■新たな施策をトップ・ダウンで進めても、
プロジェクトに参加するスタッフがやらされ感を持ちモチベーションが低い結果、
効率も生産性も上がらない、
ということがあります。
プロジェクトを活き活きとした活動にするにはどうすれば良いでしょうか?
- 誰に任命するか、人選に注意する
- 任命したスタッフに、しっかりと意義を話す
- 任命したスタッフを、しっかり激励する
- 任命したスタッフの良いところを厳正に評価する
- そもそも「任命」しない
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■トップが新たな施策を進めたいと思って
プロジェクトを立ち上げても、
「どうも現場のチベーションが低い」
ということがあります。
「プロジェクトのリーダーを任されたスタッフは
一生懸命やっているが、
他のスタッフにはやらされ感が漂っている」
とか、
「プロジェクトリーダーもそれほどやる気が見られれない」
というケースも、しばしばあります。
みなさんの組織においても、
みなさんが立ち上げたプロジェクトで、
「実働部隊がみんな目を輝かせて
高いモチベーションで取り組んでいる」
ということがあれば、
それは理想的な状況ではないでしょうか?
やらされ感を抱かせないためには、
どうすれば良いか?
それはたった一つ。
「やらせない」
に尽きます。
さりとて、
やらせなければ、
現場からプロジェクトが立ち上がることは稀
というのが実情でしょう。
そしてやはり仕方なく
トップが業を煮やして、
「トップ・ダウンでプロジェクトを立ち上げる」
ということになりがちです。
これが間違いの元です。
■そもそも、
人間のモチベーションは、
「やるか、やらないか、の選択の中」
で生まれるものです。
たとえばもし、みなさんが、
「明日、雪が降るとの予報ですが、
早朝4:00に出て、
一緒に海釣りに行きます。
頑張りましょう」
と言われて、
頑張る気になるでしょうか?
海釣りに狂っているとでも言われるくらいに
海釣り好きな人だけは喜ぶでしょう。
それ以外の人は、
迷惑でしかないでしょうから、
「最も遅くて、何時までに行けばよいですか?」
「最も早くて、何時に帰れますか?」
と訊くことでしょう。
しかし、
明日の海釣りをやるか、やらないか、の
相談の段階から関わっていた人が、
「よし、行こう」
と結論を出した場合には、
それはとてつもなく強いモチベーションであることがわかります。
やっても、やらなくてもよい、状況の中で
敢えて
「やる」
と決めるということは、
そこに強い主体性がなければできないことだからです。
そして、自分で決めたことには、
人は強い執着を持つようになりますから、
取り組み方も真剣になる傾向があります。
■では、組織においては、どうすればいか?
良い反応をしそうなスタッフに、
個別に、
「こういう課題を解決しなければならないと思うんだけれど、
どうかな?」
と投げかける、ということです。
そのスタッフ本人が強い関心を持っていれば、
頼まれなくても、
「ぜひ参加してみたい」
と手を上げるでしょう。
これが、
「やるか、やらないか、の選択をする」
というプロセスを与えるということです。
そうして、手を上げるスタッフを
一定数募って、
そのみんなで相談すれば、
「プロジェクトを立ち上げたい」
ということになります。
このプロジェクトのメンバーのどこにも
やらされ感が混入する余地がないことが
明らかでしょう。
■我が国では、
「この問題は、誰の責任か?」
と、
「人から問題を考える」
癖がついています。
まず、組織が挙げた領域があり、
そこに担当する人が割り当てられるので、
その人が
自分の担当領域を観察するので、
「担当する人が、課題を持ってくる」
人起点型組織です。
人起点型組織は、
担当する人が持ってこなければ、課題は顕在化しません。
また、世の中では、
「それは理事会のマターだ」
「委員会で協議してもらおう」
「部長会で決めてもらうべき」
といった言葉をよく聞きます。
しかし、理事や委員や部長だからといって、
全面的に前向きに捉えてくれて、
力を貸してくれるわけではないということを、
みなさんも何度となく体験してこられたのではないでしょうか。
そのテーマに関心がなければ、
たとえ理事や委員や部長であっても、
ネガティブな意見しか言わないのです。
これではブレーキばかりがかかり、
進む話も進みません。
そこで、
「人から問題を考える」
人起点型組織の発想をやめて、
これからは、
「問題に人が集まる」
という発想、すなわち、
問題起点型組織に切り替えることをお勧めします。
そもそも
「人から問題を考える」
という組織では、
「この人たちは、この領域の担当。
この領域の担当であるこの人たちが言い出さなければ
誰も問題があるということを言い出さない。
また担当以外の人たちは、関与しないのが当り前」
という文化になります。
「みんなで組織全体のことを考えよう」
という組織風土にはなり得ません。
一方、
「問題に人が集まる」
ことが体質になった組織すなわち
問題起点型組織では、
その組織のあちこちに埋もれていた問題が
その近くにいるスタッフによって
自由に、随時、大小の別なく、発掘され、
それを問題だと感じたスタッフが
みずからその問題の解消に関わる
という文化になります。
トップは、
現場から上がってくる意見を後押しして、
それぞれのプロジェクトを応援すれば良いだけです。
もしトップが感じている課題に
現場スタッフが気づいてくれる気配がなければ、
トップも一スタッフと同じように、
自由に、随時、大小の別なく、
「これ、問題だと思うんだけど、どう思う?」
と投げかければ良いでしょう。
こうした
「問題に人が集まる」
という組織体質の現場では、
やらされ感が生じることはありません。
すべてのことが、
「やるか、やらないか」
の選択をみずからしたスタッフだけが関与して
プロジェクト化してゆくため、
高いモチベーションをもって取り組まれることになるのです。
そして、自分の担当領域にとらわれることなく、
組織や社会のために大切だと思ったことを
スタッフがそれぞれ自由に発言し行動できる組織にされることを
お勧めします。
「組織全体のことを考えてほしい」
とはよく聞くことですが、
それが当り前の組織においては、
このように、
スタッフが、
自分の担当領域にとらわれることなく、
組織や社会のために大切だと思ったことを
それぞれ自由に発言し行動する、という事例が
毎月・毎週のように現場から生まれるはずなのです。
さて、みなさんの現場では、
人起点型組織の文化でしょうか?
それとも、
問題起点型組織の文化でしょうか?
それを測定する方法があります。
どちらの組織文化かは、
トップ発のプロジェクトの方が多いか?
それとも、
現場スタッフ発のプロジェクトの方が多いか?
に、明確に現れます。
みなさんの現場はいかがでしょうか?
■※なお、
「こういう課題を解決しなければならないと思うんだけれど、
どうかな?」
と投げかけても、
スタッフが反応しなかった場合は、どうすればよいのか?
という疑問をお持ちの方もいるでしょう。
この件については、また別の機会に詳説します。