対症療法に注意! 副作用・後遺症あっても根治せず

対症療法に注意! 副作用・後遺症あっても根治せず

■最近は、職場でメンターを設けるところも出てきているようです。

幸い医療機関では聞いたことがありませんが。

メンターを置かなければならない職場とは、
いったいどんなに病んだ職場なのでしょうか?

そもそも、人は、
自分で望んでいたことを学び、
自分で望んでその職種を選び、
自分で選んでその職場に就職し、
自分で今朝も出勤してきたはずです。

自分の望みを叶えた結果が、
今日の自分であるはずです。

ならば、
「初心忘るべからず」
という言葉がありますが、
望んだ通りの職場で働いているなら、
「初心ますます明らか」
になるはずではないでしょうか?

とはいうものの、現実には、
確かに、
にも関わらず、やりがいや誇りを感じられず、
退職してしまう人もいます。

離職が絶えないという職場も多々あります。

そこで、
「メンターを設ける」
という発想になるようですが、どう考えますか?

しかし、メンターを配置してみても、
現場に戻って、
「病院からはまったく理解されている気がしない。
応援されている気もしない。
言いたいことも言えない。
こんなはずじゃなかった」
と感じれば、離職を思いとどまることはないでしょう。

■以前、ある病院から研修の相談を受けた時、
担当者の要望は、
「接遇委員たちのモチベーションを上げて欲しいんです」
でした。

人は、
「この役割がどんなに誇りある仕事か」
という意味づけがなされれば、モチベーションが上がります。

しかし、
「接遇委員の意味づけ」
は、その病院が、
自身の価値観を伝えて行なわなければ、響きません。

外部のコンサルタントが来て話しても、
現場に戻って、
「病院からはそんなメッセージはまったくない」
ならば、モチベーションはすぐにまた下がってしまうのは目に見えています。

■メンター制度で職員の離職を防止しようとすることも、
外部コンサルタントにモチベーションを上げようとすることも、
対症療法でしかないことが、おわかりでしょう。

一時的には、症状が緩和するかもしれませんが、
現場に、職員を応援する環境がなければ、
本質的な解決にはなりません。

「メンターに話しても、結局意味がない。
なぜなら、現場は変わらないのだから」
となるでしょう。

「外部コンサルタントの研修を受けても、結局意味がない。
なぜなら、 病院は理解してくれていないのだから」
となるでしょう。

つまり、
メンターで離職を防止しようとしたり、
外部コンサルタントにモチベーションをあげさせようとするのは、
つまるところ、
失望と不信につながりかねないということです。

■では、本質的な解決とは何か?

メンターを配置するのではなく、
全職員がメンターとなることです。

職員が、
「ここで働いていてよかった」
「この仕事には、理屈じゃない魅力がある」
「この職場には、お金では買えない瞬間がある」
「この仲間だから、どこよりも自分らしく働ける」
と感じられ意味づけを、
全職員が、互いにできる組織にする、ということです。

そんな現場であれば、
「現場に戻ったら魔法が解ける」
ということはありません。

そんな勇気と元気を当ててくれるのが、
現場の現実なのですから。

また、
外部コンサルタントに研修をさせるのではなく、
全職員が、接遇の意味を知ることです。

職員が、
「患者さんに喜ばれた時、感謝された時こそ、
この仕事の素晴らしさを実感し、もっと患者さんに向き合いたいと思う」
だから、
「患者さんにもっと向き合いたい」
「もっとできることはないか」
と感じられるメッセージを
全職員が、互いにできる組織にする、ということです。

そんな現場であれば、
接遇への関心が希薄になるということはありません。

現場こそが、
素晴らしい接遇を実践する場であり、
この仕事のやりがいを感じさせてくれるかけがえのない舞台なのですから。

■何事も、本質的な解決をすれば、
その効果は大きく、全体が改善されます。

一方、
「担当者を置こう」
「外部コンサルタントに話をさせよう」
といった対症療法は、
簡単で時間も費用もかからず手軽さに魅力を感じるかもしれません。

しかし、
つぎはぎの対処となるので、
効果は続かず、
職員からの失望と不信を生むこととなります。

■では、
本質的な解決とは何か?

それは、
(1)に、
「誰か一部の職員にやらせる」ではなく「全員がやる」ことであり、
(2)つめは、
「一時的にやる」ではなく「日々、継続してやる」ことです。

「(1)全員によって、(2)日々行なわれる」ようにすること、
それは
つまり、
「組織体質を変える」
にほかなりません。

では、どうすれば、
職員が、
「ここで働いていてよかった」
「この仕事には、理屈じゃない魅力がある」
「この職場には、お金では買えない瞬間がある」
「この仲間だから、どこよりも自分らしく働ける」
と感じられ意味づけを、
全職員が、互いにできる組織になるのか?

また、どうすれば、
職員が、
「患者さんに喜ばれた時、感謝された時こそ、
この仕事の素晴らしさを実感し、もっと患者さんに向き合いたいと思う」
だから、
「患者さんにもっと向き合いたい」
「もっとできることはないか」
と感じられるメッセージを
全職員が、互いにできる組織になるのか?

この
「組織体質を創る方法」
については、また別の機会にお伝えします。