負責病(18) 人事評価制度をつくる

負責病(18) 人事評価制度をつくる

■「うちの会社は、評価制度も整ってないんですよ」
と嘆く社員がいます。

経営者・管理職であるみなさんは、
そんな声を聞いた時、どう反応するでしょうか?

思わず、
「頑張った人が報われる組織にすることは非常に重要。
だから、評価制度は組織の基本。
すぐに整備しなければ!」
と行動するという方も少なくないのではないでしょうか。

しかし、会社がせっかく評価制度を作っても、
それを前向きに捉えて感謝する社員は稀です。

多くの社員は、
「もっと働かせるためのルール作りだ」
「リストラの準備だ」
ととらえるから、
もちろん、経営者・管理職に感謝することもありません。

■では、どう反応するのが良いか?

社員が
「うちの会社は、評価制度も整ってないんですよね」
と言ったら、こう返答するのが良いでしょう。

「チャンスじゃないか。早く作った方がいいよ」

社員が自分で、納得のいく評価制度を作り、
「わたしたちの評価作業は、この制度にのっとっって進めさせて欲しい」
と主張すれば良いのですから。

経営者・管理職は、それに補足すべき部分があれば
補足してやれば良いだけです。

自分たちで評価制度を策定した社員たちは、不満がありません。

経営者・管理職との関係も悪くなることもありません。

■「社員が自分の部署だけの評価制度を提案してきた場合、
他の部署の評価はどうすれば良いのか?」
と質問されることがありますが、

提案してきた部署だけその評価制度を導入すれば良いでしょう。

頼まれてもいない部署に、わざわざ
評価制度を押し付ける必要はないのですから。

■このように
「人事評価制度は上が作り、下は従うもの」
という固定観念が、我が国の企業組織社会には蔓延していますが、

本来、
部下たちから訝しがられ迷惑がられながら
たいそうな人事評価制度を策定し、
嫌がられながら導入しなければならない道理はありません。

にもかかわらず、
世の中の多くの経営者・管理職は、わざわざその責任をみずから負ってしまっています。

その習癖もまた、「負責病」の一つです。

この「負責病」、
驚くほどこんにちのビジネス・シーンに蔓延しています。

そして、
経営者・管理職が負責病である以上、
現場の部下社員もまた、依存的・受け身・傍観者的なマインドから
自律進化のマインドに変わることはできません。