負責病の事例(10) 「説得」

負責病の事例(10) 「説得」


■本来は部下職員がみずからするべきことを、

上司が、わざわざみずから責任を負ってしまう習癖を
「負責病」
と呼んでいます。
 
その負責病の一つに、
「説明責任を負いたがる」
という症状があります。

 

「なんでも自分が説明して説得して、

部下の理解を取り付けなければいけない」

という強迫観念がある管理職もいるでしょう。

 

「説明でなんとかしてしまえ」

と力技で乗り切ろうとする横着な管理職もいるでしょう。

 

しかし、それで部下が心から納得することは稀です。

 

たとえば、部下から

「どうしても、今の人数では業務が回らないのです」

という声が上がった時、

上司にしてみれば、

「以前はもっと大変だったのだから、できないはずがないハズ」

というケースは珍しくはないでしょう。

 

■そんな時、上司が一緒になって、どうするか?と、

悩んではいけません。

 

プロセスに介入してしまうと、

部下の解決能力が育たず、過保護にしてしまうからです。

 

部下が

「これではダメだ」

と感じてもらわなければなりません。

 

そこで、上司がついつい説明してしまいがちになってしまうことがあります。

 

しかし、そうすると、

部下は、上司に対して、

「それは、あなたの価値観でしょう?

わたしたちにとっては、不都合もないのに、

あなただけが騒いでいる」

と、鬱陶しく感じたり、

「そんなに騒ぐほどのことじゃない」

と、上司への猜疑心と反発だけが生まれたりして、

関係も悪くなってしまうのです。

 

そして、

その後いつか、

「上司の言う通りだった」

と思う時が来たとしても、

その時に、部下は

「上司の言う通りだった、ごめんなさい」

とはならないものです。

 

すでに上司との関係が悪くなっているので、

「この人に素直に謝りたくない」

という感情が働いてしまうことが多いからです。

 

■ではどうすればよいのでしょうか?

 

部下が、もっとも確実、早く気づき、深く長く学ぶためには、

「体感させること」

です。

 

たとえば、薄着で外出しようとする子供に、説得したり

「寒いよ!上着を着なさいと言っているでしょう!」

と怒らずに、

外に行かせた方が良いということです。

 

薄着で外に出た子供は、

あっという間に反省して、上着をとりに帰ってくるはずです。

 

もし、部下職員が、

過去にはできていたはずのことについて、

「どうしても、今の人数では業務が回らないのです」

と言って聞かないのであれば、

説得しようとするのではなく、

「できる」

ということを目の当たりにする体験をさせることが有効です。

 

すなわち、

たとえば院長・事務長の知り合いの、

きちんと運営できている病院に、

見学に行かせることです。

 

「わたしたちが甘すぎた」

「恥ずかしい」

と感じて帰って来た時には、

謝ったり、

「自分たちはずいぶん恵まれていた」

と、現状に感謝することになることでしょう。