無駄を貯めてゆく性質

無駄を貯めてゆく性質

■組織づくりをするには、正しい

「人間観」

を持たなければなりません。

 

人間の性質を誤ってとらえていれば、

人間を変え、組織を変えることはできないからです。

 

人間の身体を誤って理解していれば、

適切な治療ができないのと同じです。

 

■そして、

踏まえておかなければならない性質のうちの一つに、

「硬直化」

があります。

 

日々の業務に責任を持とうとするあまり、

変化を拒むようになる、という性質です。

 

その結果、

その部署の誰もが、

「この導線は遠回りで、時間も労力も無駄が多い」

とわかっていても、

誰もそれを変えようとしない、ということが起きます。

 

導線を変えることで、

新たな導線になれなければならないストレスを思えば、

今のままで良い、と判断してしまうのです。

 

■導線だけならまだしも、

 

非効率かもしれないけれど、

取り違えが起きるといけないので、

用紙のおかれている場所を変えたくない、

 

無駄かもしれないけれど、

誰かが不都合になるといけないので、

いまの連絡の手順を変えたくない、

 

重複しているかもしれないけれど、

その手順を省いてミスが起きたらいけないので、

チェックを減らしたくない

 

在庫が増えてしまうかもしれないけれど、

欠品することはもっと怖いので、

多めに手配しておくことを変えたくない

 

などなど、

現場のあちこちで、無駄が生まれています。

 

その結果、ひどく効率が落ちているにも関わらず、

だれも変えようとしません。

 

■そのくせ、

「忙しい、忙しい」

と言い、

「無駄なことならしません」

「早く帰れるようにしたい」

「現場は大変なんです」

という声がごく自然に上がっていることでしょう。

 

■そこで、上層部が

「無駄な業務がないか、洗い出して、残業を減らそう」

と号令をかけると、

その作業のために残業が生じる結果、

「残業が増えた」

と不満の声が上がってくる、といった

滑稽な事態が起きることも珍しくないのです。

 

こうした人間の性質に

振り回されないようにしなければ、

正しい組織づくりはできないのです。