目標を立てさせる時、組織が見失っている最も重要なこと

目標を立てさせる時、組織が見失っている最も重要なこと

■経営者・管理職の中には、「なぜ部下は目標を立てないのか?」と悩んでいる人がいます。
実際、自分で目標を立てられない人材では、組織の発展は大いに妨げられるでしょう。

では、経営者・管理職は、どうすればよいでしょうか?

  1. 目標のサンプルを掲示して参考にさせる
  2. 目標の出来具合を管理が管理するようにする
  3. 研修を行ない目標の立て方を学ばせる
  4. 目標を立てられる能力を評価項目に入れる
  5. 目標を立てるかどうかを本人の自由にする

=====

■「スタッフが目標を立てられない」
ということを課題に感じている経営者・管理職は
少なくありません。

「なぜ、目標を立てられないのか?」
を困っているという声もしばしば聞きます。

しかし、スタッフをそうさせている原因は、
実は経営者・管理者の方にあるのです。

言い換えれば、経営者・管理職次第で、
スタッフは、みずから目標を立てるようになるということを意味しています。

■たとえば、
もしみなさんのもとに、
「3日後の正午までに
どこの国のどの街のどこにゆけば、
3億円もらえる」
という条件が訪れたならば、

そして、
それが確実だとすれば、
どうしますか?

おそらく、
どんな人でも
(お金が余って仕方がないという人でない限りは)
必ず期限に間に合うように目的地を目指すことでしょう。

職場に急な休みの連絡を入れ、
休み中の業務は同僚に引き継ぎ、
タンスの奥から久しく使っていなかったパスポートを引っ張り出して、
いよいよ準備にかかるのではないでしょうか。

準備とは、
インターネットでルートや交通事情を調べて、
期限までに目的地まで必ず辿り着くためには、

  • 「そのためには、当日の朝までにどこを必ず発つ」
  • 「そのためには、前日の昼までにどこからどの飛行機に乗る」
  • 「そのためには、今日の夜までに、どこの空港にたどり着いていなければならない」
  • 「そのためには、今日の何時までに自宅を出る」

とスケジュールを立てることです。

その目的地にたどり着くために
クリアしてゆく
手前のポイントの一つ一つが、「目標」です。

もし、自分でわからないことがあったらどうするでしょうか?
もちろん、
どんどん足を運んで調べたり、
知っていそうな人に聞いて回り、
スケジュールが立つまで尽力することでしょう。

その時のみなさんは、
たとえ、誰かに言われなくても、
あるいはたとえ、誰かに邪魔されようとも、
スケジュールを立てて、
そのとおりにやり遂げようとするでしょう。

■つまり
目標が立てられないのは、
「何としてもいつまでにどこまでたどり着く」
という目的が、
その心に刺さっていないから、に他ならないのです。

逆に、
何としても達成したいと、
目的が明確に本人の心に刺されば、
もはや、
経営者や管理職は、
「部下が目標を立てることができたか?」
を心配する必要はないのです。

こうしてみると、
目標とは本人のためであり、
上席者のためではないということが明らかになるでしょう。

したがって、多くの経営者・管理職がやってしまっている
「目標を立てろ」
「見せろ」
「進捗を報告しろ」
は、部下にとっては、
目的を必ず達成する上では、
まったくの余計な作業であり、邪魔でしかありません。

また、スタッフ本人にとっては、
目標を立てて進めて入れば、
万一、目的を達成できなかったとしても、
そのプロセスを上席者に釈明することができるということも
目標を立てることの利点です。

スタッフ自身が、自分を評価してほしい場合、
目標と進捗を持ち出したければ
持ち出せば良いのです。

経営者・管理職が取り立てて
「自分たちに見せるように」
求める必要はありません。

■そもそも、
目標は「目標」というくらいですから、
「目標を立てたい」
と思う人が立てるものでしょう。

世間で言われている
「目標を立てさせれば、やる気が出る」
は大きな間違いです。

その逆で、
「やる気がある人だから、目標を立てる」
のです。

なので、
「目標を立てさせよう」
と思ったら、
目標を立てさせてはならないのです。

「目標を立てさせよう」
と思うならば、
「目的を明確にし、
『なんとしても期限までに達成したい』と、
部下の心に刺さるようにする」
ことです。

その上で、
経営者や管理職は、
目標を立てることのメリットを伝えて
あとは本人に選択させれば良いのです。

■そもそも、経営者や管理職が
過保護な介入をできるかぎりしない状態こそが
「組織の自律」
です。

また、それができることが、
スタッフの自治能力です。

なので、
トップがすべきことは、
目的を明確に示しそれが必達であることを伝えることに尽きます。

「できれば、いつごろまでに、どのあたりまで」
という輪郭の曖昧な、
「ソフト・ゴール」
を示したのでは、
スタッフは組織の号令を軽視するようになり、
組織を脆くしてしまうので、極めて危険です
(そうしてしまっている組織は多々ありますが)。

逆に、
「必ず、いつまでに、どこまで」
と揺るがない確固たる
「ハード・ゴール」
を示せば、
トップの本気度が伝わるため、
スタッフは、時間と労力の選択と集中ができるので、
組織の底力を発揮することが可能となるのです。

そして、
もし、スタッフから求められることがあれば、
釈明方法の考え方を教えてあげればよいだけです。

■このようにして見れば、
冒頭のクイズにおいて、
[1]の、「目標のサンプルを掲示して参考にさせる」
[2]の、「目標の出来具合を管理が管理するようにする」
[3]の、「研修を行ない目標の立て方を学ばせる」
[4]の、「目標を立てられる能力を評価項目に入れる」
・・・は、いずれも、

経営者・管理職が
「目標を立てさせようとする」
ことにフォーカスしているので、

スタッフが、意味のある目標を立てることにはつながらないことが明らかでしょう。

よって、正答は、
[5]の「目標を立てるかどうかを本人の自由にする」
となります。

目的が刺されば、スタッフは、
もし、自分でわからないことがあったとしても、
どんどん足を運んで調べたり、
知っていそうな人に聞いて回り、
スケジュールが立つまで尽力するのです。

もはや、目標に立ち入る必要などありません。

経営者・管理職が
「なんとしても実践してほしい」
と、こだわらなければならないのは、
目標ではなく、
目的なのです。