結果の質を変えるには、関係の質を変えよ(2)

結果の質を変えるには、関係の質を変えよ(2)

■前回、
「結果の質を上げるためには、
行動の質を変えなければならない

行動の質を上げるためには、
思考の質を変えなければならない

思考の質を上げるためには、
関係の質を変えなければならない」
……と言われている、ということについて触れました。

しかし、
肝心の
「質の良い関係とは何か?」
が明らかになっていなければ、
「関係の質を上げること」
もできなければ、
つまるところ
「結果の質を上げること」
もできないということになります。

■では、
「質の良い関係」
とは、どんな関係でしょうか?

これは、実は、
「どんな結果を求めるか?」
というゴールの設定によって異なります。

たとえば、
重工業・重化学工業が日本の発展を支えたと言われる
昭和の高度経済成長期においては、
「とにかく作れば作るだけ良い」
とされており、
「製造ラインをどれだけ回せるか?」
が重要でしたから、

組織におけるコミュニケーションとは、
上意下達のことを意味していました。

そんな現場では、
「上司の言うことを部下が忠実に聞く関係性」
が良い関係性でした。

また、
「部下同士が意見を言い合える関係性」
は必要ありませんでした。

「質の良い関係」
とは、
余計なことを話すことなく、黙って業務に臨むドライな関係性で
良かったことでしょう。

しかし、昨今の
複雑化、多様化、変化加速化している時代においては、

正しい答えがどこかにあるわけではなく、
経営者も想像も及ばなかったことが起き、
そのことに現場しか気づけず、
経営者が理解し、方針を決め、指示を出すまで待っていては、
手遅れになることもある、
という状況です。

現場の職員が、気になったことを遠慮なく
訊いたり、
意見を求めたり、
確信や保証がなくても、
どんどん意見を出し合い、
不安があってもチャレンジしてみるといったことも必要です。

つまり、
上司部下の関係は、高度経済成長期の上意下達の正反対で、
「下意上逹が遠慮なくできる関係性」
の方が、望まれるでしょう。

また、その部下同士も、
「余計なコミュニケーションは要らない」
と言っていては、肝心な意見交換ができませんから、
これも高度経済成長期とは正反対で、
「普段からなんでも話せる関係性」
が重要となります。

つまり、
昨今においては、
「質の良い関係」
とは、
余計なことも話せる、楽しく自分を出し合える関係性
でなければならないでしょう。

■みなさんも、
改めて言うまでもなく、後者の
複雑化・多様化・変化加速化している現場においては、
「余計なことも話せる。楽しく自分を出し合える関係性」
が望ましいと感じるのではないでしょうか?

それは、一言で言えば、
「価値観を解放できる関係性」
となります。

平易な表現ならば、
「言いたいことが言えて、やりたいことがやれる」
ということです。

こう聞くと、昭和の感覚の人は、
「会社は遊びに来るところじゃない」
「自分がどうしたいかなど関係ない」
と直感するでしょう。

そして、
「感謝から求められたことを、したいと思うべきだ」
と言い出します。

さらには、
「貢献して評価されれば、人間はもっとやりたくなるものだ」
ということすらあります。

これが、組織・経営陣にとって都合の良い人間観です。

しかし、従業員は必ずしも、
その仕事や職場にコミットしているとは限りません。

そして、仕事や職場にコミットしていない人は、
やらされるほど
「もうやりたくない」
とモチベーションが下がります。

本人は「職場はここだけじゃない」と、
ある意味視野が広いので、
評価されても「ここだけの評価」としか思わず、喜びません。

■このように、人は、
価値観を解放されていないと、
モチベーションが上がらないどころか、
精神衛生的にも良くないということがお分かりでしょう。

それでも働けば報われるという
高度経済成長期とは、
いまはもう違います。

お互いに価値観を解放しえる関係性が、
職員の心を明るく元気にするとともに、
複雑化・多様化・変化加速化する現代においても、
生産性の高い組織を築くことになるのです。

■では、
「価値観を解放できる関係性」
は、どのように創ればよいか?

引き続き、ここで解説してゆきます。