経営の基礎 組織が「職員の一番の味方」であること

経営の基礎 組織が「職員の一番の味方」であること

■患者サービス研究所では、
組織づくりの最初に管理職に着手してもらうことは、
片腕であるNo2づくりです。

No2ができたら、
今度は、
管理職とNo2との2人で、
それぞれに片腕となるNo3, No4を作ってもらいます。

No3, No4ができたら、
今度は、
管理職とNo2、No3、No4の4人で、
それぞれに片腕を・・・・

そして、30人の部署なら、
最後の一人がNo30の片腕となるまで
たどり着いたところで、
これが最強の組織が出来上がるのですから。

一人を味方に着けられない管理職が、
部署全体を味方に着けることはできないでしょう。

つまり、
身近な人間を巻き込めなければ、
組織を巻き込むこともできません。

同じように、
組織を巻き込めなければ、
外部を巻き込むことはできません。

■たとえば、接遇。

いまだに、
「接遇とは、患者さんのためにするもの」
「職員が無理をしてでも、患者満足度を上げなければいけない」
ということを聞くことがあります。

職員を元気にできなくて、
患者さんを元気にできるはずがありません。

患者さんに勇気や元気を与えて心を明るくしたいなら、
職員を元気にしなければならないのです。

そこで、
「接遇とは、
患者さんに心から喜ばれ感謝される瞬間をつくること」
と考えること方が良いでしょう。

患者さんから手を握って感謝され涙を流して喜ばれる、
そんな瞬間を作ることができたら、
職員の方々は、
医療従事者冥利につき、
「もっと患者さんに向き合いたい」
と理屈抜きで、心から思えるのではないでしょうか。

その結果、
患者さんにとっても、
どこよりも安心して相談できる病院、
だれよりも頼りにできる職員、
生涯忘れられない心温まる瞬間を
感じることができるのではないでしょうか。

身近を幸せにすることで、
周囲も幸せになりますが、

反対に、周囲を幸せにすることを優先しても、
そのために身近に無理をかければ、
それは続かないのです。

■また、たとえば、ブランディング。

いまだに、
「ブランディングとは、広報の仕方だ」
「どうしたら、病院のイメージを良くすることができるか?だ」
ということを聞くことがあります。

職員に病院の信念が伝わらなくて、
外部に伝わるはずがありません。

逆に、職員が
病院の良さ、
この病院の素晴らしいところ、
この病院で働くことの誇りなどを
心から理解できていれば、
おのずと、その職員が、会う人会う人に、話すでしょう。

「具合が悪いなら、うちに来た方がいいよ」
「働くなら、うちに来なよ」
と。

職員へのインナーブランディングが充分にできていれば、
その結果、必然的に、
外部へのアウターブランディングは、自然に拡充されることになります。

身近を幸せにすることで、
周囲も幸せになりますが、
反対に、周囲を幸せにすることを優先しても、
そのために身近に無理をかければ、
それは続かないのです。

■患者さん、ご家族、地域住民、連携先を
幸せにしようとするならば、
まず、
職員の幸せを実現することを主題にすることです。

これを忘れ、
不幸せな職員が、
その目の前の患者さんやご家族、地域住民や連携先の方々を
幸せにすることは、不可能なのですから。

まず、職員。

次に、業務委託職員。

その次に、出入りしている業者の方々。

そしてその次に、患者さんやご家族。

さらに連携先、そして地域住民です。

■「地域に貢献する」
「高度な医療を提供する」
「安心と安全を追究する」
・・・などなど、素晴らしい理念を掲げている現場がたくさんあります。

しかし、
その前提として、
それらのどの項目よりも、
「職員がここで働いていて良かった!と思える組織をつくる」
ということを誓っている現場が、
どれくらいあるでしょうか?

みなさんの現場の経営者が、
どんな項目よりも、
「職員がここで働いていて良かった!と思える組織をつくる」
ということを誓っているでしょうか?

もし、経営者が職員に対して
「仕事は契約だ」
と考えていたなら、
職員もまた、患者さんやご家族に対して
「業務は契約だ」
と考えます。

「患者さんやご家族を幸せにする」
という言動が起こることはありません。