危険!前提が違うということ 教頭先生の思い出

危険!前提が違うということ 教頭先生の思い出

■先日、

「人間関係においては、

お互いの前提が違うと、

そのギャップが大きな不満や不審になる」

ということをお伝えしていて、

こんなことを思い出しました。

 

■わたしが中学生だった時のことです。

 

毎月1回の朝の全校集会で、

校長先生の講話が済むと、

教頭先生が、壇上に上がり、

さまざまな注意を呼びかけるのですが、

その話が次々と続き、いつ終わるか判らないこともあり、

いつも何人かの生徒が倒れる・・・というのが

いつものパターンでした。

 

ある時、いつものように朝礼が進んでゆき、体育の先生が

「次は、教頭先生からのお話。気をつけ!」

というと、

「やっぱり、今日もか・・・」

という思いの生徒たちの間からため息が漏れました。

 

ところが、この日の教頭先生は、

演台につくと珍しく

「今日は、みなさんに3つだけお話があります」

と言いました。

 

生徒たちの隊列の間からは、

明るいどよめきが起こりました。

 

「珍しく3つと限定してくれた」

「3つだけ聞けば良いのか」

という希望のどよめきです。

 

そして、教頭先生は、

「渡り廊下から屋内に入る時には、

マットでよく上履きの底をこすって綺麗にしましょう」

と、

高く掲げた賞状盆をマットに、手のひらを上履きに見立てて

こする様を実演して訴えました。

 

丁寧すぎるとは思いながらも

「これで1つ」

と誰もが思っていたはずです。

 

次に、

「植え込みに踏み込まないように」

との注意が延々と述べられました。

 

それでも

「これで2つ済んだ」

と思って頑張れるせいか、倒れる人はいませんでした。

 

さらに、

「3つ目は、下校時の戸締りです」

と続きました。

 

以前、窓が開いていたために、夜に雨が吹き込んで、

学校職員の清掃がいかにたいへんだったか、

という話が細やかになされました。

 

そして、ついに、

「以上3点、みなさん、ぜひ気をつけてください」

との教頭先生の言葉が響き、

生徒の隊列のあちこちから、

ふたたび明るく高い声のざわめきが起こりました。

 

その時、そのざわめきをかき消すかのように

教頭先生は、大きな声で言いました。

 

「はい、ここまでが大きな1つ!」

 

・・・まだ、さらに大きな2つ目と3つ目が続くとわかって

その途端、

生徒の隊列の全体から、

暗いため息と低い声のどよめきが轟いたと同時に、

それまで耐えに耐えていた生徒の何名かが、

あちこちで

一斉にバタバタと倒れたのはいうまでもありません。