■自律進化組織の管理職と、指示命令体質の管理職とでは、
現場で、思いがけない良い事例が生まれた時に、決定的な違いが現れます。
たとえば、クライアントから「みなさんの対応が良い」と大変喜ばれた時、
自律進化組織の管理職は、次のうちどのように行動するでしょうか?
- チームの部下たちと一緒に喜ぶ
- チームの部下たちを高く評価する
- 自分自身も対応が良いと言われるように行動する
- クライアントにヒアリングする
=====
■自律進化組織づくりのコミュニケーション・モデル
『HIT-Bit®︎』を実施している現場では、
管理職の方々から
よく
「今月も、みんな良い意見がありました」
「最近、前向きな意見が増えてきました」
といった話をよく聞きます。
HIT-Bitをしていれば、
現場から自然に進化が生まれるのは、当り前です。
HIT-Bitは、自律進化組織づくりのための
最短最速の最もシンプルな方法なのです。
しかし、
それだけでは、
マネジメントとは言えません。
組織づくりができているとは言えないからです。
というのも、
「今月も、みんな良い意見がありました」
「最近、前向きな意見が増えてきました」
といった感想を持つだけでは、
単なるWatcher(見ている人)だからです。
たとえば、
進化とは言えなくても、
通常通りの運営をしている中でも、
医療現場なら患者さんやご家族との間で、
ビジネスならクライアントとの間で、
感動的なエピソードの一つや二つあるでしょう。
それを、生み出せないよりは、
もちろん生み出せるチームであることは
はるかに良いことです。
しかし、
良い事例を生み出そうと思ってそうなったわけでなく、
「たまたま、
結果的に良い事例が生まれた」
ということであれば、
それは
マネジメントではありません。
「良いエピソードがある時はあるが、
ない時はない。
次にいつそんな事例が生まれるかは、
皆目わからない」
これでは、
組織づくりができているとは言えないからです。
「次は、いつ頃までには、
いくつくらい、
こんな事例が飛び出してくる」
と読めなければ、
現場をコントロールしているとも言えません。
マネジメントをしていることにもならないのです。
このWatcherの立ち位置であれば、
残念ながら、
現場をドライブできていないので、
隣の部署のリーダーと大して変わりないと
言わざるを得ないでしょう。
■さりとて、
自分が率先して働き、
良い事例を作り出していたのでは、
これも、
組織づくりができているとは言えません。
この立ち位置は、Maker(自分で作る人)です。
なので、これも
部下スタッフをコントロールできているとは言えないので、
マネジメントではありません。
管理職であれば、
自分がするしないに関わらず、
部下スタッフがどんどん発言し行動してくれるように
組織づくりをしていなければならないからです。
■では、管理職はどうあるべきか?
部下スタッフから
より多くの良い発言を引き出し、
より多くの良い行動を引き出し、
その中から生まれる
より良い事例やエピソードを常に生み出せる組織づくりをすることです。
つまり、
Grower(部下スタッフの力を引き出す人)でなければなりません。
Watcherのように、
(過去に起きたことを)見て喜んでいる場合ではありません。
Makerのように、
自分がプレイヤーになっている場合でもありません。
部下スタッフが明るく元気に進化するよう
力を引き出してパフォーマンスを上げるようにする
Grower(部下スタッフの力を引き出す人)・・・
これが、
管理職に最も求められる役割といえるのではないでしょうか?
■したがって、
現場で良い事例があった時に、
Watcherのように、
「うちで、こんな事例があったんですよ」
と過去に起きたことを喜んでいたのでは、
管理職としては不充分です。
また、Makerのように、
「このようにしたら、良い結果になったんです」
と自分が主役になっていても、
管理職としての役割を果たしているとは言えません。
では、Growerなら、
現場で良い事例があった時には、
どうするでしょうか?
すぐに、
「なぜそのような良い事例が生まれるに至ったのか?」
その原因となる言動を抽出して、
全員に共有することによって、
良い事例を、
できるだけ早く、
できるだけ多く、
再生産しようとします。
そしてその良い事例をその後も、
繰り返し生み出せるようにします。
これが、
意図的・作為的に良い事例を創り出せる組織づくりであり、
マネジメントなのです。
「いかに未来に活かすか?」
「いかに未来をより良くすることができるか?」
と未来を、良い方向へ変えようとしてゆくことこそが、
管理職に最も求められている
マネジメントです。
■せっかくHIT-Bitをして、
良い事例を意図的・作為的に引き出すことができる環境にありながらも、
Watcherになって喜んでいるだけになっている管理職や、
スタッフと一緒になってMakerになってしまっている管理職が多く、
HIT-Bitによって過去を振り返っているだけに
収まってしまっているのが残念です。
管理職であれば、
未来を変えて行こうという野心を持っていることが望まれるでしょう。
もし自律進化組織を目指すならば、
管理職には、
HIT-Bitで、良い事例が上がってきた時、
「この事例を、増やすにはどうすれば良いか?」
「いかに今後に活かすか?」
「いかにこの事例を発展させて、広げるか?」
を考えて、
自律進化をさらに展開してゆく(Growerの)視点を持っていることが不可欠です。
■HIT-Bitをしているにせよ、
していないにせよ、現場から良い事例が生まれた時、
みなさんの現場の管理職は、どのスタンスでしょうか?
冒頭のクイズの
[1] の「チームの部下たちと一緒に喜ぶ」
あるいは
[2] の「チームの部下たちを高く評価する」
だとすれば、
それは、
結果的に起きている成果(過去)を喜んでいる
Watcherです。
良い事例をこれからも創るという
「再現性」
がない姿勢です。
[3] の「自分自身も対応が良いと言われるように行動する」だとすれば、
それは、
より良くしようと思うものの、
自分が率先してしまうため、
組織づくりにはならない
Makerです。
良い事例をみんなで増やしてゆくという
「拡張性」
がないのが残念です。
あるいはもし、
一つでも多くの良い事例が現場から飛び出すよう仕掛けて、
「未来をもっと良く変えたい」と考えている
Growerだとすれば、
それは、
[4] の「クライアントにヒアリングする」
に該当します。
「みなさんの対応が良い」
では、再現することができません。
「いつの、誰の、どの言動がよかったのか?」
をクライアントにヒアリングして確認し、
それを、スタッフ全員で共有して
初めて、
具体的な行動を再現することができ、
みんなで取り組んで拡張することができるのです。
できるだけ具体的にヒアリグすることで、
もっともっとチームから良い事例を引き出すが可能となるのですから、
より良い組織を創る
最も望ましい管理職のスタンスだと言えるでしょう。
ただ褒められて喜んでいるだけ、
あるいは、評価してあげるだけ、
あるいは、管理職がみずから行動するだけでは、
「みんなでより良い事例を増やすこと」
には繋がりません。
「みんなでより良い事例を生み出せる組織づくり」
をするならば、
みんなで再現できるように、
クライアントから具体的に
何が良かったのかヒアリングすることは不可欠となるのです。
はたして、
みなさんの現場の管理職は、
Watcher、
Maker、
Growerの、いずれのタイプが多いでしょうか?
多くの管理職が、
「どうにかして、もっと良い事例を現場から引き出せないか」
と考え
「未来をより良く変える」
ことに常に心を砕いているでしょうか?
つまり、
良い事例が生まれた時に、
つねに、
「いつの、誰の、どの言動がよかったのか?」
を確認しているでしょうか?