■昨日、企業対象の組織改善のセミナーを覗いてきました。
あるIT企業の教育研修担当者は、
(IT企業にありがちな悩みで)
「社員は専門技能者なので、どんどん辞めていってしまう。
本当は何が不満で何を期待しているのかが、わからない。
エンゲージメント(会社への愛着心)のポイントを知りたいが、
コミュニケーションをとろうにも、みな出先に勤務しているのでなかなか会う機会がない」
とのこと。
わたしが
「会社のインフラを使用自由にして、
休日は、社員が会社に来て
自分のビジネスやスキルアップできるようにしたらどうですか?
自分がやりたいことをやりに来れる会社は社員にとって価値があるのではないでしょうか?
また、プライベート・モードの時には本音が出やすいので、
エンゲージメントのポイントも聞けると思いますよ」
ところが、
「いやー、休みは休んでいたい、という社員もいるんですよー」
みなさんも、
「もちろん、来たい人だけ来させればいいだけ。
来たくない人を来させる必要はない」
「できることからやればいいだけなのに」
と思われているでしょう。
しかし、その担当者は、しきりに
「来たくない社員もいるんですよー」
と悩んでいました。
■先日は、誰もが知る上場企業の人事担当者の方と話す機会がありました。
やはり、
「社員に危機感がなく、
自分で考えて動ける社員が少ない」
と嘆いていました。
そこで、目標管理制度を導入しているが、
「現場にやらされ感があり、うまく運用できていない」
と。
そこで、わたしが
「目標管理制度は、もともと社員が自分から目標を立て、達成度をアピールするためのもの。
それを強制すること自体、むしろ過保護にしてしまっている面があります。
自主性を育てたいなら、目標管理制度に参加したい社員だけ参加を許可することにしたらいかがですか?」
と言うと、
担当者は、
「目標管理制度にのっとって面談をして、シートを出してもらわないと、
評価しにくいので、
それは無理なんです」
とのこと。
みなさんも、
「いままで、面談もシートもなしに上司の感覚で評価してきたのだから、
目標管理制度に参加しない社員は、上司の感覚で評価すればいいだけ」
と思われるでしょう。
■ここまでで、みなさんにはもう
おわかりのことと思います。
なぜ大企業病になるかと言えば、
実は、
人事担当者が
「一元管理したい」
という大企業病にかかっているから、にほかなりません。
監視しようとするほど、
負荷がかかるので、
作業を単純化したくなるので、
一元管理しようとするようになる、という構造です。
もし、組織を活性化したいなら、
監視しないことです。
現場から上がってきたことだけを
管理すれば、
担当者自身も楽になるからです。
そもそも、考えてみれば、
全体を監視しようとすれば
全体の情報を管理しなければなりませんが、
アピールしてくる職員の情報だけを管理しようとすれば、
一部の情報だけを管理すればよいのですから、
その方が人事担当者は楽になることを自覚した方がよいはずです。
そして、その方が、
現場職員が自分のことをアピールすることが必要となるので、
「自分のことは自分でしなければならない」
という自律心が醸成され、
人事担当者側のその態度こそが、
自律進化組織づくりでもあるのです。