■ミスやクレームが起こるたびに、
「コミュニケーションが足りない」
「コミュニケーションを密にしなければ」
という意見が上がるものです。
そして、どんな対策を講じるかというと、
コーチングを学んで、
会話の仕方を身につけようとすることもあります。
また、
交流分析で、
人には5つのタイプがあり、
そのタイプ毎に合った対応の仕方をすれば、
コミュニケーションが円滑にゆくという話を聞いてみたり、
ということもあります。
NLPを学んで、
座る位置や向き、
相手の仕草を真似るミラーリングや、
相槌を打つなどのアクションをすると、
相手が無意識に親近感を覚えて、
対話が円滑になるという手法をトレーニングしてみたり、
ということもあります。
■しかし、そうしたコミュニケーション・テクニックが、
功を奏して、
「現場が断然良くなった!」
ということは、ほぼ聞きません。
また、
「コミュニケーション・テクニックを習得したので、
プライベートでも人間関係に悩まなくなった」
という例も聞こえてきません。
なぜでしょうか?
■それは、コーチングであれ、交流分析であれ、NLPであれ、
「相手が向き合ってくれて、対話に応じてくれる」
というシチュエーションを前提にしているからです。
「向き合ってくれて、対話に応じてくれる」相手であれば、
そもそも、コミュニケーションに困ることはありません。
本当に困るのは、こちらが声をかけても、
「なんで私なんですか?」
「いま忙しいんですが」
「私だけでしょうか?」
「時間があるときにしてください」
などと、向き合って対話に応じてくれる気がない相手と、
どうコミュニケーションをとれば良いか? ということではないでしょうか。
気軽に話をする気のない相手だからこそ、
誤解や疑いや不信が生じ、
それがミスやクレームにつながってしまうのです。
最も解決したいのは、
まさにこうした
「向き合ってくれて、対話に応じてくれる」気のない相手との
コミュニケーションであるはずです。
ところが、コーチングや交流分析やNLPは、
そうした、対話する気のない人とのコミュニケーションの仕方については
教えられていないので、
いくらこうしたコミュニケーション・テクニックを学んでも、
一向に効果が上がらない、という構造なのです。
■では、
向き合って対話する気のない相手に、向き合って対話する気になってもらうためには、
どうすれば良いか?
向き合って対話するためには、2つ。
1つは、相手が、
「いまここでなら、話してもいいかな」
と感じる
「機会」
があること。
そして、もう1つは、
相手が、
「この人と話してもいいかな」
と思う
「関係性」
があること、です。
「機会」と「関係性」のどちらからつくれば良いか、というと、
まず「機会」をつくることです。
話せる機会がまったくなければ、永遠に「関係性」が変わることもないからです。
対話する気があろうと、なかろうと、
まず、
「機会」
をつくることです。
そして、最初はぎこちなかったとしても、
徐々に対話らしきことをしているうちに、
「あ、この人には、少し話せるかも」
と感じることもでき、やがて、
「この人なら、話しても良い」
と感じられるような「関係性」が築かれる可能性が生まれるのです。
そして、それを継続していれば、やがて
「機会」と「関係性」が当たり前となり、
「向き合って、対話することが普通のこと」
へと変えてゆくことが可能となります。
こうして、相手が、
「向き合ってくれて、対話に応じてくれる」
ようになれば、
そうなって初めて、
コーチングや交流分析やNLPが、効果を発揮し、
より良いコミュニケーションをとれる可能性が生まれるわけです。
■したがって、
相手と、お互いに向き合えて、対話に応じ合うようにしたければ、
「機会」を設けて「関係性」を築くことを、
まず先にしなければなりません。
患者サービス研究所では、
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