■これまで、組織が従業員のモチベーションを高めようとして、
さまざまな教育、説明、研修、管理、指導をしてきたことでしょう。
そこで従業員の思考の中に生まれるのは
「すべき」
「しなければならない」
といった、義務感・責任感・危機感・使命感。
しかし、
「頭ではわかるけど」
心の中では、
「正直、そこまで情熱が湧きあがるかと言うと、そうでもない」
という感情ではないでしょうか。
■「すべき・しなければならない」という思考と、
「そこまでしたくはない」という感情のギャップ。
心理学的に言えば、これこそ、ストレスの元凶である
「自己不一致」
にほかなりません。
早い話が、従業員を追い詰めているということ。
これで、従業員が、
目を輝かせて働くことも、
指示されていないことまでのびのびと実践することも、
ときめくこともあるはずがないのです。
■さらに最近では、
ビジョンだのクレドだのといった理念を高らかに宣言したり、
カードにして配り、肌身離さず携行させたり、
朝礼で従業員に唱和させたり、と、
「こんなに素敵な仕事なのだから、
すべき・しなければならない、と心から思うだろう?」
と言わんばかりの組織もあります。
正論を言われれば、
従業員は反論できないので、黙って耐えなければなりません。
Reason-Silencer(理屈によって黙らせる)とでも
言えるのではないでしょうか。
つまり、ますます、従業員一人ひとりの中の
「自己不一致」
が大きくなる一方です。
この自己不一致は厄介なもので、
心の中での摩擦が大きくなるほど、ストレスが高じるので、
不愉快になったり、
非協力的になったり、
他人を責めて八つ当たりしたり、
自分を責めたり、
(そうやって発散しているうちはまだ視認できますが)
眠れない、
食べられない、
疲れがとれない、
蕁麻疹や発熱、
(そうやって身体に出ているうちはまだ自覚できますが)
うつになり、
またはバーンアウトしたり…と、
従業員の心を追い詰めてしまいかねない恐ろしいものです。
なので、
企業にストレスチェックを義務づけする以前に、
そもそも、職職で自己不一致が生じないようにする方が、
職場の健全化には急務だとも思われます。
■しかし、このブログを読んでいる方々でも、ほとんどが
「自己不一致など、なんと甘えたことを言っているのだ。
仕事である以上、すべき・しなければならないは当たり前だ。
つべこべ言わずに、自分をやる気にさせるのも仕事のうちだ!」
と感じているのではないでしょうか?
しかし、世間では常識的に行われてきた、
そして今も多くの職場で行われている、その
「自己不一致の押し付け」
こそが、モチベーションを上げられない根本的な原因だ、
ということに、
そろそろ気づいた方が良いのではないでしょうか?
そういえば、
スポーツの世界では、すでに
「根性論じゃだめだ」
という考え方が広まっているようにも感じられます。
「考えてみたら、当り前だ」
と感じる方も少なくないことでしょう。
■本当のモチベーションとは、
教育・説明・研修・管理・指導をされなくても、
「この仕事、理屈じゃない」
「この仕事、お金じゃない」
という、理屈抜きの
「したい」
という感情です。
そこには、自己不一致はありません。
だからこそ、他人が見ていようと見ていまいと、
指示・命令があろうと、なかろうと、
昇給の対象になろうと、なるまいと、
行動できます。
底力を発揮し続けられます。
■もし、従業員のモチベーションを最大化し、
従業員を幸福にし、
組織の底力をアップしたいならば、
「自己不一致など甘えだ!」
などと言っている場合ではありません。
一日も早く、従業員の
「この仕事、理屈じゃない」
「この仕事、お金じゃない」
という、感情型モチベーションを喚起することです。
そのための具体的な方法は、
患者サービス研究所のセミナーや研修でもお伝えしています。