■書店にゆくと、
『〇〇がうまくゆくための30のポイント』
とか、
『◇◇で悩まなくなる50のコツ』
とか、
『△△の達人になるための80の秘訣』
といったタイトルの本が、
毎週のように新刊コーナーに並んでいるのを見かけます。
売れるのでしょう。
たしかに、
「こうした方がいいよ」
という項目が、それぞれ、簡潔に書かれていて、
読みやすいでしょう。
そして、
「わかるわかるぅー」
と、頷きながら立ち読みして、
ついつい買ってしまうということも多々あるかもしれません。
■しかし、自分自身がそうした本を買って、
いったい、どれだけ役に立っているでしょうか?
30も50も80も大事なことが書いてあるものを読んで、
いったい、いくつ身についているか?ということです。
もしも、そのうちのたった1つでも、
読んで以来、今日まで続いている「習慣」になっていたら、
それは、上出来ではないでしょうか?
そうなっていないとすれば、
ポイント集を買って読んでみても、
「大事なことがわかったつもり」
になる、それは気休め行為に過ぎない、ということではないでしょうか。
■そもそも、人間にとって、
「習慣を身につける」
ということは、至難の技であることを踏まえなければなりません。
『7つの習慣』は、
全世界で3000万部売れたと言いますが、
読んだ全員が大成功しているわけではありません。
みなさんの身近にも、
「読んだ」
という人は、山ほどいることと思います。
しかし、読んだは良いものの、
そのうちの1つでも習慣にすることが困難なために、
まして7つすべて習慣にすることはほぼ不可能なので、
「7つとも習慣にしてるよ!」
という人は、ほぼ見かけないでしょう。
「7つのうちたった1つだけど、きっちりと習慣化してるぜ」
という人さえも稀でしょう。
それほど、習慣を身につけることは難しいということです。
研修会社の中には、
「行動変容が大事です」
と唱えるところがありますが、行動は変えることができます。
一時的には。
そして、本当に大事なのは、行動変容が持続すること、
すなわち、
「習慣変容」
の方なのですが、これが至難の技なのです。
■というわけで、本当に変わろうとするならば、
「習慣変容」
をいかに、自分に起こすか、が重要になります。
そのためには、カギとなることが30も50も80もあっては、土台、習慣化は不可能です。
大事な7つすら、容易に習慣化できないのですから。
そして、本当に重要なのは、たった1つであるはずです。
本質を突き詰めれば、たった1つの要件に絞られるはずなのです。
「1つのカギ」
というタイトルより、
「30のポイント」
「50のコツ」
「80の秘訣」
と、数が多い方が、得に感じられるのかもしれませんが、
「本質1つに絞りきれていない」
ということでしかありません。
たとえば、
「2つ以上の要件があった時に、どちらを優先するべきなのか」
本質が明確にわかっていれば、答えは明確です。
優劣をつけられていない場合には、
その著者自身、本質が見えていない、ということでしょう。
したがって、本当に重要なのは、
「本質的に最も重要なカギを、きっちりと習慣化すること」
であると言えます。
■では、習慣化するためには、どうすればよいか?
患者サービス研究所では、
いっときだけ変わる施策ではなく、
効果が永続する施策、すなわち「組織体質づくり」をお勧めしています。
いつまでも組織が変われない施策ならば、
それは本当の組織づくりとは言えないからです。
言い換えれば、
組織に「習慣変容」をもたらすことを提唱していることになります。
その、
「習慣の創り方」
については、また別の機会に、ここでもご紹介したいと思います。
■いずれにしても、
「一時的な施策」
に惑わされないことをお勧めします。
そして、どんなことをする場合にも、
「これで、組織が変わるのか?」
「効果が永続するのか?」
を確認し、あくまで、
「組織づくり」が実現できるのかどうか?を
見極めることです。
さもなければ、
きっと導入した施策はいずれも、効果が持続せず、
のちのち、
「あの時、やったよね」
と過去のものとなってしまうことでしょう。
効果が永続しない施策は、
あとで振り返れば
費用と時間と労力が無に帰してしまうことになりかねません。
ぜひ、効果が持続する施策だけを導入するよう、
くれぐれも注意してください。