「忙しいからコミュニケーションがとれない」ではなく、「コミュニケーションをとらないから忙しい」

「忙しいからコミュニケーションがとれない」ではなく、「コミュニケーションをとらないから忙しい」


■「職員のミスやトラブルが重なり、退職も減らない」

という声を聞くことがあります。

 

よく聞けば、大抵の場合、

「業務が忙しくて、疲弊している」

という背景があります。

 

そこで、職員同士のコミュニケーションを増やすことを提案すると、

「そんな時間も手間もかけられない」

多くの場合、そんな返事が帰ってくる傾向があります。

 

■仕事をしていて、辛いことや苦しいことがあっても、

「周囲の理解と応援があるから頑張れる」

という経験は誰もがしているでしょう。

 

逆に、周囲とのコミュニケーションがない現場では、

どんなに楽な仕事でも、続けることはできません。

 

人は、自分の仕事について、

他者からの意味づけをもらって、

初めて、底力を発揮できるからです。

 

■本来は、

 

コミュニケーションがある

仕事の意味づけが得られる

勇気と元気が得られると同時に、

他との協力関係が築かれる

大変な仕事でも頑張れて、

忙しくても心にゆとりを持てるので、

さらに他者とのコミュニケーションをとれる

 

・・・という好循環にしたいものです。

 

■しかし、現実には、冒頭のようなケースが典型的で、

 

コミュニケーションが無い

仕事の意味づけが得られない

精神的に疲弊すると同時に

他の協力も得られない

仕事の大変さに直面させられ、

ますます忙しくなることで、

さらに疲弊して、

他者とのコミュニケーションをとる余裕もなくなる

 

・・・という悪循環に陥っているということです。

 

たとえば、

暴走しているクルマのドライバーが、

あまりの速さに、余裕を失い、

周囲からの

「もっとスピードを落とせ」

という声すらも聞く余裕がない、という状況では、

事故が起きるのも時間の問題でしょう。

 

まずは、いったんスピードダウンして、

「本当は、自分を助けようとしてくれている人がたくさんいた」

「本当は、周囲とのコミュニケーションで楽になる」

「すると、さらに正確で迅速な業務ができるようになる」

ということに、気づくことが大事です。

 

■くれぐれも、

「忙しくて余裕がないから、コミュニケーションがとれない」

のではなく、

「コミュニケーションを取らないから、忙しくて余裕がない」

ということを知っておかなければなりません。

 

「忙しくて、コミュニケーションを取る暇がない」

と言っている職員に同情して、

コミュニケーションをとることを遠慮していては、

その状況を変えることができませんから、

結局は、嘆いている職員を

苦しみから救うことはできません。

 

経営者や上席者は、

「職員が忙しいと言い張っても、

コミュニケーションをとらせて余裕を持てるようにする」

という決断をする必要があります。

 

でなければ、悪循環から永遠に抜け出すことができず、

疲弊する職員が、

次から次へと倒れてゆくだけです。