■モチベーション、
リーダーシップ、
コミュニケーション、
ホスピタリティなどを向上すると入った
いわゆる
「マインド系研修」
を実施するにあたり、
本当に責任あるコンサルタントを選ばれることを
お勧めします。
というのも、
講義にとって都合よいように、
根拠がないことも持ち出して、
教えるという講師がたくさんいるからです。
■たとえば、モチベーション研修で、よく登場するのが
「マズローの5段階欲求」
です。
人間の欲求には
⑴自己実現の欲求
⑵承認の欲求
⑶愛と所属の欲求
⑷安心の欲求
⑸安全の欲求
・・・の5階層があり、
⑸の欲求が満たされれば⑷の欲求が現れ、
⑷の欲求が満たされれば⑶の欲求が現れ、
・・・下位の欲求が満たされれば上位の幸福を求め、
徐々により幸福になってゆけるのだと
説明されています。
しかし、現実はどうでしょうか?
いまの日本では、食べることに事欠く場面はほぼなく、
⑷の安心の欲求はいたされることがほぼ保証されています。
しかし、そんな人でも、
⑶の愛と所属の欲求が満たされなければ、
孤独の苦しみに耐えかねて自殺すらしてしまうことがあります。
つまり、人間の欲求は
マズローが説くような、
5階層の安定的なものではないということです。
■また、接遇研修でよく引き合いに出されるのが、
「メラビアンの法則」
です。
人は、相手の印象を形成するにあたり、
何によって、影響を受けるか?
メラビアンによれば、
表情や態度などの視覚情報による影響が55%
声やトーンなどの聴覚情報による影響が38%
対話の内容といった言語情報による影響が7%
・・・だと言います。
しかし、どんな実験をすればそんな数値を導き出せるのでしょうか?
たとえば、
「定食を選ぶとき、
前菜、メイン、デザートのどれで決めますか?」
と言われて、答えられる人はいません。
「前菜が何で、メインが何で、デザートが何か、
内容が分からなければ、決められない」
のではないでしょうか。
そして、
「メインが肉なら、他はなんでもOK」
「前菜がきのこなら、他の内容を見るまでもなくダメ」
ということもあるでしょう。
つまり、55%、38%、7%などの証明はできないということです。
■マズローの5段階欲求を教える目の前の講師が、
「愛と所属の欲求が満たされても、
自殺するひとがいるのはなぜか?」
と聞かれて、答えられるでしょうか?
また、
メラビアンの法則を教える目の前の講師が、
「メラビアンはどんな実験をして、
その数値を証明したのか?」
と聞かれて、答えられるでしょうか?
その根拠が説明できないにもかかわらず、
自分にとって都合のよい論理を持ち出す研修講師は、
自分で消化できていないことを
受け売りしているということでしょう。
■情報を断片的に繋ぎ合わせた講義を聞いて、
軸足のゆるがない組織づくりができることはありません。
組織づくりとは、
組織の哲学でもあります。
明確なゴール像を指し示すことができなければ、
組織を同じ方向に向かせることなどできないことは、
改めて申し上げるまでもないでしょう。