親がしつけなければ、世間がしつけても、子どもは育たない

親がしつけなければ、世間がしつけても、子どもは育たない

■患者サービス研究所では、

自律進化組織づくりの1Dayセミナーを行なっています。

 

1Dayセミナーといっても、

3時間ですが…。

 

いつも配信していることを体系的に整理して、

・具体的に何をすれば良いか?

・進める上での注意点

・新しいことをスムーズに導入する手順

・楽しく継続するポイント

のほか、

・不協和音が生じた失敗事例

・根づかなかった失敗事例

などについてまで、

 

「自律進化組織」づくりについて、

すべて、お伝えしています。

(よろしければお越し下さい)

 

ところで以前、ある病院の経営者の方が、

大勢の幹部を連れて参加されたことがありました。

 

その時の、幹部職員の方々の反応は

「なんとなく、わかりましたー」

という感じ…。

 

その後、数年して、また、その病院の経営者の方から、

1Dayセミナーへの参加申し込みがありました。

 

その時もまた、

以前とほぼ同じ顔ぶれの幹部職員の方々を引き連れて

参加されました。

 

その時の、幹部職員の方々の反応は

「そうですよね、わかりましたー」

という感じ…。

 

その後、その経営者の方からご請求があり、

患者サービス研究所が提供しているブックレット

『自律進化組織が6ヶ月で生まれる方程式』

を複数冊、購入されました。

 

さらに、後日、

「患者サービス研究所のYouTubeの動画も、

幹部職員に見せました」

とのメールで、

近日行なわれる1Dayセミナーに、

またまた8名で参加されるとのこと。

 

電話をして、ご事情を聞いてみると

悩みは多い模様でした。

 

今後の経営にあたっての漠然とした問題意識はありますが、

どうも、組織に対して腫物に触るような口ぶりでした。

 

「幹部職員には、こうして欲しいんですけどねー」

「管理職には、こんな風になってもらいたいんですけどねー」

という感じだったのです。

 

■ここまで読んで下さり、みなさんもすでにお気づきの通り、

この経営者の方は、

ご自身が、

「こうしたいのだ」

という意思表示をせずに、

1Dayセミナーやブックレットなどによって

幹部職員の動機づけをしたいというわけです。

 

いろいろ購入して下さるのも良いのですが、

「それでは、いつまでも進みませんよ」

と、お伝えしました。

 

たとえば、

もし、みなさんにお子さんが居たとして、

近所のおじさんにお金を払って躾を頼んでも、

みなさんご自身がお子さんに言わない躾は

お子さんの身につくことはありません。

 

誰よりも親がしっかりと躾をしていて、

さらに近所のおじさんが同じことを言えば、

お子さんは、

「親がいつも言っていることは、

他所に行っても大事なことなのだ」

と理解するので、

初めて躾が身につくのです。

 

組織もまったく同じで、

経営陣が言わないことを

コンサルタントがいくら言っても、

職員が変わることはあり得ません。

 

■なぜなら、

職員はトップが本気かどうかを見ているからです。

 

「トップが本気かどうかだけを見ている」

と言っても過言ではないでしょう。

 

職員は、

「トップが本気なら、やってやろうじゃないか!」

と思えることもあります。

 

反対に、本気が感じられなければ、

「またやらせては、やめるんでしょ」

「いつも続かないよね」

と思うので、

職員の底力が出ることはありません。

 

「一生懸命やったところで、

きちんと評価してもらえるのか怪しい」

「しばらくしたら、また別の施策を持ち出されるのではないか」

と思うと、

「当面は付き合っておこう」

と、面従腹背するだけになってしまうのも

当然でしょう。

 

■さらに言えば、

もし、職員が新たな施策を実践するようになったとしても、

「それが続くかどうか」

もまた、経営陣次第です。

 

「何をやっても続かない」

と感じることがあるかもしれませんが、

それは決して、現場のせいではありません。

 

よく、

「いろいろ導入しているのですが、続かないんですよね」

という経営陣の声を聞きますが、

それは

経営陣の方々ご自身が続けさせていないから、

にほかなりません。

 

人は、「続かない」のが本来の姿なのです。

 

私たち自身、

自分が今まで、

何十回、研修を受け、

何百の技能を学んできたでしょうか?

 

そして、

それら学んだことのうち、

果たして、いくつ継続していることがあるでしょうか?

 

たとえば、

年3回、研修やセミナーを受け、

25年間、続ければ、受講したのは75講にのぼります。

 

1講あたり、

どんなに少なくても、3つは学びがあるでしょう。

 

すると、

225の学びを得てきたと考えられます。

 

もし、研修やセミナーで学んだことのうち

実践し続けていることが2つあるとすれば、

その確率は、およそ100分の1です。

 

つまり、

「何かを学ばせても、100のうち1しか行動は続かない」

それが人間だということです。

 

あるいは、もし、

「100人に学ばせても、行動し続けるのは1人いれば良い」

それが人間だということです。

 

■「学んだら理解するはず」

「学んだことは行動に移すはず」

「継続するはず」

などと、人間を自己美化してはなりません。

 

眼前の部下職員の方々も、

私たちと同じで、

「なにごとも行動を継続するのは至難の技」

なのです。

 

こうした心理構造を踏まえて、施策を講じなければ、

職員が動くことも

組織が変わることもありません。

 

身体構造を理解しなければ適切な治療はできないのと

同じで、

心理構造を理解しなければ適切な組織開発はできないのです。

 

こうしてみると、組織が

「いろいろ導入しているのですが、続かないんですよね」

という状態があるならば、

それは、

そう言っている

「経営陣の本気」

が伝わっていないことの現れにほかなりません。

 

もし、職員の方々に、

外部の研修やセミナーを受講させるとすれば、

それは、

経営トップが日頃からメッセージを尽くしていることを

補完するものでなければなりません。

 

親の躾なしに、

他人の躾が子どもに伝わることはありません。

 

では、みなさんの現場では、日頃

どのようなメッセージを尽くしているでしょうか?