部下がいないリーダーにリーダーシップは必要か?

部下がいないリーダーにリーダーシップは必要か?

■ある組織で、リーダーを対象にリーダーシップ研修を実施することになったところ、
一人部署もあることが判明。
一人部署のリーダーはどうするべきでしょうか?

  1. リーダーシップ不要なので研修に参加しない
  2. 研修が面白そうなら参加する
  3. 参加してみて活かせることができれば現場で活かす
  4. 参加して必ずリーダーシップを発揮する

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■以前、
「フォロワーシップ研修は要らない」
とお伝えしました。

研修会社やコンサルタントは、
商品のラインナップが多いほど売れるので、
「リーダーシップ研修が売れるなら、
フォロワーシップ研修も売ってしまえ」
と考えて、
フォロワーシップ研修なるものを売り込んできます。

しかし、
フォロワーシップを学ぶよりも、
スタッフ全員がリーダーシップを学んで、
リーダー並みの広い視野、
フットワーク、
責任感、
柔軟な発想、
組織全体を視野に入れた思考を身につけた方が
はるかに生産性が高いことは明らかでしょう。

なので、
「フォロワーシップ研修は不要。
学ばせたいなら、
スタッフ全員にリーダーシップ研修を受けさせるべき」
となるでしょう。

■ところで、
そのリーダーシップ研修を企画する場合にも、
組織によっては、
「このリーダーのところは一人部署だ」
ということが時々あります。

医療機関であれば、
「この科は、科長はいるものの、他は外部委託業者だ」
ということもあれば、
「新設部署なので、まだリーダー一人しかいない」
ということもあります。

企業であっても、
「このプロジェクトは、一人の社員が専従で取り組んでいる」
ということもあれば、
「付部長という肩書きになっているが、
実は、定年後、契約社員として部下を持たずに働いている」
ということもあります。

こうしたケースでは、
組織の担当者が、
「この人には、部下がいないから、
リーダーシップ研修を受ける必要がないと思う」
と言うことがあります。

昭和の時代は、それで良かったでしょう。

決められたことをすればよいという時代には、
「部下を上手に動かすこと」
ができればよかったからです。

しかし、これからの時代は、
それでは通用しません。

これからは、どの組織も、
激変の荒波を
柔軟かつ迅速に乗り越えてゆかなければなりません。

なので、
スタッフ全員が気づき考え話し合い行動する
「全員参加の総力経営」
ができなければ、生き残れないからです。

したがって、
部下を動かすことしか見えていないリーダーがいたのでは
組織が成り立たないと言うことです。

これからのリーダーは、
部下の力を引き出しさえすれば良いわけではありません。

■ならば、
これからのリーダーシップにおいては、
リードの対象は、
部下だけでなく、誰なのか?

そもそも、
総力を発揮するということは、
自部署のパフォーマンスだけを上げれば良いのではない、
ということは明らかでしょう。

つまり、
自部署を活性化しつつ、
他部署がより大きな力を発揮できるように
支援することも、
組織全体を視野に入れた思考があれば、
当り前のことです。

みなさんの現場のリーダーの中には、
他部署のパフォーマンスまで視野に入れて
日々働いている人が何人いるでしょうか?

一人部署であれば、
自部署を牽引する必要がないのですから、
なおさら他部署をサポートすることができるはず
ではないでしょうか。

みなさんの現場にいる
一人部署のリーダーで、
「自分は部署を持っていないのだから、
その分、他部署を応援して、
組織全体のパフォーマンスの最大化に寄与しよう」
と考えている人が、どれだけいるでしょうか?

あるいは、
一人部署であっても、
自部署なりの取組を進める中で、
「あの部署を巻き込んで、
互いに協力し合うことで、大きく展開してゆきたい」
と、
まさに組織全体を視野に入れた
ダイナミックな展開を考えているリーダーは
いるでしょうか?

さらには、
「多くの他部署からの理解と協力を取り付けて、
組織全体の力を引き出そう」
という発想を持っているリーダーが
みなさんの現場にはいるでしょうか?

さらにさらに、
「組織全体の理解と協力を取り付けて、
地域社会を巻き込んだ展開をすることで、
地域社会の潜在能力を引き出そう」
と考えているリーダーが
いるでしょうか?

