■「職員のモチベーションを上げたい」
と思わない経営者・管理職はいないでしょう。
しかし、モチベーションを上げようとする側が、
「モチベーションとは何か」
を知らなければ、
人にモチベーションを持たせることなど、できるはずがありません。
そもそも、
「モチベーションには2種類ある」
ことを踏まえているでしょうか?
■1つは、
「自己目的のモチベーション」
です。
つまり、
「仕事自体が面白い」
「この職場で働いていることが楽しい」
というモチベーションであり、
「一次的モチベーション」
とも言えます。
「この仕事には、理屈じゃない魅力がある」
「この職場には、お金では買えない体験がある」
という感情と考えて良いでしょう
もう1つは、
「別目的のモチベーション」
です。
つまり、
「給与がもらえるから勤めたい」
「休みの日の趣味が楽しみで勤務する」
「自己研鑽に理解のある職場だから勤務する」
「シフトの希望を聞いてもらえるのでここで働く」
などのモチベーションであり、
「二次的モチベーション」
とも言えます。
「仕事そのものの価値ではなく、
他の価値が得られるから、ここで働く」
と、
仕事とは別の目的のために働くモチベーションです。
ところで、
「怒りは二次的感情」
と言われます。
怒りという感情は、
何もないところで突然生まれることはなく、
あることを望むという一次感情があり、
それが思うように実現しなかった時に
初めて生まれるのが怒りです。
そのため、
「怒りは二次的感情である」
と言われているのです。
したがって、怒りをコントロールしたければ、
怒りが起きないように我慢したり注意をそらすなど、
二次的感情である怒りそのものに向き合っても
本質的な解決にならず、
怒りの原因となった
一次的感情に向き合わなければ解決にいたりません。
炎の先に水を浴びせても、火は消えず、
火を消したければ、火の元に水を注がなければならないのと同じです。
ちょうどそれと同じように、
モチベーションをコントロールしたければ、
休みや給与や福利厚生を充実するなど、
二次的モチベーションに向き合っても、
本質的な解決にならず、
「この職場、お金じゃない」
「この仕事、理屈じゃない」
といった一次的モチベーションに向き合わなければ、
底力を発揮するモチベーションを喚起することはできません。
なぜなら、
「お金のため」
「プライベートを充実したいから」
「休みのため」
というモチベーションで働くということは、
「お金や休みを受け取る代わりに労働を差し出す」
という取引関係だからです。
従来からうたわれているワークライフバランスや働き方改革で
挙げられているのは、
残業時間の削減や、有給休暇取得の促進など、
残念ながら、
ことごとく二次的モチベーションしか
見えていない施策ばかりであり、
「もっと頑張りたい」
というモチベーションの喚起につながっていないことが
必然であるということが見えてくるのではないでしょうか。
■取引関係からは、
限界のあるモチベーションしか生まれません。
なぜなら、取引とは、
得るものに見合うものを差し出すだけだからです。
待遇面を変えることによって、
二次的モチベーションに上げようとしても限界があるということです。
待遇でモチベーションを上げるということは、
待遇を上げることができる資力次第、経済力次第
ということになります。
芸のない組織づくりと言わざるを得ないでしょう。
■したがって、
限界のないモチベーションを引き出したいならば、
一次的モチベーションを探究すること、
すなわち、
「この仕事には、理屈じゃない魅力がある」
「この職場には、お金では買えない体験がある」
という声が現場から上がるような組織づくりをされることをお勧めします。
こうした自己目的の動機があった時、
「もっと頑張りたい」
という限界のないモチベーションとなるでしょう。
では、どうすれば、
「この仕事には、理屈じゃない魅力がある」
「この職場には、お金では買えない体験がある」
という自己目的のモチベーションを築くことができるか?
これまでにも述べて来ましたが、
また別の機会に、ここでお伝えしたいと思います。