無意識にまで染み付いた「指示命令体質」

無意識にまで染み付いた「指示命令体質」

■先日、ある病院で

「負責病」

について話したところ、経営者の方から

「これまで、制度を変えたり、講習を受けさせたりしてきたが、

なぜ変わらなかったのかが判った」

と言われました。

 

本来、自律進化組織ならば、

「原則として、職員自身が考えて動く」

組織文化になっていなければなりません。

 

しかし、多くの組織では、

「自走組織にしたい」

「ボトムアップ型に変えたい」

「自燃型人材を育てよう」

と言いつつも、

「原則として、組織・上司がコントロールする」

組織文化になっています。

 

上司が、わざわざ部下職員のするべきことを引き受け、

責任を負ってしまっているのです。

 

そのため、部下職員も

「それをやってくれるのが上司の責任」

と、原則を履き違え、

依存病に陥っています。

 

これが、なかなか自律進化組織に変わらない原因です。

 

そして、この、上司がわざわざ、

部下が負うべき責任を引き受けてしまう体質を

「負責病」

と呼んでいます。

 

◾️たとえば、学校が

「なるべく英語を使いましょう」

という方針を打ち出していたとしても、

教員が日頃、日本語しか使っていなかったら、いつまでも、学生は

「英語で話すことが当り前」

という感覚にはなりません。

 

原則として日本語を話すことが当り前の文化なのに、

教員が、時々思い出したように、

「英語で話すようにしなさい」

と注意すれば、

学生は不慣れなことを強要されるので、

苦痛を感じるばかりです。

 

こうした状態を、

「組織の自己不一致」

ということができます。

 

人間も、

「こうあるべき。でも着いていけない」

という理性と感情の自己不一致を抱えていることが多々ありますが、

そのままでいると、

言動が不一致になったり、

一貫性を欠くために、

いろいろなことごうまくいかないばかりか、

結果、周囲との摩擦を生じて、

関係性を悪くするということに陥ります。

 

組織に自己不一致がある場合も、

学生は学校に対して、職員は病院に対して、

「なぜ時々思い出したように注意するのか?」

と不信感を覚え、

さらには関係性も悪くなって

しまいます。

 

そして、

「原則として、指示命令体質」

が染み付いているまま、しばしば

「自律進化しなさい」

と言われているのが、

多くの組織の実情だと言えるでしょう。

 

永年の間に、無意識にまで染み付いた体質なため、

「これでもか?」

というほど、様々なところに、

指示命令体質の傾向が見られるのです。

 

具体的に挙げてゆきますので、

「これが当り前だ」

と思われていたことの中にも、

「ここにも負責病があったか!」

と気づかれることがあり、驚かれることでしょう。