■「なぜ、職員はもっと自分で考えて動かないのか?」
「なぜ、言われたことしかしないのか?」
「なぜ、気づいたことでもしないのか?」
と悩む経営者・管理者は多いことでしょう。
「指示・命令をしなくても、
職員がみずから気づいて改善し続ける
『自律進化組織』
を創れないものか」
と思案していながらも、
現場が、なかなか育たないのはなぜか?
その原因は、たった1つ。
■前時代(高度経済成長を背景にした大量生産の時代)の
組織論、
つまり、
「自律進化体質」
と正反対の、
「指示命令体質」
が、経営者・管理者はもとより職員の視点・発想の全てにまで、
ことごとく染み付いているからです。
「なぜ、自律進化しないのか?」
ではなく、
「自律進化しないのが当り前」
の組織運営をしているからです。
■指示命令体質とは、
大量生産の時代に培われた組織文化であり、
その特徴を挙げると、大きく4つに分けられます。
(1)上意下達傾向
ゴールもプロセスも決まっており、
それを正確に社員に伝えることが重要だったため、
「コミュニケーション」
といえば、上意下達のこと、
と発想する傾向です。
(2)都合の良い誤った人間観
上意を下達すれば、
忠実に動いてくれる組織が正しい組織であり、
人間には、それができる、という
誤った人間観に立つ傾向があります。
(3)依存化傾向
組織の運営は上がやるものであり、
下が口出しすることは許されない、という
関係性が当然だったため、
経営者・管理者は、
責任を持って現場の微細までをも管理することが
当り前になってしまう、という傾向です。
(4)近視眼化傾向
組織から求められることが具体的に決められていて、
その結果だけを見られて、評価される以上、
職員は、
それ以外のことを排除し、
変化を拒むようになるので、
その結果、職員誰もが、
どんどん近視眼的になってゆく傾向があります。
■一方で、
自律進化体質とは、
答えが一様ではないサービスの時代に求めらる組織文化であり、
その特徴は、指示命令体質の逆の内容で、大きく4つに分けられます。
(1)水平対話傾向
ゴールもプロセスも明確でなければ、
常に現場職員同士で、意見が交換されることで、
初めて、理解や判断が正しいものに近づき、
患者さんや職員にとって最良の結果を追究することができるので、
「コミュニケーション」
といえば、水平関係の中で、双方向の対話をすること、
と発想する傾向です。
(2)本質を捉えた正しい人間観
職員が意見をあげ、より良くするために双方向で対話するには、
「人間は必ずしも他人の期待に沿って考え動くものではない」
ということを認める方が、科学的・合理的であり、
正しく診断することで、
初めて正しい処方が可能となるように、
人間には、基本的に他人の価値観に従うことも、
それを継続することもできない、という
正しい人間観に立つことが前提となります。
(3)自律化傾向
組織の運営は全員がやるものであり、
基本的に、現場職員がみずから答案を出すことで、
現場に最も適した改善を可能にするという
関係性が当然となるため、
経営者・管理者は、余計な責任を手放す一方、
現場の職員が、答案をあげる権利を持つことが
当り前となる、という考え方です。
(4)俯瞰化傾向
組織からは、「より良くすること」が求められていて、
その結果がきちんと評価される場合、
職員は、
担当業務以外のことを歓迎し、
より良くすることにつながる変化を好むようになるので、
その結果、職員誰もが、
どんどん俯瞰的になってゆく現場となります。
■いかがでしょうか?
指示命令体質と自律進化体質が、
ことごとく異なり、
どちらに立つかによって、
時々刻々、
180度異なる方向に進んでしまっていることがわかるでしょう。
これからは、
(1)上意下達
(2)誤った人間観
(3)依存体質化
(4)近視眼化
これらが、具体的に
現場では、どのような症状となって現れているか、
1つずつ明らかにしてゆきます。
「あれも?」
「これも?」
と、指示命令体質の亡霊が、
わたしたちの日常の思考や言動の隅々にまで
蔓延していることに驚かれることでしょう。
そして、
「ていうより、そんな違和感があったんだよね」
と思い当たることと思います。