こうしたらみんなのやる気に火がついた!

こうしたらみんなのやる気に火がついた!

■「社員・職員のやる気を出させるには、
どうしたら良いのか?」
と、考えない経営者・管理職はいないでしょう。

今日は、
わたしが専門学校教員だった時の体験を
聞いてください。

■わたしはかつて、
医療事務職員を育成する専門学校で
教員をしていました。

専門学校は、学生募集がなによりも重要なので、
それに最も強く影響する
検定合格率や就職率を
なんとしてでも上げようとする傾向があります。

学生の幸せは二の次です。

というわけで、
「検定受検勉強が苦痛だ」
「正直、就職したいという意欲もない」
という学生の少なからぬ声もある中、
教員たちは、
なだめたり
すかしたり
おどしたり
説教をしたりしながら、
学生たちを追い立てることになるのです。

「学生たちが気の毒。
どうにからならないか」
と、思わざるを得ませんでした。

追い立てる教員も
もちろん幸せではない。

教員と学生の関係性にも
ヒビが入ります。

■いっときは、わたしは、講義の中で、
「いかに医療事務職がすばらしい仕事か」を
説明していました。

結果は、ご想像通り。

学生たちは、
「はぁ、頭ではわかりました〜」
という顔になるだけです。

理屈によってやる気が出たとしても、
線状降水帯の中で灯されたロウソクの火のごとく
脆弱です。

で、どうしたか?

■新年度を迎えるタイミングで、
わたしは、
時間割担当に頼みごとをしました。

はたして、新年度になると、
各クラスに、
毎週1回ずつ、
3コマ続き(3時間)の枠が設けられました。

そして、どのクラスにも、
毎週1回の3コマには、
わたしが赴くことにしました。

そこでわたしは、
毎週毎週、
医療関係のドラマやドキュメンタリーを
ひたすら学生に観せたのです。

(映像は2時間、
事前の30分間は、わたしから、
背景や前提について解説をし、
事後の30分間は、
感想を書いたり話し合ったりしました)

もちろん、
脚色や演出が施されているものもありますが、
映像は、
教員の理屈っぽい講義とは比べ物にならないほど
はるかに臨場感があり、
なんの準備もなしに来た学生たちも
間もなく内容に吸い込まれてゆきました。

たいていは、
医師や看護師をはじめとする医療職に
フォーカスが当てられており、
事務職員はまるで登場しないのですが、

学生たちは、
自分たちがいままで目指してきた進路の先が
どれほど尊い世界なのか、
どれほど素晴らしい専門職の方々が働く場なのか、
患者・家族との間にどんな葛藤やドラマがあるのか、
…を、疑似体験することになります。

感動的なストーリーなどを通して、
医療の責任の重さ、
患者さんの苦悩、
行政や制度への問題意識、
なにより医師、看護師ほか医療職の方々がおかれている
真剣勝負の毎日という環境などの一端なりとも
学んだように見受けられました。

学生たちは、
「先生、きょう何観るの?」
などと言いながら楽しそうに教室にやって来て、
3コマが終わる時には
涙を拭きながら、
さまざまな感想を書いてくれていました。

印象的だったのは、
「この授業を受けるたびに、
医療事務の道を選んで良かったと強く思うようになった」
という感想が
いくつもあったことです。

これ以上の「やる気」はないでしょう。

そんな彼女たちに
「もっと検定がんばれ」
「就職活動をしっかりやれ」
などということを、
わたしからは一度も言う必要がありませんでした。

わたし自身も、
20歳前後で、
そんな尊い現場を真摯に目指す学生たちの
立派な姿勢に、
おのずと頭が下がる思いがしました。

■やる気を引き出すための
ポイントは、
実はとてもシンプルなことです。

もちろん、
・動画を使う
・感動させる
といった手法の話でもなければ、
画策が大事という話でもありません。

みなさんが、
部下や仲間のやる気を引き出したいならば、
「これを押さえておいた方が良い」
というポイントも、まったく同じです。

学校と職場、学生と社員は
事情が違うという人もいるかもしれませんが、
人間の心理構造は同じなので、
ポイントはまったく変わりありません。

さて、経営陣なら、
「職員に、もっと経営的視点で考えてほしい」
と思っているかもしれません。

また、なんらかの委員会委員なら、
「みんなに、
もっとこのテーマに関心を持って
活動に協力したり参画してほしい」
と思っているかもしれません。

その場合、
このポイントを押さえておけば、
・説得や説明をする必要がない
・相手は大事なことを瞬時に理解する
・その意識が持続する
・相手がやる気を出すことにストレスがない
・引き出す側と本人たちとの関係性が悪くならない
……などなど、メリットばかりです。