■とくに医療機関であれば、
周辺の他の医療機関との連携によって、
まったく新しいプロジェクトを生み出したり、
それによって地域を変えてゆく、
という発想は、
経営者の方々にとっては、
まったく新しいものではないはずです。

企業においても、
他の企業との連動企画や、
地域を巻き込んだイベントなどを企画することは、
医療機関よりも柔軟にできるはずです。

つまり、リーダーシップの本当の価値とは、
その対象が部下だけではなく、
他部署でもあり
組織全体でもあり、
地域社会でもある時にこそ、
ますます大きく発揮されるものだということです。

まして、一人部署であれば、
部署を持たない分、
柔軟かつ身軽に、
他部署や組織全体や地域社会へと
リーダーシップを発揮して働きかけてゆくことが可能となるのです。

問題は、
今日も現場で働いているリーダーの中に、
そのような、
「組織全体を視野に入れた
ダイナミックな展開を考えているリーダーが、
いま、何人いるか?」
ということです。

もしかしたら、
「部署を超えて、あれこれ動くのは、混乱を招く」
と懸念する人もいるかもしれません。

部署を超えた動きが出てくると、
「担当でもないのに口を出すな」
という声が上がるなど、
現場に摩擦が生じてしまう、と考えてしまう感覚もあるでしょう。

しかし、
それは、
昭和の時代の縦割り文化の後遺症に他なりません。

激変の時代では、
「担当でもないのに、口を出すな」
などと言っていては、激変の荒波を乗り越えられません。

その反対に、
「担当でもないのに、気づいてくれてありがとう」
「そちらの部署だから気づけたのだと思う」
「その発想、自分たちにはなかった」
と、柔軟に指摘や助言を受け入れ、
脳細胞同志が互いにシナジーを伸ばし連携することこそが必要だからです。

縦割りにとらわれず、
むしろ
「横串を刺せることが重要」
とさえ、昨今言われているのは、こういうことです。

■そして、
もしリーダーシップを学ぶのであれば、
研修会社やコンサルタントが持ち込んでくる
月並みな研修、すなわち

  • 目標の管理
  • ノルマの管理
  • 面談方法
  • 評価方法
  • コーチングの初歩

・・・といったミクロな視点で構成された
技法を学ぶ座学に振り回されてはなりません。

それよりも、
「組織全体を視野に入れた
ダイナミックな展開を考える」
ことを目的としたリーダーシップ研修を
選ぶことをお勧めします。

というのも、
「組織全体を視野に入れた
ダイナミックな展開を考える」
リーダーになれば、
ミクロな視点で技法を学ぶということは、
リーダー自身が
みずから必要を感じて、
放っておいても、自分で勝手に学ぶようになるからです。

■したがって、冒頭のクイズ・・・

リーダーシップ研修について、
一人部署のリーダーはどうするべきか?
・・・については、

[1]の、「リーダーシップ不要なので研修に参加しない」
[2]の、「研修が面白そうなら参加する」
[3]の、「参加してみて活かせることができれば現場で活かす」
・・・はすべてリーダーシップの意味を矮小化していると言うことになります。

ぜひ一人部署のリーダーであっても、
さらにはリーダーのポストでなくても、
「ぜひ!」
と思うスタッフは、
[4]の、「参加して必ずリーダーシップを発揮する」
という認識で、リーダーシップ研修に臨めるようにすることが正答となります。

それはとりもなおさず、
スタッフ全員が気づき考え話し合い行動する
「全員参加の総力経営」
ができなければ、生き残れないからです。

そして、
全員参加の総力経営とは、
スタッフ全員が、
「組織全体を視野に入れたダイナミックな展開を考える」
ことができて、
初めて可能となるからです。

「全員参加の総力経営が大事」
「ボトム・アップ組織が必要」
「自走組織をつくれ」
・・・とは、しばしば言われますが、

「全員参加の総力経営を実現する」
ということは、
具体的には、このようなことでしょう。

■では、どうすれば、
スタッフ全員が、
「組織全体を視野に入れたダイナミックな展開を考える」
組織づくりができるでしょうか?

そのための、明日からでもできる、
どんな組織でも実践できる、
具体的な方法については、また別の機会に詳説します。