■人事評価制度を整備する場合、まず、何をすれば良いでしょうか?
- 世間に出回っている人事評価制度の事例を集める
- 組織の規模にあった人事評価制度の雛形を入手する
- 目標管理制度や360度評価との併用を検討する
- より多くの評価項目のサンプルを調べる
- 考課者訓練の充実したコンサルタントを探す
- 人事評価制度導入後の組織をイメージする
上記の答えは以下に示しています。
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■人事評価制度とは、
職員のミッションを明確にして、
組織を目指した方向へと導くための手段であることは
ご存知の通りです。
とすれば、クイズの答えは出たも同然でしょう。
■みなさんの組織が関東圏にあれば、
職員が、50名であれ、1000人であれ、
みなさんが
都心部のターミナル駅を指定して、
「いつ、どこどこに来て欲しい」
と言ったならば、
能力が足りなくて来れないという職員は、まずいないでしょう。
しかし、もしも、あなたに上司から、
「明日の朝はやく、渋谷集合。最短最速で」
の知らせが届けば、行けるでしょうか?
「具体的に、何時に、渋谷のどこか?」
わからなければ行くことはできないでしょう。
さらに、
「そんなに漠然とした話なら、それほど大事なことでもないだろう」
と感じて、
腰をあげないかも知れません。
まして、
最短最速で現地を目指すことはまずないでしょう。
■このように、
ゴールが曖昧であるほど、人は着いて来ないものであり、
ゴールが明確であるほど、人は頑張って着いて来てくれる可能性があります。
ところが、おかしなことに、
「渋谷集合」
のようなシンプルなことですら
ゴールを明確にしなければならないのに、
大切な大切な仕事において、
ゴールを明確にしていないことがほとんどではないでしょうか。
いわば、多くの組織の多くの経営者が、
その仕事においては、
「朝はやく、渋谷に来て」
とやってしまっているのが実情なのです。
つまり、
「どんな組織にしたいのか?の明確なイメージ」
を描くことなく、
「どんな人事評価制度があるのか?」
「他の組織ではどんなのを使っているのか?」
「他の施策も併用したほうがいいのか?」
「より多くの項目でチェックできた方が良いのでは」
「評価者をきちんと評価できるよう教育しなければ」
と、制度づくりのことばかりを考えていることが多いということです。
「中期経営計画はつくってある。具体的な数値目標が明確だ」
という人もいますが、
それは、組織文化・組織体質・組織風土ではないので、
「どんな組織をつくりたいのか?」
の明確なゴールではありません。
また、
「理念はつくってある」
という人もいますが、
それは、目指すべき組織の在り方を定めていますが、
具体的ではないので、
「どんな組織をつくりたいのか?」
の明確なゴールとは言えません。
これでは、職員が知恵や力を持てる限り発揮して頑張る
ということがないのも、当り前です。
その結果、経営者は、
「なぜみんな、全力を出さないのだ?」
と不満に思っている、ということが多いのです。
実に虚しい現実ではないでしょうか。
そこで、経営者・管理職にとって最も重要なことながら、
できていないのが
「ゴールを明確にする」
イメージ力です。
すなわち、
- 具体的にイメージする
- 言語化する
- それを段階を追って伝わるように伝えてゆく
です。
具体的なイメージとは、
目を閉じればその光景が浮かんでくるくらいに、
明瞭でなければなりません。
そして、そんな光景の日常の中で、
どんな事実がどれくらい生み出されているか、
その状態が明確でなければなりません。
にも関わらず、多くの組織において、
それができていないことが多いのが実情でしょう。
経営者・管理職の方々が、
「どんな組織にしたいのか、明確なイメージはありますか?」
と問われて、
すぐに語ることができるのは、稀であるように見受けられます。
みなさんご自身は、
すぐに語ることができるでしょうか?
