新たな施策を始める時。懇親会をする病院、しない病院

新たな施策を始める時。懇親会をする病院、しない病院

■「研修では組織は変わらない」

ということに気づいたことから、

患者サービス研究所では、

自律進化組織づくりプログラムをお勧めしています。

 

体質を変えるプログラムは、

6ヶ月間、

(1)毎月一回のリーダーシップ研修を行なうことと、

研修と研修の間の1ヶ月間において、

(2)その内容を活かしてリーダーが

各部署におけるコミュニケーション・モデルによって

チーム・マネジメントをすることになっています。

 

(1)のようなリーダーシップ研修で学ぶだけでは、

実践がないので、技能を習得することもできなければ、現場が変わることもありません。

 

また、

(2)現場でのコミュニケーション・モデルだけを実践するだけでは、

コミュニケーション上の重要なポイントが見えないので、

機械的に実施していても、職員との良い関係性を築くことは困難です。

 

そこで、(1)学ぶことと(2)実践することを同時進行して、

リーダーのマネジメント技能を向上しつつ、

並行して、部署内の関係性をよくしてゆくのが、

HIT-Bitプログラムです。

 

■そんな半年間のプログラムを開始するにあたって、

リーダーの方々を集めて懇親会を開いてくださる病院があり、

感謝しております。

 

決して、

「美味しいご飯を食べさせてもらえて嬉しい」

ということを言いたいわけでは、もちろんありません。

 

しかし、

患者サービス研究所は

こうした懇親会を開いてくださることをお勧めしています。

 

それはなぜか?

 

「リーダーの方々の当事者意識を喚起することができる」

という大きな効果を生み出す傾向があるからです。

 

■プロジェクトが始まる機会の懇親会は、

いうまでもなくキックオフの意識を高める効果があります。

 

これから、重要な取組が始まることを、

組織としてもしっかりと伝えることは、極めて重要です。

 

大事な取組をする場合には、職員の意識を喚起し、向上することが重要ですが、

大事なことは大事な扱いをして見せることが、極めて効果的です。

 

もう一つは、

リーダーと私どもコンサルタントとの距離を縮めることが可能となります。

 

リーダー研修を続けるとしても、

やはりリーダーの人数が多ければ、

研修中に、個別具体的な悩みや愚痴や不満を話すことは難しいのが実情です。

 

そうなると、

プログラム中に、私どもに質問や意見を申し出にくくなってしまい、

プログラムの効果が上がりにくくなります。

 

本来、本気で改革を進めるのであれば、

リーダーから私ども宛に

適宜、直接、メールや電話で質問や意見を寄せてもらうことが重要となります。

 

それを黙って、次回の研修で相談すれば良い方で、

次回の研修でも、個別に話すことがなく、

現場で悩みを抱えたまま、時間が過ぎる、ということも起きがちです。

 

そのため、私はリーダーの方々との距離を縮めることを重視しています。

 

■そこで、

懇親会が開かれる場合には、

わたし自身が、

各リーダーの方々に、ビールを注いで回るようにしています。

 

一人一人に名刺を渡し、

「一緒に変えてゆきましょう!」

と、肩を叩きながらビールを注ぎます。

 

時には、

リーダーの方々の関心事や課題を聞かせていただくことで、

「実は、今回のプログラムの前に、解決したい課題があるのですが」

といった悩みを打ち明けてもらうこともあります。

 

こうしたプログラム以前に、いま抱えている課題をそのままにしながら

新しいプログラムを導入しても、

うまくいくことは困難です。

 

「では、そこも一緒に変えてゆきましょう!」

と協力関係を築いてゆくことで、

リーダーにプログラムにも前向きになってもらったり、

リーダーの課題を一緒に解消したりすることも可能となります。

■そもそも、

組織改革をする場合、

トップや一部の職員だけの動きでは不可能です。

 

各部署のリーダーの方々が、

「これから、自分たちが、このコンサルタントを使い倒して、

一緒に組織改革を成功させるのだ!」

という自覚を持ってもらうことがなければ、

決して、組織全体の改革は進みません。

 

みなさんは、

組織改革をする際に、

各部署のリーダーに当事者意識を持ってもらうことに

どれほど注力しているでしょうか?

 

このように考えてみれば、

「組織改革」

を支援すると標榜しているコンサルタントならば、

こうしたコミュニケーションを重視しているはずだ、ということがお判りでしょう。

 

逆に言えば、

もし、コンサルタントが、

「自分自身が、

リーダーの方々と胸襟を開いて、話しやすい関係を築く」

ということに関心を持っていなければ、

そのコンサルタントには、

組織改革を成功させる真剣さが無い、ということがわかります。

 

■こうした意図を察して、あるいは見越して

経営陣やご担当者の方から

「懇親会をしましょう!」

と企画してくださる病院もあります。

 

そうした気遣いを見れば、

普段から、その病院は、そうした配慮がなされている組織であることが窺われます。

 

そして、実際、そうした病院では、

大抵、プログラムのとても良い展開を見ることができます。

 

反対に、わたしが懇親会をひらいてキックオフをすることを提案しても

関心を示さない病院もあります。

 

そうした病院は、

普段から、

「どのように職員との距離を縮めるか?」

「どうすれば職員の本音を聞いて、職員の力をより大きく引き出せるか?」

について、あまり考えられていないことがわかります。

 

もしくは、

職員のモチベーションを向上するためのコミュニケーション能力が乏しいことが窺われます。

 

■人や組織の心理構造を考えると、

「大事なことは、大事なことがわかるように伝えて見せる」

ことの大切さが、つくづくわかります。