■最近、痛感するのは、
なにごとも、
「ゲームの前にすでに勝負がついている」
ということです。
たとえば、
研修が効果的なものになるかどうかは、
講師や講義内容そのものよりも、
研修の前に、
参加者の目的意識が明確になっていたかどうか、で決まっています。
このことは、みなさんも、毎回の研修で痛感されていることでしょう。
タイミングや受講環境が悪ければ、
どんなに内容が良くても、
アンケートには、不満の声があふれます。
来場するなり
眠り始める職員がいることすらあります。
そもそも受講したいという動機がない職員を集めて
研修をする段階で、
効果的なものにならないことが決まっているというわけです。
むしろ、
職員が問題意識を持っていて、
目的が明確になるほど、
ご担当者が研修を企画しなくても、
職員の方々の方が、
ふさわしい講師を探し、研修の企画を申し出てくるはずです。
■同様に、
たとえば、
組織改革がうまくいくかどうかは、
管理職に、
管理職としての技能を教える研修を行なうことそのものよりも、
管理職のミッションを明らかに伝えているかどうかで、
決まっています。
管理職が、
「管理職として、これだけはやり遂げねばならない」
とミッションを明確に理解していれば、
管理職自身が、
そのために必要な技能を求めてみずから探したり、
学びに行くはずです。
そんな組織になれば、
一般的な、出来合いの管理職研修を受けさせて、
時間と費用と労力を無駄にすることもありません。
■たとえば、
組織の生産性が上がるかどうかは、
生産性を上げるように呼びかけたり、
生産性が上がったかどうかを測定するよりもずっと前、
すなわち、
職員が業務に臨む前に決まっています。
つまり、
職員に対して、
「あなたのミッションは、組織の生産性をあげることだ」
と伝えて、コミットさせているか、ということです。
わたしが勤めてきた全ての職場も含めて、
多くの組織においては、ミッションとして、
「与えられた仕事をきちんとこなすこと」
だけを伝えられているので、
就業してから、
「もっと生産性を上げなさい」
と呼びかけても、
職員からしてみれば後づけになっているため、
一向に浸透しない、という事態に陥っているのです。
ということは、就業の時点で、
「生産性を上げるのがあなたのミッションだ」
と伝えておくことが理想だということが言えます。
■こうしてみると、
なにごとも、
「ゲームの前にすでに勝負がついている」
ということが言えるのではないでしょうか。
ということは、
わたしたちは、
とかく、結果ばかりに注目しがちですが、
原因と結果の流れを俯瞰して、
原因にアプローチすることによって、
良い結果を導き出すことができるようになる、
ということが言えるのではないでしょうか。