新しい取組を導入するなら、現場への遠慮は禁物

新しい取組を導入するなら、現場への遠慮は禁物

■目標管理制度や研修制度について、

病院全体で取り組むことが前提ですが、

「まず試しに、一部署から始めたらどうか」

という方がいます。

 

あるいは、

「賛同する部署だけやったらどうか?」

ということもあります。

 

やってもやらなくても良い施策であれば、

それでも良いかもしれませんが、

やらなくても良いことなら、

そもそも現場に提案する必要もないでしょう。

 

どうしても導入するべき施策であれば、

現場に遠慮していては進みません。

 

つまり、

新しい施策を導入するかどうか、

現場の意見を訊くことはむしろ禁物だということです。

 

■そもそも、

人は、

ポジティブに考える時とネガティブに考える時との

両方を持っています。

 

そのどちらのモードが働くかは、

タイミングによって異なったり、

テーマによって異なってくるものです。

 

「それは大事だと思っているけれど、

いま、そんなことを考える余裕がない」

ということもあるのが人間です。

 

また、いつも前向きな職員であっても、

時として、

家族のこと、

健康のこと、

仕事のこと、

……などなどのことが、頭の中を占めていて、

余裕がない時があるのも当然ではないでしょうか。

 

そもそも、人間は自己不一致の塊だということです。

 

したがって、

必然的に、

組織の意見を訊くと、

ポジティブな意見とネガティブな意見との

両方の意見が返ってくることになります。

 

みなさんの組織の中には、

いま新しいことをお始める気になる人も、

そんな気にならない人も混在しているのです。

 

せっかく自分が良かれと思って提案しても、

ポジティブな人もいる一方、

ネガティブな人が必ず一定数いることはわかり切っていることです。

 

■考えてみれば、自分自身も、

「新しい本でも読もうかな」

「新しいこと何か始めようかな」

と思える日が、一年のうちに、どれだけあるでしょうか?

 

「今週末には旅行に行くので、それまではあれこれ片付けなきゃならない。

とてもそれ以外のことを考えるゆとりがない」

「来週のレポート提出までは、本や映画やおしゃべりに割く時間がない」

「今月は子どもの習い事の発表会があるので、衣装も考えなければならない。他の用事はすべて後回し」

……などなど、

結局、

「新しいことを始めるだけの余裕がある日の方が少ない」

という人さえいるのではないでしょうか。

 

■まして、現場で取り組む施策となれば、

一次的なイベントでは意味がなく、

継続してゆくことが前提となることが多いでしょうから、

 

なおさら、

「今後、継続してゆく施策を導入するかどうか?」

と聞かれれば、

賛同するにはそれなりの覚悟も必要となります。

 

そのため、

ますますポジティブな意見にはなりにくいものです。

 

■さらに、

以前にもお伝えしている通り、

「やろうよ」

と持ちかける人ほど、

訊かれた側は問題意識がないものです。

 

持ちかける人は、

問題意識がある人だから

持ちかけるのであり、

訊かれる側になっている人は、

そこまで問題意識がない人だから

自分から持ちかけなかったのです。

 

ということは、

問題意識のある人が持ちかけても

訊かれた側が賛同しないのが、

むしろ当り前なのです。

 

むしろ、現場から反対意見が上がってくるのが

普通かもしれません。

 

■このように考えてみれば、

現場で担当業務に忙しくしている職員や

普段から情報や視野や発想を共有できていない職員に

意見を訊いていたら、

何も始まらないということです。

 

どうしても導入するべき施策であれば、

現場に遠慮してはなりません。

 

つまり、

新しい施策を導入するかどうか、

現場の意見を訊くことはむしろ禁物だということです。

 

経営陣・管理職であるみなさんが、

大事だと思ったら、

「毅然として推し進めなければならない」

ということです。

 

■なお、

もちろん反対意見は多いより少ない方が良いです。

 

意見を聞かないより聞いた方が良いです。

 

毅然として施策を進めようとしても

猛反対によって進められなければ、意味がありません。

 

「では、どうやって現場を巻き込んでゆくか?」

が最も重要となります。

 

これについては、

ここで、何度かお伝えしてきていますが、

またいずれ別の機会にここで詳しく述べたいと思います。