緊急事態対応で浮き彫りになった「リーダーシップ」

緊急事態対応で浮き彫りになった「リーダーシップ」

■今回、未曾有の事態に直面してみて、

さまざまに、

良いリーダーシップ、良くないリーダーシップを

見るに至ったのではないでしょうか?

今回は、批判のためというよりは、

より良いリーダーシップを学び、

わたしたちの現場実務に活かすために、

終盤で事例を振り返ります。

今回、もっとも浮き彫りになったのは、

「現・組織論に脈々と息づいている昭和のリーダーシップは、

もう限界である」

ということでしょう。

■上表の現・組織論の通りです。

いまも世の中の主流を占めるのは、

現・組織論でしょう。

▶︎基本

大事なことは経営者が決め、

部下・現場は、黙って従えば良い、という

上意下達・上命下服が、基本です。

「上司を役職で呼んではいけない。

お互いに、さんづけで」

というルールにしているにもかかわらず、

「◯◯さん、それ君に任せるから責任持ってやって」

「はい、⬜︎⬜︎さん、かしこまりました」

というように、

結局やっていることは上意下達・上命下服そのもの、

という現場も、なんと多いことでしょう。

▶︎社会背景

そうなった背景は、

昭和の永い永い高度経済成長の支えられていた時代に

あります。

製造立国であり、

「国民的〜〜」という言葉が通用していたほど、

国民の価値観は一様でしたから、

市場が急に変化することはありませんでした。

先月売れるものは、

来月も間違いなく売れた、

そんな時代が40年以上も続いたのです。

そのため、経営者は、

「先月のデータだけを見ていれば、

来月の結果もわかる」

と、余計な情報を不要とするようになりました。

▶︎経営陣の基本行動

そのため、経営陣にとっては、

現場からの余計な口出しは無用。

必要なことは、こちらから指示する、というのが

職場のコミュニケーションでした。

現場の部下・職員が、

どんなことを考えているか?

やる気があるのかないのか?

本当はどんな仕事を広げてゆきたいのか?

などに、

経営陣や管理職が

関心を持つ必要はありませんでした。

これは、

経営陣・管理職にとって、とても居心地の良い環境です。

なかなか体質を切り替えられないのは、

居心地の良さにも大きな原因があります。

▶︎体質

そのため、経営陣も管理職も、

外から学ぼうともしません。

最善を追究し続けることを怠るので、

(すぐに弊害が現れることはありませんが、

時間をかけて)

着実に、生産性が下がってゆきます。

また、

居心地が良い人たちは、

より一層居心地の良い環境をつくるので、

どんどん秘密主義となり、

私利私欲や私怨私憤の力学が働き、

腐敗してゆくことになるのは、

みなさんも、

たくさん目の当たりにしているのではないでしょうか。

▶︎組織内部

その結果、経営陣は、

居心地の良い環境を守るために、支配するようになります。

その結果、現場には

組織不信が生まれ、

将来に対する不安感が巻き起こることになります。

▶︎それでも、高度経済成長期が続く中、

職員が辞めなかったために、

こうした体質が世の中に染み付いたのが

「昭和」の時代なのです。

■これに対して、これから切り替えてゆくべき組織像を、

新・組織論に記載しました。

▶︎基本

経営陣・管理職は、どんどん情報を回すことが大事です。

みんなの良い情報を共有し、

みんなの中から様々な意見を引き出し、

最後に、

経営陣・管理職は、決裁だけをする、というスタンスです。

よく、

「なぜ、社員は目先のことしか考えないのか?」

という経営者・管理職がいますが、

そうなっているのは、

このように情報を常に回していないからに他なりません。

日頃、経営者・管理職自身が、

上意下達の文化にしているから、

部下職員の視野が広がらないだけです。

▶︎社会背景

なぜ、このような組織が望ましいと考えられるか?というと、

もはや、

世の中が多様化・複雑化し、

その変化も日々、加速しているという状況があるからです。

昨日の正解が、今日は通用しないのです。

そのため、現場からの情報がつねに重要です。

情報どころか、つねに現場から答案を上げてもらわなければ、

追いつかない時代です。

また、情報化によって、

「誰が何を言い出すかわからない時代」

でもあります。

そのため、昔のように、

「厄介なクレームは、門前払いしておけば良い」

と雑な発想をしている人は、

世の中全体からバッシングを受けて大変なことになる時代です。

▶︎経営陣の基本行動

したがって、経営陣・管理職は、

「つねに情報を回す」

ことが役割となったと言って良いでしょう。

現場からの口出しは大歓迎しなければならない時代へと

180度変わりました。

職場のコミュニケーションといえば、

上から下へ、ではなく、

現場から上層部へ、を基本にする

というように、180度流れる方向が変わりました。

しかも、必要か不要か、ジャッジしてはなりません。

というより、どんな情報が有益になるかもわからないので、

経営者・管理者といえども

自分や取り巻きだけの狭い視野でジャッジすることは

できないのです。

部下職員が抱いた、

ささやかな違和感すらも、

実は、組織の存亡に関わるマーケットの変化の予兆かも

知れないのですから。

まして、具体的な問題提起や改善提案は、

それが正しくても正しくなくても、

良かれと思って上げてくれたことだけで、

まずは手柄となります。

というわけで、これからは、

お互いの情報をすべて出し合い、

一緒に考えて、

進んでゆく、

そんな組織になるように、

その環境を設けてやるのが、経営者・管理者の役割

と考えた方が良いでしょう。

そのため、

現場の部下・職員が、

どんなことを考えているか?

