■組織を動かすには、
- 目的の明示
- 結果の検証
を徹底することが基本中の基本だということは、
みなさんはすでにご存知でしょう。
しかし、ほとんどの現場で、
これが驚くほどできていないのが実状です。
上司が、きちんと伝えていないにも関わらず、
「何度も聞くな、いい加減わかるだろう」
「自分で判断しろ」
と面倒がって
「何を、どこまで、いつまでに」
を伝えていないことが多々あります。
その一方で、
「こうしろ」
「ああしろ」
とプロセスに口出しをするという、
やってはならないことが多々発生しているのも見受けられます。
さらに、
「どのような結果になったか?」
を検証していないことも驚くほど多いのです。
その最も顕著な例が、
「研修の効果」
です。
「良くなった気がする」
「変わった気がする」
で検証したことにしている組織がいかに多いことでしょうか?
「気がする」
で良いくらいの研修なら、
やらない方が良いでしょう。
患者サービス研究所では、
「時間と費用と労力をかけて研修を行なうならば、
必ず効果測定をするよう」
お勧めしています。
効果測定なき施策は、
自己満足に過ぎません。
そうした自己満足のための研修を
販売する研修会社も存在するから、残念なことです。
「リーダーシップを向上する」
「ホスピタリティを向上する」
「コミュニケーションを旺盛にする」
「モチベーションを向上する」
などなど、
目に見えないことに関する研修ほど、
「結果を検証していない」
ということが目立ちます。
こうした研修は無駄以外の何物でもありません。
そればかりか、
「うちって意味のない研修多いよね」
と職員からの組織に対する不信を買うことにもなるのです。
■ここからが、本題です。
要するに、なにごとも
「具体的ではない」
ことに問題の本質があります。
「何を、どこまでに、いつまでに」
実現するのか?について、
具体的に明示することが必要です。
また、
それがどこまで実現したのか?についても
具体的に検証しなければ意味がありません。
しかし、残念ながら、部下職員の方から、
事前に
「具体的には、なにをこうしますね」
と申し出ることはありません。
また、
事後に、
「ここまでやりましたが、
この点だけは、
この基準に照らせば’70%、あの基準でも80%です。
なのでもう少し時間をいただけませんか?」
とより緻密に取り組もうという言葉が出てくることはありません。
人は、どうしても他者の基準よりも、
自分の視点で動きたいものだからです。
そのため、
どうしても抽象的なアピールをする傾向があります。
■いまの政権与党も、
「充分やっている」
「問題ない」
「しっかりやっている」
「丁寧に説明している」
「責任を持って当たる」
……などなど、
抽象的なアピールのオンパレードになっていますから、
「ほとんど出来ていない」
ということを意味していると考えて良いでしょう。
なぜなら、
もし、出来ていることならば、
時間・場所・基準などを示して、
具体的に説明するはずだからです。
なぜなら、具体的に説明した方が、
評価も上がるばかりか、
理解を得られやすいので、
その後の展開もしやすくなるからです。
にもかかわらず、
「頑張っています」
といった抽象的な言葉でアピールするということは、
「具体的な事実をあげてアピールできる成果がない」
ということを示していることがわかるでしょう。
組織内においても、
部下職員からは
「具体的にアピールさせること」
が重要です。
できるかぎり
時間・場所・基準などを示し、
具体的に説明してもらうようにしましょう。
そうすることによって、
「結果の検証」
も確実なものとなるのです。
■わが国では、人事評価制度も、
上司の主観でつけるという
主観評価が主流となっています。
本来、人事評価は、
具体的に、
「いつ、なにを、どのようにした」
といった具体的な事実をもとにした、
「客観評価」
でなければならないはずです。
主観評価が横行しているために、
派閥争いや
パワーハラスメント、
社内営業、
情実人事などがまかり通ってきたのです。
これでは、いつまでも
健全で、
職員がやりがいや誇りを感じる職場、
組織の生産性の最大化は、実現できる日は訪れません。
■したがって、
経営陣・管理職の仕事は、
「具体化すること」
ということが言えるでしょう。
まずは、
「なにを、どこまで、いつまでに」
を明確に伝えることから始めてみることをお勧めします。