「エンゲージメント」を販売する会社の注意点

「エンゲージメント」を販売する会社の注意点

■昨今、リモート・ワークも増えてきたためか、
普段、直接に顔を合わせない社員にも頑張ってもらえるよう、
「社員のエンゲージメントを高めよう」
と提案する業者が雨後の筍のように乱立しています。

システム会社にとっては、
組織と社員、または社員間のコミュニケーションを取るには、
「ズバリ、自分たちの出番」
と感じるからでしょう。

そして、そんな業者の話をみなさんも聞いてみたことがあるでしょうか?

その注意点を挙げておきたいと思います。

■まず、販売されているのは、
「社員のマインドを測定するシステム」
が多いということです。

社員のマインドを測定し、数値化して、把握することができれば、
経営者・管理職としては、安心できそうに感じるからでしょう。

しかし、社員のマインドはどのように測定されるかというと、
社員自身が、日々、簡単な問いに答えたものが
データ化されるというもの。

入院患者の体温・血圧などを日々定期的に計測する
バイタルチェックのようなことを、
社員自身にやらせようというわけです。

ここに大きな落とし穴があります。

それは何か?

■そもそも、人のマインドは、本人に答えさせても
信頼性が乏しいということです。

たとえば対面で上司から、
「いま、君は大いにやる気があるか?ないか?」
と訊かれて、
率直に本心を打ち明ける人はいるでしょうか?

SPIテストで経験されたことがある人も多いと思いますが、
「こうありたい」
「こんな自分であることを認めたくない」
といった「あるべきバイアス」が働き、
本心に対して回答が歪んだ結果になってしまうのが普通だからです。

つまり、
「マインドの状況を本人に訊く」
という仕組み自体、正確に機能しないものなのです。

経営者・管理職は、把握できるような気がして
採用する向きもあるようですが、
それは経営者・管理職の立場だからこそ期待してしまう幻想に他なりません。

■第二に、
マインドを測定した結果、
「どのような策を講じれば良いか、提案してくれる」
サービスが多い、ということです。

「検査で異常を発見したが治療はしない」
ではビジネスになりませんから、
多くの業者が、
「この場合はこの施策、あの場合にはあの施策をご提案します」
ということになっています。

しかし、
昭和の時代に編み出されたさまざまな施策のほとんどが、
今日の職場の活性化、社員の健全化には貢献しないのが実情です。

それは、
6月24日に厚労省から発表された
令和3年度までのデータを含めた『労災の申請件数、認定件数』のうちの、
「精神障害を理由とした労災申請件数、認定件数」
に現れていると言えます。

すなわち、両件数ともに、
令和3年度には、過去最多件数をマークするに至っているからです。

職場が健全になっているとも、
労働者が活性化しているともいえない証拠が出ているのです。

本当に働く人が幸せになるためには、
昭和の時代に唱えらえれたエンゲージメント施策では無理だということです。

しかし、システム会社は、
人と組織の専門家ではないため、
オリジナルの組織改善策を開発することは得意ではありません。

そのため、
こんにちに合った、新しい組織改善施策を持ってはいないのです。

■くれぐれも、
「自己申告のマインドチェック」
「古い組織改善施策」
に振り回されないように注意されることをお勧めします。