やる気があるのかないのか?

本当はどんな仕事を広げてゆきたいのか?

などにこそ、

経営陣や管理職は

関心を持つことが重要となったのです。

一人ひとりの価値観を大切に考えているよ、という

姿勢がなければ、

職員が安心して自分の思いや考えを口にできないからです。

そしてそんな職場は、

現場の職員にとって、

活き活き・のびのびと話し合い行動できる

快適で健全な環境にほかなりません。

職員にとって働きやすい環境は、

生産性もまた高い職場なのです。

▶︎体質

現場職員がどんどん考え行動できるように、

経営者・管理職みずからも外から学び、

情報をみんなに提供してやるのが、

経営陣や管理職の役割です。

「情報を回す」中でも、とりわけ重要なのが、

ボーダーを超えて情報を回すことです。

組織の外の情報を中へ回すだけでなく、

職員個人と個人の間の情報共有も、

組織内の部署同士の枠を超えて情報を回すことも、

経営者・管理職だからこそ

果たすべき役割です。

こうして最善を追究し続けるので、

生産性が上がります。

この傾向を促進するためにも、

論理必然的に、

ガラス張りの経営をしてゆことが前提となります。

秘密主義や、私利私欲や私怨私憤の

生まれる隙などない、健全な組織です。

▶︎組織内部

その結果、現場・部下職員は

組織を信頼することができます。

また、

ありとあらゆる情報を元に

全体で忌憚なく話し合って方向性を決めている以上、

方針に対しても

「これ以上に良い方針はないはずだ」

と、安心することができます。

充分に情報が提供され、

充分に発言・行動の機会が与えられ、

意見や価値観を尊重される現場ほど、

快く勤め続けたいと心から思える健全な職場はないでしょう。

▶︎こうして、

職員が

「この仕事には理屈じゃない魅力がある」

「この職場にはお金では買えない体験がある」

と、やりがいと誇りを感じて勤め続けてくれる、

そして、

つねに最善を追究して生産性が高い組織を、

これからは創ってゆくことが望ましいのではないでしょうか。

■今回のウィルス感染に対する我が国の一連の対応を見れば、

それらの一つ一つが、

ことごとく、

昭和の時代に染み付いた

「現・組織論」の思想によるものだったと、

浮き彫りになっていることでしょう。

今回、しばしば見受けられた

「なぜ、そんな対応をするのか?」

と疑問に感じる場面も、

上記のように見てみると、

「昭和の感覚の人だったら、そうなるのも当然」

ということが見えてくるのではないでしょうか。

その逆に、

外国から情報を得てきたり、

部内で情報を回して検討し、

問題提起や改善提案をどんどん上げてもらっていれば、

的外れな対応にはならなかったのです。

また、

未曾有の状況下において正解のない事態なのですから、

そうしたプロセスをガラス張りにしていれば、

たとえ施策が成功しなかったとしても

非難はされないはずです。

しかし、実際のところ、

外国から学んだり外国の専門的な力を借りることもなく、

人々に重要なことが説明されず、

結論だけが唐突に降ろされてくれば、

誰もが不信や不安を感じるのは当然です。

■そんな中で、

「部屋とお茶と本とイヌと私」の動画を

流してしまうのは、

「いかに情報を回していないか?」

を露呈した証明にほかなりません。

また、

多くの国民が要らないというものを、

わざわざ血税を使って各家庭に送りつけるといった

誰も幸せにならない施策をしてしまうのも、

「いかに周囲と話をしていないか?」

の現れというよりほかありません。

台湾や韓国、ニュージーランドの首脳は

評判が良いですが、

その人自身が何でもできたわけではありません。

情報を回して、

優秀な人を巻き込み、国民を巻き込んだのです。

同様に、

イギリスやドイツで

感染を抑え込みきれなくても、

国民が国政と一緒に戦おうとしているのは、

やはり、

首脳が情報を回しているからです。

我が国では、この点が違うために、

感染対策も、

国民感情も、

理想的なものになっていないのではないでしょうか?

■この時代のこの難局を、

情報を回さず、

上意下達で乗り切ろうとするリーダーシップには

限界がある、ということを、

みなさんも、目の当たりにしたことでしょう。

そして、さらに、

上意下達で乗り切ろうとするリーダーシップを捨て、

「では、どうすれば良いか?」

が見えてきたことでしょう。

そして、

これからの

「新・組織論におけるリーダーシップ」

を具体的にイメージできたのではないでしょうか。