です。

 

ネガティブな組織であれば、

変化に対する耐性がないため、

イレギュラーな依頼や相談が人から人へ伝わるたびに、

「なんで?」

「必要なの?」

「どういうこと?」

「誰が言ってるの?」

「やらなきゃダメ?」

と、それぞれの場面でいちいち摩擦が生じ、

結局、その途上で、依頼や相談が消えてなくなってしまう、ということになります。

 

一方、

アグレッシブな組織であれば、

変化にも賛同的なので、

イレギュラーな依頼や相談があっても

「喜んで!」

「待ってましたよ」

「ついでに何かしましょうか?」

「他に頼みたいことは?」

「またいつでもどうぞ!」

と、快く引き受けられるので、

迅速に、的確に、依頼や相談が引き継がれ、

望んだ以上の協力が得られる、ということにもなるでしょう。

 

なので、地域連携が大事とは言われますが、

連携力があるかないかは、

「いざ」という時の対応力に現れる、ということです。

 

■みなさんの現場では、イレギュラーなことがあった時に、

職員の方々が、どちらの反応をすることが多いでしょうか?

 

もし、

「喜んで!」

「待ってましたよ」

「ついでに何かしましょうか?」

「他に頼みたいことは?」

「またいつでもどうぞ!」

といった反応が多い、アグレッシブな組織体質なら、

とても頼もしいですね!

 

きっと、

部署間にも良い協力関係があり、

他施設からの依頼や相談に対しても誠実に対応してくれていることが想像されます。

 

反対に、

もし、

「なんで?」

「必要なの?」

「どういうこと?」

「誰が言ってるの?」

「やらなきゃダメ?」

といった反応が多い、ネガティブな組織体質なら、

部署間でも

「協力し合えば実現できるはずのことが行われていない」

ということが起きていることでしょう。

 

まして、他施設からは、もしかしたら

「あの病院では、問い合わせをしてもたらい回しにされる」

とか

「伝えて欲しいと頼んだことが伝わっていない」

とか、

「頼んでみると、関係部署に確認することもせず、即答で断られた」

といったことを言われている可能性があります。

 

せっかく、

役員や連携担当者が近隣を回って、

関係づくりをしてきていても、

これでは台無しです。

 

「院長先生がわざわざ挨拶に来られたので

患者さんを紹介したが、

その患者さんについて問い合わせた時に、

職員はまったくもって不親切だった。

そんな病院には、

これからは、大切な患者さんを紹介できない」

ということが起きている可能性がある、ということです。

 

■では、どうすれば、

「原則としてネガティブ(新たな依頼や相談に否定的)」

な組織体質を、

「原則としてアグレッシブ(新たな依頼や相談に賛同的)」

な組織体質に変えることができるでしょうか?

 

そのためには、

まず、

①管理職が

②毎日

③リマインドする

ことが必要です。

 

▶︎①管理職がプロモートすること

 

組織の体質を変えるということは、組織の日常を変えるということです。

 

したがって、つねに日常の現場にいて、日常の職員と接している管理職をおいてほかに、組織体質を変えることができる人はいません。

 

管理職が旗振りをすることです。

 

では、どのように旗振りをするか?

 

▶︎②毎日

 

組織の体質を変えるということは、組織の日常が変わるようにするということです。

 

したがって、毎月1回の会議や、3ヶ月に1回の研修などで、どうにかなるものではありません。

 

ということは、

毎日行なわれる仕組みが必要不可欠となります。

 

▶︎③リマインド

 

組織の体質を変えるということは、組織や上層部の価値観や用事を押し付けることでは実現できません。

 

組織のカルチャーをつくるということなので、

「アグレッシブだといいよね」

「アグレッシブを美徳としているよ」

というリマインドをする、ということになります。

 

そのためには、

職員が新しい依頼や相談に賛同的になるように

まずは、

管理職自身が職員に対して、つねに賛同的になって見せることです。

 

具体的には、

「なんでも言ってみて。できる・できないは後で決めれば良いのだから」

と発信し、

職員からさまざまな意見を引き出す、ということになるでしょう。

 

「なんでも言ってみて。できる・できないは後で決めれば良いのだから」

という投げかけは、

「あなたの価値観を聞きたい。そして応援したい」
という意思表示です。
 
そして、同時に、
「あなたの言うことなら、原則として賛同するからね」

とリマインドするという意味も持っています。

 

管理職が毎日、

「なんでも言ってみて。できる・できないは後で決めれば良いのだから」

と言ってくれるチームにいれば、

職員は、
「このチームなら、どんなことでも依頼したり相談できる」
と感じることができます。
 

そうなった時、その職員は、

他部署からの依頼や相談に対しても、

心から安心して、

「喜んで!」

「待ってましたよ」

「ついでに何かしましょうか?」

「他に頼みたいことは?」

「またいつでもどうぞ!」

と応じることができるのです。

 

円滑なチーム医療を実現するには、

管理職による、

こうしたチーム・ビルディングが必要不可欠です。

 

さらには、他施設からの依頼や相談があった時にも、

心から安心して、

「喜んで!」

「待ってましたよ」

「ついでに何かしましょうか?」

「他に頼みたいことは?」

「またいつでもどうぞ!」

と応じることができます。

 

こうしたチーム・ビルディングができれば、

地域連携を円滑にし、連携先から

「あの病院なら、誰もがあたたかい。安心して協力し合うことができる」

と言われるようになるでしょう。
 
■では、具体的に、
①管理職が、②毎日、③リマインドするには、
どうすれば良いでしょうか?
 
そのためのコミュニケーション・モデルが
「HIT-Bit」
です。
 
職員同士が協力的で、
変化に対する耐性の強い組織となり、
さまざまな依頼や相談に賛同的な、
アグレッシブな病院を創られることをお勧めします。