■負責病とまでは言わないけれど、
「これも指示命令体質のせいか!」
ということが多々あります。
それほど、私たち自身が自覚できないくらい
指示命令体質が、深く染み付いているからです。
■たとえば、終業時間に、こんな会話を、わたしもよくしていました。
部下の
「お疲れ様でした。お先に失礼します!」
に対して、
わたしも、
「お疲れさま!
そう言えば、来週の資料、できているか?」
「はい、大丈夫です」
「助かるよ。
ところで、今日のあのお客さん、大丈夫だったか?」
「ええ、わかっていただけましたので、問題ありません」
「よかったな。
以前たのんだプロジェクトの件、順調か?」
「はい、少しピッチ上げてゆきます」
「そうか、頼んだぞ。じゃ、気をつけて!」
こんな会話は、どこの現場にもあるでしょう。
■しかし、心理構造を考えてみると、
見えてくるものがあります。
というのも、この会話は、すべて、
上司である私が
「ぼくが指示したことがちゃんと進んでいるのか?」
と聞いているだけです。
つまり、
上司が、上司の価値観を
「ちゃんとやってくれよ」
と、IN-Putしているだけの会話だということがわかります。
そして、部下の価値観を
「本当は、きみはどんなことが気になっているのか?」
「本当は、どんなことをしたいのか?」
「やる気が高まっているのか?それとも落ち込んでいるのか?」
と、OUT-Putさせるような言葉は一言たりともありません。
上司が、
「ぼくの価値観にしか関心がない。
きみの価値観など興味がない」
と言っているのと同じです。
これで、部下のモチベーションが上がるはずもありません。
まして、部下が
「この上司のためなら、ぜひ力になろう」
と思う理由がありません。
■指示命令体質が染み付いていると、
こうしたIN-Putだけの会話にも、
違和感を覚えることがなくなってしまいます。
一方、自律進化体質であれば、
まず、
「今日は何か気になったことはあったか?」
と相手の価値観に関心を示すことから始まります。
なぜなら、
自律進化組織においては、
職員本人が何を感じ、何を考えているかが、
すべての言動の起点となるため、
上司は、部下の気持ちにおのずと関心が向くからです。