■というわけで、
「組織を変えてゆきたい」
「そのために、人事評価制度を改めて整えたい」
というとき、
まず最初にするべきなのは、
その取組においてめざすべき
「明確なゴール像を明らかにすること」
に他ならないのです。
■たとえば、第1に、ゴール像を明確にするならば、
「どんなことが起こるようにしたいのか?」
「どんな発言が聞かれるようにしたいのか?」
「それが、どれくらいの頻度で?」
「どれくらいの割合の職員が?」
といったことになるでしょう。
また、もし
「患者さんから喜ばれる病院になりたい」
のは言うまでもないとしても、
そのために、
「職員がどんな発言・行動をどれくらいする組織にしたいのか?」
が明確でなければなりません。
なぜなら、みなさんのお子さんが
「美味しい料理を作れるようになる」
というゴールを持っていたとしても、
「美味しい料理を作って喜ばれている光景」
といった「結果」のイメージを持っているだけでは
実現しないからです。
「こんな材料と料理法で、美味しい料理を作る」
といった「原因」となる言動のイメージが見えていて、
初めて実現できるのです。
なので、
「職員がどんな発言・行動をどれくらいする組織にしたいのか?」
といった「原因」となる言動のイメージを
明確にしなければなりません。
第2に、
「いつまでに」
という揺るがない期限も明確にします。
最も重要なポリシーであるはずの
「理念」について、
この期限が明確になっていないために、
せっかく素晴らしい理想を掲げていながらも、
「実現に辿り着いた」
という日が永遠にやって来ないということを、
みなさんもご存知でしょう。
さらに、第3に、
組織づくりにおいては、
さらに、そのゴール像を
「どれくらい実現したいのか?」
が明確である必要があります。
- 「絶対に」か?
- 「ほぼ必ずやってほしい」か?
- 「できれば」でいいのか?
- 「あこがれ」に近いのか?
- もはや「祈り」でしかないか?
もちろん、経営者や管理職が
「絶対に」
という毅然とした態度でなければ、
組織が動くことはありません。
なにしろ、現場の職員は
日々の業務で忙しく、
人間は眼前のことに追われてしまうのですから。
「絶対にだ」
と、ゴール像を明確にして、
つねに発信することで、
職員は、「これは本気なのだ」と理解し、
着いてくるようになるものです。
■組織を変えるならば、
このように
- ゴールを明確にイメージすることから
始めることです。
そして、
- それを言語化して、
- 現場に浸透するように伝えてゆく
ということになります。
人事評価制度の内容を考えるのは、
実は、上記の
- 現場に浸透するように伝えてゆく
ステップのうちの、一部に過ぎないのです。
■逆に、
「言っていることが不明確」
「言ったり、言わなかったり」
ならば、
「本気かどうか、わからない」
となるので、
職員は着いてくることはありません。
まして、
職員がみんなで、
持てる知恵と力を総動員することなど
起こらないのです。
そもそも、ゴールが不明瞭であれば、
「あれも大事な気がする」
「これも捨てがたい」
「それもできなければいけない」
「あれも優先しなければ」
「これも必要だ」
と、評価項目が散漫で総花的なものとなってしまい、
価値観が一貫した人事評価制度が出来上がることはありません。
本来、職員が底力を発揮するようにするには、
「選択と集中」
ができる環境を与えることが望ましいのですが、
「散漫で総花的」
では、その反対だということがお判りでしょう。
■さて、
みなさんはゴールを明確にイメージできているでしょうか?
もし、それが不明瞭ならば、
たとえて言えば、
毎日
「明日の朝はやく、渋谷集合」
という漠然とした指示をし続けている、
ということにほかなりません。
その結果、職員はみな、
「何時に渋谷のどこか、わからない」
「何としても来いというほどの本気ではないのだろう?」
と感じ、
「はい」
と生返事をしている、ということです。
ゴールが不明瞭なまま、
どんなに立派なシステムや高価なコンサルテーションを導入しても、
すべて砂上の楼閣です。
進めてみてから、
「なぜか、職員に納得感がない」
「そのため、思ったように浸透しない」
「まして、願っていたような言動が現場から生まれることはない」
ということに直面することでしょう。
ゴールを明示していないのですから、
ゴールに辿り着かないのは、
当然です。
■したがって、
患者サービス研究所では、
クライアントの方々から組織づくりのご相談を受けた時には、
必ず、
「具体的なゴールを明確に描く」
というステップをできるだけ丁寧・周到に行なうことから始めます。
「そのゴール像を、現場職員にどう伝えるか?」
はその後です。
「人事評価制度をどんな風に創るか?」
は、さらにその後です。
■なお、
人事評価制度をせっかく周到につくっても、
それを血の通ったものにするのは、
職員がさまざまに話し合い、
価値観をすり合わせることができる
組織体質が必要不可欠です。
というもの、
一部の人間が
職員同士で話し合うことも
価値観をすり合わせることもなければ
組織体質を醸成することはできないからです。
そのための、
全職員が価値観をすり合わせることができる
1日5分のコミュニケーション・モデル、
それが、
患者サービス研究所が提唱する
「HIT-Bit」
です。
HIT-Bitについては、1Dayセミナーを開いています。