トップの号令

トップの号令

■自律進化組織を創るためには、

ボトムアップに徹するべき、と考える経営者・上層部の方々がいます。

 

そうした方々は、

組織づくりについても、

トップダウンをできるだけしません。

 

すると、

「職員が、このプログラムを導入して、

組織を変えたい、と言うなら、許可する」

というスタンスになります。

 

■しかし、これでは、いつまでも、組織改革は起こりません。

 

その理由の1つは、

職員が、組織全体を変えるような大掛かりな改革を

「ぜひ、させてください」

とは言えないからです。

 

それは、職員が

そんな責任を負う勇気を持つことは極めて困難だからです。

 

理由のもう1つは、

職員が、みずからを変えるような視点を持ちにくい、ということです。

 

上層部や上司が求めてもいないのに、

職員自身がみずから、自分の業務の領域を広げてまで、

「もっと向上したい」

と考えて、組織改革を取り入れるということはまずないからです。

 

■わたしたちも、

日頃、つい目先のことにとらわれがちになってしまいます。

 

仕事に限らず、

自分が多く関わっていることで、頭がいっぱいになってしまうことが

少なくないのではないでしょうか。

 

そんな自分を、

どうしても、なかなか客観的に俯瞰することはできないものです。

 

昨今の、スポーツ界の不祥事も、

当事者が、

「世間が自分をどう見るか?」

と、自分自身を客観視できていれば、

ここまで暴走する事態にはならなかったでしょう。

 

また、日頃の中でさまざまな不都合に直面しては、

自分が不幸だと感じることもありますが、

こんにちの日本で暮らしていること自体が

全世界の中で極めて恵まれていることだということを忘れているからでもあります。

 

このように考えてみると、誰にとっても、

「自分を客観的に俯瞰すること」

は、至難の業だということができるでしょう。

 

まして、

大勢の職員からのボトムアップだけで、

自然発生的に組織改革が始まることは、まず不可能です。

 

したがって、

組織が変わるためには、

経営者・上層部による

「必ず変える」

という号令だけは必要不可欠なのです。

 

■また、この号令があれば、

「必ず変わることを、トップが求めている」

と明確に伝わるので、

実際にプログラムが始まった後にも、

「なぜここまでやらなければならないのか?」

「なぜわたしがしなければいけないのか?」

といった不平が上がることなく、

力を合わせて同じ方向へと進んでゆくことが可能となります。