水を樽に入れ山頂に運ぶか? 水門を開けて放出するか?

水を樽に入れ山頂に運ぶか? 水門を開けて放出するか?

■質問です。

いま、みなさんの前にある
「より多くの水を運ぶ2つの仕事」
のうち、どちらを選びたいでしょうか?

1つは、
「水を樽に入れて、山頂に運ぶ仕事」

もう1つは、
「水門を開けて、下方に放出する仕事」

どちらが
より効率的で効果的か、から考えて選択すると・・・

■ところで、組織にあって、
みなさんが、部下に仕事をさせたい時には、
「誰にやらせるか?」
と考えがちではないでしょうか?

実際、多くの管理職が、
「あなたが担当ね」
と仕事を任せています。

これは、心理構造だけを見れば、
「部下を、業務の当事者という枠にはめ込もうとしていること」
を意味しています。

なので、部下からは
「あ、はぃ・・・」
という反応。

自発的に前進することはありません。

というのも、
言われたからやる人は、
言われなくなればやらなくなるからです。

そんな人が、本当の当事者になってくれるでしょうか?

つまり、
当事者しか気づき得ないことに問題提起したり、
当事者しか思いつかないことを改善提案することが
あるか?
ということです。

そうなると、結局、
上司が、
「あれはどうなった?」
「これは進んでいるか?」
「それは?」
と介入して、
上司自身が当事者となるしかありません。

それは、
部下本人を、傍観者にするだけです。

■では、どうすればよいか?

まず、部下を
課題の当事者にすることから始めなければなりません。

当事者となり課題を感じれば、
「なんとかしたい」
「変えたい」
と考えることになります。

そこで、
「なんとかさせてください」
「変えさせてください」
と部下が申し出た時、
その業務を担当する許可を与えれば、
部下からは、
「ありがとうございます」
という感謝の言葉を聞くことができるでしょう。

■もうお分かりでしょう。

心理構造を見れば、
前者のスタイルが、
「水を樽に入れて、山頂に運ぶ仕事」
そして、後者のスタイルが、
「水門を開けて、下方に放出する仕事」
です。

水を樽に入れて、何万回山頂に運んでも、
ある時、水が、
「また山頂に行くんですよね?
今日は、自分で樽に入って山頂まで行きますよ~」
と言ってくれることはありません。

水門を開けて、放出すれば、
その瞬間から、
水は勝手に下方へほとばしってゆきます。

自分が気づかなかった
最も速く、最も低いところを
水がみずから見つけて
下方へ下方へと下ってゆくのです。

何万回やらせても、
自分から動かない部下、
上司が気づかなかったことも、
みずから気づき行動してくれる部下、
どちらが良いでしょうか?

あらゆる業務で
「水門を開けて下方に放出」
すれば、
どんなに効果的・効率的でしょうか?

そして、上司・部下の間が、
どんなに良い関係性になることでしょうか?

■ぜひ、今日から、
部下や組織を動かす場合には、
「この進め方は、
水を入れた樽を山頂に運ぶ仕事か?
水門を開けて下方に放出する仕事か?」
を常に考えることをお勧めします。

では、
どうすれば、
部下に課題を感じさせて当事者にするか?

そのための、最もシンプルな方法は、
今後、また別の機会にお伝えします。