身体はケアするが、精神をケアできない日本 / ユニセフ

身体はケアするが、精神をケアできない日本 / ユニセフ

■今回、ユニセフが、
「こどもの幸福度」に関するレポート・カード16を公表しました。

日本の順位が話題になっていることをご存知でしょう。

レポート・カード16はこちらです。

しかも、
誰もが驚かされたのは、データのいびつさでしょう。

すなわち、対象となった38ヶ国中、
「身体的な健康度」は1位だったのに対して、
「精神的な幸福度」はワースト2位だったことです。

■ここに、
我が国は特に、
「身体のケアは得意だが、精神のケアができない」
ということが現れていると言えます。

身体のケアは、
健康診断をすれば客観的な数値が得られるので、
ある意味、頭を使わず、機械的に測定することができ、
日本人にはお得意な分野です。

また、職場の健康というとき、
・残業を減らす
・有給休暇を取得する
などの、拘束を減らす発想がまず上がるのがお決まりです。

一方、「精神的な幸福度」については、
日本人は、
「どのように向上したら良いのか?」
を考えることが苦手です。

以前から何度もお伝えしていることですが、
2007年から政府を中心に広められてきたワーク・ライフ・バランスや
2016年に実現会議が発足した働き方改革を見れば、
「身体の心配ばかり」
の印象だということがわかると思います。

言い換えれば、
「精神の心配」
はほとんど見られません。

「身体の健康を向上すれば、精神も幸福になる」
と考えているきらいさえあります。

しかし、本当にそうでしょうか?

みなさんご自身は、
定時に出勤し、定時に退勤でき、
自分の時間を持つことができ、
収入面に対する心配がない状態を作り出せば、
精神的幸福度が上がりますか?

長年、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革を通じて、
社会が、労働環境の改善に取り組んできましたが、
1991年に社員が過労死から自殺した電通は、
2015年にも新人女性社員が過労とパワハラが原因で自殺しており、

実際、休職、メンタル疾患、退職、パワハラ、自殺などが減少することに
直接的に寄与したとは言えないのではないでしょうか?

どこか、問題に対して
施策が的外れであることはお判りでしょう。

さらにその一例があります。

みなさんは、厚労省の
「職場における自殺の予防と対応」
の取組をご存知でしょうか?

それはこちらからご覧になれます。

その中にある
「自殺予防の十ヶ条」とは・・・

・うつ病の症状に気をつける
・原因不明の身体の不調が長引く
・酒量が増す
・安全や健康が保てない
・仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
・職場や家庭でサポートが得られない
・本人にとって価値のあるものを失う
・重症の身体の病気にかかる
・自殺を口にする
・自殺未遂に及ぶ

・・・だそうです。

ご覧の通り、
「精神的な幸福度」
を高めることにはならないことは明らかでしょう。

というのも、いずれも対症療法であって、
そもそも、「幸福」そのものにアプローチする
根治療法になっていないから、だということが一目瞭然です。

いかに、「精神的な幸福度」というテーマが苦手かがわかるでしょう。

■ここからが本題です。

では、職員を活性化し、
健全に組織の生産性を上げるためには、
「精神的な幸福度」を
どのように因数分解すればよいでしょうか?

そのヒントが、冒頭に挙げた
ユニセフのレポート・カード16の中にありました。

まず、「身体的な健康度」は、
・こどもの死亡率や、
・ふとりすぎ・肥満度
・・・が、基礎指標となっているそうです。

これらは、
厚生行政の初歩的なデータなので、
国ごとの差異は少ないかもしれません。

では、一方、
「精神的な幸福度」
の基礎指標は何か?

レポート・カード16の本文にはこうあります。
『たとえば、
イギリスでは、
・家庭内に争いがある
・自分の意見を言えない
・いじめられる可能性
・学校に行くのが楽しみか
・家が安全だと感じるか』

これらを職場に置き換えれば、
どうすれば幸福度の高い職場を作ることができるかが
鮮やかに見えてきます。

すなわち、
みなさんの職場に置き換えれば、
・職場内で無用な対立があるかどうか?
・自分の意見を言えないことがあるかどうか?
・ハラスメントがなく安心できるかどうか?
・出勤するのが楽しみかどうか?
・職場において理不尽な処遇がないという安全を感じられるかどうか?
・・・をチェックすれば良い、ということです。

■一見、多くの課題があるように感じるかもしれません。

しかし、つまるところ、
(これも、いつもお伝えしていることですが)
「価値観の解放」
ができる職場かどうか、ということに尽きます。

価値観の解放ができる職場とは、言い換えれば、
「言いたいことが言えて、やりたいことがやれる環境がある」
ということです。

それは、実にシンプルで、
「みんなが、お互いに、理解し、応援する関係性がある」
ということです。

残業や有給といった待遇面の制度設計をすることは、
あくまで、身体の心配であって、精神の心配ではありません。

実は、それらは、
「精神的な幸福度」
とは、直接的な因果関係はない、ということなのです。

■こうしてみると、
そもそも、大人たちが、
多くの職場において、
「拘束時間を減らすことで、
職員の身体的な健康度を高めようという発想」
は持っている一方、

「価値観の解放ができる職員間の関係性を作ることで、
職員の精神的な幸福度を高めようとする発想」
はほとんど持っていない、
・・・ということがわかります。

実は、
ユニセフのレポート・カード16においても、
こどもたちの生活の場において、
身体的な健康度は1位と高い一方で、
精神的な幸福度はワースト2位と著しく低いことと
このことは、
完全にパラレルに現れている結果であり、

むしろ、
必然に見えてくるのではないでしょうか?

■ともあれ、
これも、いつもお伝えしている通りですが、
ぜひ、みなさんから、
「価値観を解放できる関係性を職場に創る」
ことをお勧めします。

こどもの精神的幸福度を向上できるのは、
まずは、
大人たちが価値観の解放をできる組織や社会をつくってから
でしょう。

■とはいうものの、
「価値観を解放できる関係性」
をつくるには、どうすれば良いか?

「みんなが、お互いに、理解し、応援する関係性」
はどうすればつくれるのか?

「自分と誰か」だけでなく、
部下職員同士の関係性を、どうやってつくれば良いのか?

疑問に感じることでしょう。

そのための、最もシンプルで、
どんな現場でもすぐに始められる、
最短最速で
「価値観を解放できる組織体質」を創る方法、

それが、
患者サービス研究所が提唱している
1日5分のコミュニケーション・モデル
「HIT-Bit」
です。

HIT-Bitについては、
1Dayセミナー(オンライン)を行なっています。