人間心理は「二層構造」!シンプルすぎる本質部分

人間心理は「二層構造」!シンプルすぎる本質部分

■「人の心はわからない」
とよく言われます。

実際、わかりません(笑)。

ただし、心理構造を見れば、
そのうちの「大事な方の半分」は、
明らかに見えてくると言えるのではないでしょうか?

そもそも人の心は、
「二層構造」
になっています。

すなわち、感情と思考です。

■まず、
心理の根底にあるのは、この「感情部分」です。

というのも、人間は生まれた瞬間から感情を持っていて、
不安や恐怖や不快を覚え、
泣きながら生まれてきています。

生まれた時にすでにあるということから、
「感情」
は、原始的な心理であることがわかります。

そして、原始的な心理なので、
「安心できて明るいか、不安によって暗いか」
と、シンプルな一次元のものさししかありません。

その感情に、
「感情エネルギーが大きいか小さいか」
という強弱がともなうだけです。

そして、この感情エネルギーが、
さまざまな思考や行動を起こす原動力となっています。

したがって、
「感情部分」
とは、
人の心のうちの
「大事な方の半分」
と言えるのではないでしょうか。

先天的で原始的な心理構造、つまり心の本質なので、
誰にでも共通しているはずで、
シンプルなものとなるのです。

■その後やがて、人間は、
徐々に両親の声や感触によって安心できることを学ぶなどして、
記憶するようになります。

そして、
その記憶を組み合わせてさまざまに考えを巡らせるようになります。

「Aが起きれば、Bも起きる」
「Cを行なえば、Dが生まれる」
といったさまざまな回路のパターンを学習してゆきます。

その回路のパターンを組み合わせたりして、
発言したり、行動したりするようになります。

これが情報の蓄積と加工、
すなわち、「思考部分」です。

これは、ちょうどコンピューターが行なっていることと同じです。

ただし、コンピューターには、感情がないので、
ひとりでに行動したり、
無駄なことを言ったり、行なったりすることがなく、
そこが人間と異なるところでしょう。

ただし、身につけた
記憶や回路のパターンが必ずしも正しいとは限りません。

また、人それぞれ、体験が異なるので、
学習して身につけた回路のパターンも人それぞれです。

同じことに対して、
喜ぶ人もいれば、悲しむ人がいるのもそのためです。

過去の体験によって、
「Eをすれば、絶対にFが起きる。だから絶対にEはしない」
と学習する人もいれば、
「Eをしても、Fになるとは限らない。だからもっとEをする」
と学習する人もいるのです。

このように、
思考は、体験によって形成される後天的なものであり、
体験は人それぞれすべて異なるので、
千差万別で、
複雑なものとなるのです。

■ちなみに、この「思考」は後天的なものなので、
やがて加齢とともに衰えることもあります。

情報の蓄積や加工が正常に行なわれない場合、
認知症と名付けられることもあります。

一方、
「安心か、不安か」
という感情は、先天的なものなので、
死ぬ瞬間まで無くなることはありません。

■このように、
人間の心を「感情部分」と「思考部分」の
二層構造としてとらえてみると、
半分がすっきりと見えてくるのではないでしょうか?

たしかに、
「思考部分」
は複雑です。

何にどんなこだわりを持っているのかは、
さっぱりわかりませんから、

なにを与えれば喜ぶのか?
何を言えば気を良くするのか?
……などを考えても、まず当たらないものです。

趣味や食の好みにいたっては当てるのは不可能でしょう。

なので、
「思考に訴えて人を巻き込もう」
とすることは、実は至難の業です。

相手の思考に合わせて訴えようとしても、
複雑多様な思考回路のパターンのどれかにフックすることは難しく、
フックしたとしても浅いからです。

しかし、一方、
「感情部分」
は、びっくりするくらいシンプルです。

「安心できて明るいか、不安によって暗いか」
だけです。

「安心で明るい」
という感情エネルギーが大きければ、
元気で前向きな言動を、パワフルに見せることになります。

「不安で暗い」
という感情エネルギーが大きければ、
その不安を打ち壊すための攻撃的な言動を見せることでしょう。

ということは、
「感情に訴えて人を巻き込もう」
とすることは、シンプルです。

相手の個々の価値観に合わせることなく、
「安心」
をもたらすことに専念することが最もダイレクトだからです。

言い換えれば、
「なんでも言ってみて。できるだけ応援するからね」
というメッセージを伝え、
「この人がいれば安心できそう」
と感じてもらえる存在になることに徹底すれば良い、ということです。

■みなさん自身、
「なんでも言ってみて。できるだけ応援するからね」
と言って、いつも味方になってくれる人がそばにいたら、
とても心強く、
離れ難いのではないでしょうか?

たとえ、その人が
多少鼻毛が伸びていようと、
穴の空いた靴下を履いていようと、
おそらく、かなり許せちゃうのではないでしょうか?

このように、「人の心はわからない」
と言われるのは、本当にその通りです。

しかし、
「感情部分」
だけを見れば、なんとシンプルな心理構造なのか、と
感じられることでしょう。

そして、良い関係性づくりに必要なのは、
この「感情部分」にアプローチすることだということが
見えてきたのではないでしょうか?

もし、
「残業を減らし、有給休暇を取らせれば良いのか?」
「評価報酬制度を整えれば良いのか?」
「キャリアプランを立てやすくすれば良いのか?」
といった「思考部分」にアプローチしてしまうと、
人は、時事刻々と、
体験によってどんどん異なる価値観が形成されてゆくので、
喜ぶ人もいれば喜ばない人もあり、
以前は喜んでいたはずが今は喜ばなくなる人もあり、
「人の心はわからない」
という迷宮に陥ってしまうことになるのです。

■さて、組織においては、
要するに、
職員同士が、つねに、
「なんでも言ってみて。できるだけ応援するからね」
とメッセージしあい、
お互いが、
「この人がいれば安心できそう」
と感じることができることが重要です。

「このチームなら自分らしく頑張れそう」
と思える組織体質を創ることができれば、
こんなにエネルギーの大きな、
生産性の高い組織はありません。

では、どうすれば、そんな組織文化を醸成することができるのか?

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